2023年3月22日
久留米高専、学生の研究が画像認識精度の向上に寄与
久留米工業高等専門学校は17日、同校の機械・電気システム工学専攻科2年生の與田悟史さんが、指導教員である黒木祥光教授(久留米高専制御情報工学科)のもと、AIが画像分析を行うための学習手法の一つである「畳み込みニューラルネットワーク(CNN: Convolutional Neural Network)」の研究により、CNNを用いた画像認識精度の向上が実現したことを発表した。
與田さんの同研究成果は、国際会議ICIIBMS(International Conference on Intelligent Informatics and BioMedical Sciences)2022において、「Student Best Paper Award」を受賞している。
画像認識において、CNNは他の手法を圧倒した画像認識精度を誇っていることが知られている。CNNのこの高い画像認識能力は、画像の特徴を持つフィルタによって構成される畳み込み層を導入することにより実現。CNNがうまく学習を行うためには、適切な学習パラメータの初期値を設定する必要があり、Xavierの初期値やHeの初期値を用いたパラメータの初期化手法が提案されている。
今回の研究では、黒木教授の研究室で研究されている畳み込みスパース表現と呼ばれる画像の近似表現手法を用いてCNNのパラメータの初期値を設定した。提案手法では、畳み込みスパース表現における辞書フィルタがCNNの畳み込みフィルタと同様に画像の特徴を持つことに着目し、畳み込みスパース表現の辞書フィルタをCNNの畳み込みフィルタの初期値に設定しCNNの精度向上を目指した。
今後の展望として、今回の実験で用いたデータセットの画像サイズは32×32画素と小さいため、より大きな画素数を持つ画像データセットでの検証を行い提案手法の実用性を確認することを予定しているという。また、CNNの学習中の畳み込みフィルタの変化について調査を行い、提案手法による初期化の影響も明らかにしたいと考えているという。
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