2023年10月24日
高校で広がる利活用、ITとビジネスの基礎知識に「ITパスポート過去問題集講座」
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社会全般においてIT人材を求める声が聞かれて久しい。小学校でのプログラミング教育、高校での「情報 I」の必修化など、ITに関する学びが学校で順次開始されている。企業や社会人の間でもIT関連のリスキリングを行う意識が高まるなど、IT知識や技術を持ち合わせていることの重要性は今後さらに増す傾向にある。
そうした中、多くの人々の注目を集めている国家試験が「ITパスポート試験」だ。GMOメディア株式会社(以下、GMOメディア) の「コエテコカレッジ byGMO」では、「ITパスポート試験」の受験者向けに「ITパスポート過去問題集講座」を提供。試験対策に留まらない同講座の学習メリットに、現在、多くの高校から関心が寄せられている。実際に活用している教員からの反響や講座の魅力について紹介する。
IT人材の需要の高まりとITパスポート試験
GIGAスクール構想により、小中高校と段階的にICT環境の整備と活用が進んできた。また、政府のAI戦略に基づき、数理・データサイエンス・AIを利活用する能力の育成を目的に、体系的な教育を行う機関を奨励する制度の認定を受ける大学も増えてきた。さらに、生成AIの登場で、学生や社会人を問わず基本的なIT知識を持つことはより一層求められるようになってきている。
IT技術者のように誰もが高い知識や技術を身につけることが必須ではない。しかし、ITが身近になった今、IT用語やその概念の理解、使用上のリテラシー、情報漏洩やサイバー攻撃などのリスクに対する備えなど、基礎的な知識や技術を習得することは、生活の面でもビジネスの面でも、これからの社会を生きる中で少なからず影響が及ぶと言える。
こうした背景から今注目を集めている資格の1つが、ITに関する基礎的な知識を証明する、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験「ITパスポート試験」だ。
GMOメディアでは現在、中高生等のデジタル活動を支援する一般社団法人デジタル人材共創連盟(通称:デジ連)を通じて、全国の高校生と教員に向けて「ITパスポート過去問題集講座」の無償提供を実施している。
学ぶのはビジネス全般で役立つIT基礎知識
パソコンやインターネットの利用が当たり前の現代。「ITパスポート試験」は、一般の幅広い層にITに関する正しい基礎知識が必要なことから、2009年に新設された。2022年の試験応募者は174万人を越える人気試験だ。
「ITパスポート試験」の出題範囲は、ストラテジ系(経営全般)、マネジメント系(IT管理)、テクノロジー系(IT技術)の3分野。具体的には、新しい技術(AI、ビッグデータ、IoTなど)や新しい手法(アジャイルなど)の概要に関する知識、経営全般(経営戦略、マーケティング、財務、法務など)の知識、IT(セキュリティ、ネットワークなど)の知識、プロジェクトマネジメントの知識など幅広い分野の総合的知識を問われる。
文系・理系に関わらず、また、どのような業種・職種であってもITと経営全般に関する総合的知識は今やビジネスでは不可欠。社内研修に取り入れたり、社員に取得を推奨したりする積極的な企業や団体、また、高校や大学ではカリキュラムの一環として採用する学校も増加している。
初学者が効率よく学べる「ITパスポート過去問題集講座」
GMOメディアが提供する「ITパスポート過去問題集講座」には、過去6年分の問題がクイズ形式で、3分野にわたり600問が収録されている。
5問ずつがランダムに出題され、5問回答するごとに採点ができる形式と、実際の試験のように100問を回答してから採点する形式と選択することができる。「ITパスポート試験」は国家試験として初めてCBT(Computer Based Testing)方式を導入しているが、この講座でも本番と同様に、問題には4択から回答を選択する形で学ぶことができる。
GMOメディア 事業開発部の倉田仁美氏は、「過去問を解き進めることで頻出する問題の対策になり、解説の中では他の関連語句にも触れているため、過去に出題された問題に限らず広く知識を吸収することができます。また、広告表示がないので教育現場でも安心して利用することが可能です」と講座の利便性を説明する。
受講はパソコンでもスマホでも操作が可能であり、通勤・通学の移動中や休憩中など隙間時間にも無理なく学習を進めることができる。問題は分野別に対策することもでき、苦手な分野に絞って問題をこなせるため自分の弱点の強化にも適している。初めて挑戦する人にも安心して効率よく取り組める設計だ。
