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2022年11月10日

続・iPadではじめる!先生のためのICT入門講座 【第18回】実社会とつながる数学の授業

【第18回】鳥生 浩紀先生(近畿大学附属広島高等学校・中学校 福山校)
ICTで学ぶ意味を知る!実社会とつながる数学の授業づくり

「わが校でも今年から1人1台のタブレット端末を導入します」突然の発表に驚いたのもつかの間、教員用ということで1台のiPadが配布されました。「急に言われても、いったい何からはじめていいのかさっぱり・・・」。本連載では、そんな困った状況におかれた先生たちのために、学校でタブレット端末を使うためのポイントを解説。iPadを活用した学びを実践している先生たちの活用事例をもとに、ICTが苦手な先生でも取り組める具体的な活用方法をご紹介します。

なぜ学ぶのかを生徒自身が気づく授業づくり

「なんで勉強するの?」「将来、何の役に立つの?」そんな生徒の問いにどう答えていますか。ひと昔前であれば「入試で必要だから」で済んでいたかもしれませんが、いまや「いい大学を出ていい会社に入れば…」という時代ではなくなりました。学ぶことの意味を伝える必要性がますます高まってきています。

学習内容と実社会とのつながりを見せる工夫とは?

かといって、それを言葉で伝えても伝わるとは限りません。「グローバルな時代だから英語は必要」と説明しても、英語が苦手な生徒からは「日本から出ないからいい」という答えが返ってきます。生徒自身がその必要性を感じること、学ぶこと自体を楽しいと感じることが学ぶ動機に繋がってくるのです。

そこで今回は、近畿大学附属広島高等学校・中学校 福山校の鳥生浩紀先生にお話を伺いました。鳥生先生は、Adobe Education Leaderとして数学の授業にアートの要素を取り入れた授業をされている先生です。そんな鳥生先生の実践から、生徒に学ぶ意味を気づかせる授業づくりについて考えていきましょう。

3年間でセルラータイプのiPadを全生徒に配備

生徒全員がセルラータイプのiPadを保有

近畿大学附属広島高等学校・中学校 福山校は広島県福山市佐波町にある近畿大学附属の中高一貫校。「知・徳・体の調和のとれた全人教育をすすめ、国際社会で信頼と尊敬を得る人材の育成を目指す」を教育目標に掲げ、生徒のほとんどが近畿大学をはじめとした4年制大学に進学する学校です。

2020年度の高校1年生より1人1台のiPad(セルラータイプ)の導入をスタート。現在では中学1年生から高校3年生までの全生徒が保有しています。またすべての教室にホワイトボードとプロジェクターが常設されていて、Apple TVを使ってすぐにiPadの画面をミラーリングできる環境が整っています。

身の回りにある「数列」を探す授業とは?

教室を出て「フィボナッチ螺旋」を探索

授業では、まず数列について簡単に復習したあと、「フィボナッチ数列」について解説します。「フィボナッチ数列」とは『1、1、2、3、5、8、13、21、34、55…』というように「どの数字も前2つの数字を足した数字」という規則の数列。自然界にはこの数列が多く潜んでいるといいます。

鳥生先生は、黄金比と自然界、芸術作品との関係についての説明した上で、身の回りにある「フィボナッチ螺旋」を探すという課題を出します。ここで使用するのが「dp – d’or photo」というアプリ。黄金比スパイラルや三分割構図などのガイドラインに沿って写真撮影したり、画像を読み込むことができるアプリです。

・「dp – d’or photo」:App Store

配置を考えて自己紹介ポスターを制作

調べ学習が終わったあとは、「Adobe Express」を使ってテーマに沿ったデザインを行います。今回の授業で特に重きを置くのは“配置”(レイアウト)。一方で「Adobe Express」には配色をアドバイスしてくれる機能もあり、余力のある生徒は色にもこだわってデザインをしているそうです。

・「Adobe Express グラフィックデザインアプリ」:App Store

提出した作品はルーブリックで評価

【本日のワーク】「Adobe Spark Page」でポートフォリオを作ろう!!

