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2023年4月3日

『学び合い』・「探究」×「Qubena」で、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を実現/福岡市立東光中学校

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福岡市の中心部に位置する福岡市立東光中学校。10年前から『学び合い』と呼ばれるアクティブ・ラーニングを授業の基本とし、生徒の「学びに向かう力」と向き合い続けている中学校だ。令和4年度よりAI型教材「Qubena」(キュビナ)を導入している同校。1人1台端末環境を活かし、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を目指す取り組みについて、波多江貴志校長、藤本嘉弘教頭、山浦麻美教諭(数学科)、田中美夢教諭(英語科)に話を聞いた。

『学び合い』・「探究」の導入で、授業時間の大半をアクティブ・ラーニングに

波多江貴志校長

東光中学校では、10年前から『学び合い』と呼ばれるアクティブ・ラーニングに全校をあげて取り組んでいる。授業開始時に目的と課題を与えるにとどめ、その後は学習者の主体に委ねるという学びだ。『学び合い』が行われている教室をのぞくと、生徒たちが自由に動き回り、クラスメイトに聞いたり教え合ったりしながら、自分のやりやすい方法で学びを深めている。

『学び合い』の授業風景

この取り組みがスタートした背景には、同校が抱えていた生徒たちの「社会性」と「学習力」への課題があった。当時を振り返って波多江校長は語る。「自分の気持ちを上手に表現することが難しい生徒や、勉強のやり方が分からずに悩んでいる生徒がいました」。そこで同校が決断したのは、従来の教員による一斉指導中心の授業を生徒同士の協働的な学びに転換するという大きな変革だった。

成果は着実に上がった。学び合うことで生徒たちのコミュニケーション力や発信力は格段に向上し、生徒同士の関係性も良好になった。

自律学習者を育成するための「3つの柱」

波多江校長は言う。「私たちが上げたいのは『学力』というよりも『学習力』。そして自律学習者へ育てること。勉強のみにとどまらず、ものごとに対する意欲や主体性、問題解決能力を、リアルな人間関係(関わり合い)の中で伸ばせる環境を目指しました」。

そうした取り組みをさらに深化させるものとして、令和3年度からは各教科における「探究」もスタートした。そのテーマは「時代劇の脚本を考えよう」「賛成派・反対派に分かれて住民投票のポスターを作ろう」などユニークだ。生徒一人ひとりが「探究活動のサイクル」を回し、課題解決に向けて夢中になれる授業について研究しているという。

「個別最適な学び」との一体的な充実に向け「Qubena」を導入

藤本嘉弘教頭

「一方で、課題もあった」と藤本教頭。文部科学省が示す「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実において、「個別最適な学び」の環境が不十分だと感じていたのだ。

紙に書いて学ぶ、耳で聞いて学ぶ、生徒によって一人ひとり最適な学び方はさまざまだ。また理解や定着のペースにも個人差がある。言い換えれば、一斉・一律の学び方の中では学びづらさを感じる生徒がいるということでもある。

その解決の糸口となったのが、1人1台端末の配備により生まれたICTの活用だった。波多江校長は言う。「自分に合わない学び方では、知識を身につけることより取り組むことが目的になってしまい、手は動いていても頭が動いていない、そんな状況に陥りかねません。ICTを活用することで、より自分に合った学び方を選択することができる生徒がいると考えたのです」。

そこで、同校では、AIが子どもたち一人ひとりの間違いの原因を分析し、最適な問題を出題するAI型教材「Qubena」(キュビナ:COMPASS提供)を令和4年4月に導入した。小中学校の5教科に対応し、数万問を搭載している。強みとするAIの精度への評価も高く、全国約2,300の小中学校で利用されている。

同校ではQubena導入以前より、折からのGIGAスクール構想を機に市の教育委員会から一斉配備されたQubenaとは別のデジタルドリルが導入されている。しかし、「まずはICT教材を導入して使ってみる」、というひとつのフェーズを経て、次の段階の活用を考えた際、同校の目指す「個別最適な学び」の実現に向けての課題も見えてきたという。

「実際に生徒にQubenaを使ってもらう中で、問題数の豊富さやAIの精度など、Qubenaの方が東光中の生徒に合っている、主体的に学べている、と感じたんです」と藤本教頭。一斉導入のデジタルドリルとは別に、学校独自の判断でQubenaを導入することとなった。

教員たちの工夫で生徒の意欲を刺激、主体性評価もエビデンスが示せる

初年度の活用推進に際しては、紙のドリルは利用せず(英語の長文問題集のみ利用)、Qubenaに置き換える、という方針に振り切った。紙とデジタルの共存による混乱を避ける意図での決断だったが、教員たちの中には戸惑いの声も少なくなかった。しかし、成果が出るに伴ってその風向きも変わってきた。「必要を感じているから使う、という風になってきている」。(波多江校長)

数学科の山浦教諭もQubenaの利用に試行錯誤した一人だったが、単元ごとに細分化してQubenaのワークブックを作るなどの工夫をしている。「誤答に対し、すぐに×ではなく一度?が出て、考え直すチャンスがあるのがいいですね。生徒たちは本能的に『正解したい』という気持ちをもっているので、ヒントをもとに何度もチャレンジする姿勢が見えるようになりました」と言う。

英語科の田中教諭は、長期休暇中の課題や、定期テスト前の学習にQubenaを活用している。「英語は『書く』作業も大事なので、プリントを併用しながら、Qubenaでは文法問題を中心にワークブックの機能を利用しています」と語る。

生徒が取り組んだ問題や所要時間、正答率などの学習ログがデータとして可視化されることで、評価の方法にも変化が生まれている。学習の3観点評価のうち、評価軸の設定に課題のあった「主体的に学習に取り組む態度」もデータを元に客観的な評価ができるようになった。山浦教諭・田中教諭も正答率を「知識・技能」、達成率を「主体的に学習に取り組む態度」の評価材料として生徒たちに提示・活用している。

波多江校長は「意欲の評価はどうしても主観になりがちで、以前は保護者から異議を呈されることもあったが、Qubenaで客観的エビデンスの提示が可能になったのは大きい」と言う。

教員用の管理画面では生徒一人ひとりの学習状況の確認も可能

理想的アクティブラーナーの傾向が見られるように

これを『学び合い』と組み合わせることで、授業中にQubenaを利用する生徒もいる。家庭での空き時間に「Qubenaでもやるか」という生徒も散見されるようになった。こうした相乗効果で、最近は生徒自ら「Googleフォームで問題をつくって、みんなで解き合ってみよう!」「探究課題に必要な知識をQubenaでインプットしよう!」という、理想的アクティブラーナーの姿も見られるようになった。

『学び合い』の授業中にQubenaで演習する生徒も多数

福岡市が令和4年11月に実施した生活習慣調査でも効果は明らかだ。「AIドリルで授業が分かるようになった」「補充学習の時間に自分から進んで学習に取り組む」「1人1台端末を使った家庭学習が好き」などと答えた同校の生徒は、いずれも福岡市内の中学校の平均を上回り、中には倍以上の差を示した項目もあった。

「この10年間『学び合い』で築いてきた『学びに向かう力』の基盤に、「探究」やQubenaが加わり、基礎学力の定着、個別最適な学びの実現に向かっているのを感じている。今後さらに精度を高めていくことで、生徒一人ひとりの社会性を豊かにするとともに、確かな学習力を身に付けさせ、自律学習者へと成長させていきたい」と波多江校長は語る。

調査でもQubenaの高い効果が明らかに

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福岡市立東光中学校

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