2017年7月19日
CA Tech Kids 黒川さんの「徳之島プログラミングレポート」メンター育成篇
CA Tech Kids 黒川さんの「徳之島プログラミングレポート」メンター育成篇
~総務省「若年層に対するプログラミング普及推進」事業~
株式会社CA Tech Kids 黒川 広貴
こんにちは、小学生向けプログラミングスクールTech Kids Schoolを運営しているCA Tech Kidsの黒川です。CA Tech Kidsは総務省2016年度第2次補正予算「若年層に対するプログラミング普及推進」事業に選出され、鹿児島県徳之島町および、岩手県遠野市で小学生を対象としたプログラミング教育の実践を本年4月から開始しました。
本実践は、徳之島町で4月から8月にかけて、遠野市で6月から10月にかけて、それぞれメンターの募集・育成、子ども向け講座の実施を行います。徳之島町では既にメンターの募集・育成を開始しており、その様子について詳しくレポートします。
メンター(地域のプログラミング教育を担うリーダー)の募集
徳之島町では4月末から約1カ月間にわたり、地域のプログラミング教育を担う講師となる「メンター」を募集・選考を行いました。徳之島町のHPに募集告知を掲載したほか、チラシを作成し、学校から各家庭に配布し、広く住民から応募を募りました。島嶼部である徳之島町では、人口も少なく、積極的な応募が見込めないのではといった懸念もありましたが、選考の結果、小学生のお子さんを持つ主婦の方、地元でITエンジニアのお仕事をされている方を含む地域住民が4名、今回の事業をリードする町の地域興し協力隊の担当者と学校教育課の教育課長の役場職員が2名、小学校教諭や教育関係者など3名の計9名がメンターとして選出されました。
CA Tech Kidsによるメンター育成研修の実施
6月17日から22日の計6日間にわたり、選出された9名のメンター候補者に対し、プログラミング講師となるための育成研修が行われました。全国的に小学生向けプログラミングスクールを展開し、小学校や自治体などでもプログラミング授業を実施しているCA Tech Kidsから講師を徳之島町に派遣し、座学研修と実践研修を計50時間にわたり実施しました。
□技術研修(6月17日・18日)
研修1日目ではプログラミング学習ソフト「Scratch」を活用して基礎的な知識の習得を行いました。
私が講師となってプログラミングの基礎講義とともに、受講者であるメンター自身で約20個の作品を開発しながら、プログラミングの考え方や、様々な知識の使い方・組み合わせ方を学習しました。また、「繰り返し」、「条件分岐」、「座標」、「乱数」といったプログラミングに用いる初歩的な概念が、実際に社会の中でどのように用いられているかを学習し、より深く理解するための研修を行いました。
9名のメンターはほとんどがプログラミング初心者でしたが、マウス操作を中心とする「Scratch」を利用したことにより、抵抗感もなく、集中した様子で研修に取り組んでいました。講義のはじめの方ではScratchの仕組みの部分でやや手こずっている様子もありましたが、いくつか作品を開発していくうちに徐々に慣れていくのが伝わりました。
途中、主婦メンターの方の分からないところに対して、エンジニア経験のあるメンターがサポートして疑問を解消するといった場面も見られた他、理解した知識を使って自分の作品を改造し、それを休憩時間に他のメンターに披露して歓声があがるといった場面もありました。メンターの中には子どものいる方や、教職員など普段から子どもと接する機会が豊富な方が多く、作品の随所に子どもがプレイしやすい工夫を意識して開発に取り組んでいました。今後メンターとして活動していく上ではとても大事な意識だと思います。
□指導、コミュニケーション研修(6月17日・18日)
研修2日目には、講座の講師として子どもと接するうえでの注意点や指導の仕方を学ぶ研修を行いました。子どもとの基本的な接し方、距離感を排除する方法、励まし方、楽しさを引き出す方法等のコミュニケーションについて学んだ他、子どもに対して一方的に「教える」のではなく、指導者と受講者の相互のやり取りの中で理解を深めさせる指導方法を学びました。
メンター2名でペアになり、それぞれが指導者役・受講者(子ども)役に分かれ、「生徒の集中力が続かないとき」、「生徒が作品を完成させて喜んでいるとき」など、様々なシチュエーションを想定したケーススタディを行いました。最初は役になりきることに少し恥ずかしさを感じている様子でした。恥ずかしさが見え隠れしながらも、子どもってこんなことを考えているのかな?、どういう言葉をかければ上手く伝わるだろうか?とお互い探り探りに進んでいきました。
研修を受けたメンターからは、「子どもの気持ちになって考えるのが難しい」といった感想や、「分かりやすく伝えるには咀嚼した言葉を使わないといけない」といった声が多く聞かれたほか、「子ども自ら主体的に取り組ませるためにはどうすればよいか」という観点から、受講者同士の積極的な議論が交わされていました。
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