クリエイティブな授業を行うようになると、作品をまとめて残しておきたくなります。そんなときにおすすめなのが「Adobe Spark Page」。文字(テキスト)と画像・動画だけで、かっこいいWebページがつくれるアプリです。今回は「Adobe Spark Page」でポートフォリオをつくってみましょう。

・「Adobe Spark Page」:App Store

作品集で創作のイメージを膨らませる

アプリを起動するとアカウント登録が求められますので、新規登録するかGoogleアカウントなどでサインオンします。すると「インスピレーション」と書かれたページが表示されます。これは「Adobe Spark Page」で作ったWebページの作品集です。気になるものをタップしてみてください。

インスピレーションが沸いたところで、実際にWebページをつくっていきましょう。画面下の中央にある「+」を押して新しいプロジェクトを追加します。「タイトルを追加」をタップすると編集モードに切り替わりますので、ページのタイトルを入力。同様にサブタイトルも入れてみてください。

次に背景に画像を置きたいと思います。画面下に表示されている「写真」をタップするとどこから画像を取り込むか聞かれますので、iPadやクラウド上から配置したい写真を選択してください。「無償の画像を検索」からキーワードを入力することで、フリー画像を検索して利用することもできます。

テーマを変更するだけでデザインが一新

続いて、ページデザインのテーマ設定をしてみましょう。画面右上の歯車の左にあるアイコンをタップ。複数のテーマが並んでいるので好みにあったテーマに切り替えてみてください。これだけでもだいぶWebページっぽい感じになりますね。それでは、Webページの要素を追加していきましょう。

画面を下にスクロールすると「写真・テキスト・ボタン・ビデオ・写真グリッド・Glideshow・レイアウトを分割」というアイコンが表示されます。まずは「テキスト」を選択して見出しを入れましょう。「ポートフォリオ」と入力したら、画面上部のツールバーで「H1」を選択。中央寄せしておきます。]

続いて、「+」をタップして「Glideshow」を選択してください。掲載したい画像を選択していって最後に「完了」をタップ。写真をスワイプすると画像が切り替わります。画像上に置かれた半透明の長方形をタップすると編集できますので、「テキスト」を選んで、作品のタイトルを入力してください。

ページを公開すればスマホやPCでも閲覧OK

こんな感じで、テキストと写真・動画をページに追加していきます。プレビューを確認して問題なければ、[↑](共有)から「公開リンクを作成」を選択。するとページがWeb上にアップロードされます。「参照」の右側にあるURLをタップすれば、作成したWebページをSafariで表示することができます。

「生徒とクラス担任で共有しておけば日々の活動をポートフォリオとして残しておくことができます。個人面談での利用はもちろん、三者懇談会で学校でどのような活動をしてきたのかを保護者にプレゼンする資料にもなります」と鳥生先生。アイデアしだいでさまざまなシーンで活用できそうですね。

教科のおもしろさを伝えるナビゲーターに!

教科・単元の本当のおもしろさや必要性は、実際に学んでみなければわかりません。まずはそこに向き合ってもらうために、どうやって生徒の興味関心を引き出すかが大切。ICTはそのための大きな武器です。生徒の創造性を駆り立てることで、いつのまにか教科本来の学びにつながっている。そんな授業デザインがこれからの先生には求められているのではないでしょうか。

【実践者プロフィール】
近畿大学附属広島高等学校・中学校 福山校
教務部長 (兼ICT教育推進グループ代表)

鳥生 浩紀 先生

チョーク&トークで行う授業の魅力を生かしつつ、ICTを活用したチャレンジを生徒と一緒に進めている。また、 GEG Hiroshima City 共同リーダー、Google 認定トレーナーに加え、2022年度はAdobe Education Leader として活動の場をさらに広げ、ICT教育の可能性を発信している。

【筆者プロフィール】
教育ICTコンサルタント
小池 幸司

教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて導入事例やノウハウを発信している。2013年3月にiPad×教育をテーマにした国内初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」を出版。2020年10月から、YouTubeチャンネル「TDXラジオ」を開設し、「Teacher’s [Shift]〜新しい学びと先生の働き方改革〜」のメインパーソナリティを務める。NPO法人 iTeachers Academy 理事・事務局長。

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