試験の難易度は、IT経験者や既に知識がある人にとっては難しくはないレベルだというが、全体の合格率は50%前後。学習なしで誰でも受かる試験ではない。しかし、異業種から同社へ転職したという倉田氏は、同講座を活用して10日間の学習で資格取得に成功した。「出題範囲がとても広いので、同じレベルで全て理解しようとすればもう少し時間がかかったと思います。でもこの講座では頻出問題を押さえられることもあり、それほど時間はかからず合格できました」と自身の経験を振り返る。
高校からの講座申し込みが半年で100校を突破
「ITパスポート過去問題集講座」は、GMOメディアが運営する「コエテコカレッジ byGMO」において2022年にリリースされた。また、高校生のITスキルアップをサポートするため、2023年4月からはデジ連を通じて全国の高校生と教員に向けて同講座の無償提供を開始し、10月には申し込みが100校を突破した。
「高校の『情報 I』とITパスポートは相互に影響しあっている部分があります。ITパスポートは『情報 I』への対応として、出題範囲や生成AIのインパクトを踏まえたシラバスの一部変更をするなど、基本的なIT知識を持つことの証明としてより相応しいものになってきています」(倉田氏)。
無償提供の開始直後に50校の高校から申し込みがあったという。GMOメディア 事業開発部の今井裕史氏は、「これほど反響があるとは思わず驚きました」と率直な感想を語る。
また、某大手企業が3年以内に全社員を対象に「ITパスポート試験」を取得させると話題になった6月頃にも、同講座の申し込み数が増えたという。特に「非IT系」の企業において、IT知識と技術の底上げを目的に社員に推奨する流れは増加傾向にあり、「全ビジネスパーソンに身につけて欲しいレベルの試験」といった社会での認知の広がりが、学校機関の反応にも影響したようだ。
教員からは「自分でも学びたい」の声、試験合格を目指す以外のメリット
前述のとおり、「ITパスポート試験」はテクノロジーだけではなく、経営に関するストラテジやマネジメントまで万遍なく出題される。現代のビジネス全般をカバーするような試験内容だと今井氏は強調する。
「企業での仕事やプロジェクトの進め方、原価や利益率の計算など、ビジネスの実際が学べる内容でもあります。この講座で高校生が学習すること自体、現代社会や社会人への第一歩を目指すのに非常に良い内容。仮に試験合格できなくても、学習したことが必ずこの先で役立つだろうと感じています」。
たとえば、「CRM」など3文字のアルファベットで表記される専門的な用語は多数ある。これらの用語を知っていることで、ふと耳にしたニュースや話題もその理解や受け取り方が変わってくる。試験のためのという学習の枠を越え、まさに「生きた教材」としての利用価値が同講座には備わっている。
同社の調べによると、申し込みがあった教員の動機の多くが生徒の情報教育のためであることがわかる。一方で、「自分(教員)自身の勉強のため」や「今後授業を担当する可能性があるので教材研究のため」とした声もあり、教員自身が学びの機会にしていることはとても興味深い。
また、実際に利用して良かったと感じることには、「これまで時間をかけて準備していた演習問題作成の時間がなくなり、各生徒の習熟度分析などに時間をかけられるようになりそうです」との声も寄せられている。同講座は授業準備にかける教員の負担軽減にもつながっており、学校での導入にはこうした教員側のメリットも大いに期待できる。
「『情報 I 』の授業で今困っている教員の方がいらっしゃれば、ぜひ申し込んでいただければと思います」と倉田氏は呼びかける。
高校生と教員向けの無償提供は2024年度も実施
「ITパスポート試験」の直近の受験者は、社会人78%、学生22%。学生の内訳は大学55%、高校20%、専門学校15%、その他となっている。しかし、これからは割合の逆転も十分にあり得る。受験者の低年齢化が起こるだろうと今井氏は推測している。
「理由は2つ。現在、小学生が1人1台端末を持っているの環境であり、デジタルに幼い頃から触れている世代が今後中学生、高校生になってきます。もう1つは高校で『情報 I』が必修化されたこと。一昔前なら『英検』を受けるような感覚で、高校で『ITパスポート』を取得する流れが広がると予想しています」と見解を示す。
「ITパスポート過去問題集講座」は発売開始以来、問題の改修を継続している。現在は、データをダウンロードすることで担当教員が各生徒の正答率などを確認することもでき、今後は、解説文がダウンロードできる機能も追加を予定。さらに、情報分野に関連した新しい講座の制作も計画中だ。
そして、同講座の高校生と教員向けの無償提供は2024年度も実施する意向だという。
試験に合格すれば進学や就職に役立つことはもちろん、学習の過程においてデジタル時代に欠かせないITとビジネスの基礎知識を身につけることができる「ITパスポート過去問題集講座」。この機会に学校での導入を検討してはいかがだろうか。
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