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2019年2月12日

「教育情報化コーディネータ 1級」の田中さんに聞く“ICT導入で目指す授業改革”

ICT教育ニュースは2013年にスタートして、今年7年目を迎えています。この6年間の教育現場でのICT活用の進捗はどうでしょうか。6年以上前からICTを活用している学校もあるでしょうし、未だに何もしていない学校もあるでしょう。でも最も多いのは、この6年間で“始めてみた”という学校ではないでしょうか。そして、一番多い評価が“成果が見えない”、ではないでしょうか。ICT導入に二の足を踏む自治体や学校関係者の多くは、「ICT導入の成果は見えるのか」と言って、先延ばししようとします。なぜなのか、ICT導入で目指すべき“授業改革”について「教育情報化コーディネータ 1級」の専門家に現状と今後を聞いてみました。

「教育情報化コーディネータ 1級」はどれくらい凄いのか

「教育情報化コーディネータ 1級」という資格をご存知ですか。日本に5人しかいない教育の情報化や情報教育推進の専門家です。検定試験を実施している情報教育活用協議会の「教育情報化コーディネータ検定試験公式サイト」によれば、1級のレベルは「教育情報化コーディネータとしての豊富な経験をもち、国や都道府県レベルの長期的な計画を 設計・助言できる。

NEL&M代表の田中康平さん

NEL&M代表の田中康平さん

教育情報化コーディネータの指導者として活躍していける。」ということ。2000人以上の3級者と200人強の2級者がいて、僅か5名というのが1級者です。

今回お話を伺ったのは、昨年日本で5人目の「教育情報化コーディネータ 1級」資格者に認定されたNEL&M代表の田中康平さん。ICT教育ニュースがスタートした2013年に同じく、教育関係の販売会社を辞めて佐賀県でNEL&Mを設立、本格的にICT教育の様々な課題解決に関わるようになった方です。ICT教育先進県と言われた佐賀県で様々な実証実験や学校サポート、ICT教育行政に関わり、ICT利活用教育の改善検討委員も務めています。

なぜICT導入は進まないのか

新学習指導要領を実現するために必要なICT環境整備の期限まであと1年。完全に条件を満たしているといえる自治体や学校はまだまだ少ないのが実態です。その原因について田中さんは「予算がないのが一番の原因」とした上で、「ICT環境整備や機器を導入することが目的になっていることが問題」だといいます。

20世紀の教室(Photo by pixta)

全教室に電子黒板を設置するとか、Wi-Fiを使えるようにするとか、1人1台の情報端末を導入するといったことが目的になってしまっていることで「ICT導入による学びの成果が評価できないのが現状」なのだということです。

「ICT活用が実験や実証レベルから本格、大量導入に規模が大きくなってくると確実な教育効果を挙げることが求められるようになると予測していました。しかし、教育の成果についての見方や改善方法が整理されていないままで、整備することが目的になっています。導入する教育現場に“ICTを活用してこういう学びを実現したい”という明確な目標が必要です。

タブレットは導入したが(Photo by pixta)

タブレットは導入したが(Photo by pixta)

しかし、ICTを使ったことがない教育現場が、自ら明確な目標を設定するのは難しいでしょう。導入を決める自治体では導入する部署と利用する部署が異なりますので、性能の評価が精一杯かもしれません。機器やサービスを納入したベンダーやメーカーもその多くが導入したらおしまい、というのがこれまでの状況です」と田中さん。このままでは、益々導入が進まなくなる恐れがあると危惧しています。

そこで、必要になるのが、自治体や学校のICT化を俯瞰して全体的に捉えてアドバイスできる人と、明確な目標です。人なら、教育情報化コーディネータのような知見のある人。そして、ICT導入の明確な目的として掲げて欲しいのが「ICTを活用した授業改善」です。

ICTとタキソノミーを使って“授業改善”

田中さんは最近、自治体や学校関係者向けの「新時代の教育とICT」と題する講演で、タキソノミー・テーブルを使ったICT活用とその評価の話をしているそうです。タキソノミーというのは、ブルームが提唱した学習目標分類(Taxonomy:タキソノミー)のことで、知識や思考力の概念に枠組みを与えるものです。

ご存知の方も多いと思います。2001年にタキソノミー 改訂版が出され、以降OECDの学習到達度調査PISAや、ヨーロッパの言語運用能力基準CEFR、国際バカロレアのディプロマポリシーなどにも採用されていて、日本でも大学入試や中高入試の試験問題の評価で使われ始めているということです。

田中さんが使っているタキソノミー・テーブル

田中さんが使っているタキソノミー・テーブル

田中さんが使っているタキソノミー・テーブルは、低次の学習・認知スキルから高次の学習・認知スキルまで学習目標が6段階に(1)記憶する(2)理解する(3)応用する(4)分析する(5)評価する(6)創造する、と設定されています。そして、この6段階に対応する「学習活動の動詞」と「学習活動の段階 ICTの活用基本的な考え方」を設定しています。

20世紀に日本で成功したとされる学びは、「記憶」して「理解」して「知識」にする、というもの。マークシート方式の入試では、これらが問われました。タキソノミー・テーブルで確認すると2段階目までの学習レベルの中で能力が問われてきたことになります。つまり、答や答の出し方を記憶する教育だったということです。

課外解決型の学び(Photo by pixta)

課題解決型の学び(Photo by pixta)

新しい学習指導要領では、「生きて働く“知識・技能”の習得」、「未知の状況にも対応できる“思考力・判断力・表現力等”の育成」、「学びを人生や社会に活かそうとする“学びに向かう力・人間性”の育成」が3本柱になっています。知識や技能はもちろんですが、“思考力・判断力・表現力”の育成を求めているところに注目です。“思考力・判断力・表現力”こそ、タキソノミー・テーブルの高次に位置する、(3)応用する(4)分析する(5)評価する(6)創造する、学びが必要になるからです。

こうした学びの変化について田中さんは、「20世紀の教育はほとんどがレベル1の“記憶する”が中心でした。これからは社会活動でも入試でも1から6までのレベルが求められる事になりますから、それを授業でどのように実現するかということが問われます。ICTもただ使っているだけでは学びの深化に役立ちませんが、タキソノミー・テーブルに照らし合わせながらどう使ったら高次の学びに繋げられるかという視点で指導案作りに取り組めば、学習活動の充実に役立てることが出来ます」と、授業改善への道筋を示してくれました。

カードを使って「タキソノミー」の説明をする田中さん

カードを使って「タキソノミー」の説明をする田中さん

例えば、タブレットPCを持って街に出て名所の写真を撮ってきただけでは、レベル1の“記憶する”だけです。しかし、「ふるさと紹介のチラシ制作」の授業にして、取材~情報収集・Web検索~グループで話し合い~PCを使ってチラシを作成~発表~評価~改善~配付~第三者評価を聴く、という流れにすればレベル6の“創造する”まですべての段階を含んだ授業にすることが出来ます。

ICTを活用した“授業改善”の進め方について田中さんは、「学習活動充実のためにICTを活用するという事が大切です。1人1台でなくてもPC教室で出来る。でも1人1台なら、もっと学びが深化できるという使い方です。コーディネータの役目は、ICTだけでなく教科や単元の指導案作りまで含みます。学びとICTを結びつけて“授業改善”を進めるのが私たちの仕事です」と語ってくれました。

あなたも、近くの教育情報化コーディネータにICTを活用した“授業改善”を相談してみてはいかがでしょうか。その前に、田中さんのセミナーを受講したい、講演をお願いしたいという方は、山口までメール(yamaguchi@ict-enews.net)してください。(編集長:山口時雄)

関連URL

田中さんのタキソノミー・テーブル

NEL&M

教育情報化コーディネータ検定試験公式サイト

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