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2024年4月10日

飽きさせない仕組みづくりと工夫、通信制高校の「すらら」活用術/並木学院福山高等学校

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勤労青年への高等学校教育の機会提供として戦後に制度化された高等学校通信制課程。近年では不登校生徒の増加を背景に、学びの場の選択肢の一つとして通信制高校への関心が増している。学力も目指す進路も異なる多様な生徒に、AI教材「すらら」の個別最適な学びで成果を上げている並木学院福山高等学校。同校ならではの「すらら」活用について教頭の長尾恵先生に話を訊いた。

並木学院福山高等学校

学力幅の大きさに課題

広島県福山市にある並木学院福山高等学校は通信制課程(2期制・単位制)を置く高等学校。週4日制、週2日制、基本(1日制)の3つのコースがあり、学習科目は生徒の自由選択で、科目のスクーリング(授業への出席)とレポート(学習課題)の作成提出、単位認定試験により単位が修得できる。広島県と岡山県を区域とする狭域の高校で、現在328名の生徒が在籍しており、週2日制コースの生徒が全体の8割を占めている。

並木学院福山高等学校 教頭 長尾恵先生

2021年度から1人1台端末の整備を開始した。中学校からの新入学生はiPadを家庭購入、全日制高校や定時制高校から転校してきた生徒は、前籍校で生徒が使用していた端末を持参する形にしている。

入学の背景も学力もさまざまな生徒たち。中学校で不登校だった生徒は、中学校までの学びが不足していることが多く、また、他校から転校してくる生徒は学年もそれぞれであり、特に高校3年生からの転校生は「大学受験を目指したい」と学力が高い生徒もいる。学力幅の大きさが顕著だ。

どの生徒にもメリットを感じたAIデジタル教材「すらら」

端末整備を開始した2021年。経済産業省によるEdTech補助金の対象にあった「すらら」が無料で半年間利用できることを知り、同校の後期にあたる10月から“お試し”で導入したことが「すらら」活用のきっかけだったという。当初は希望する生徒のみを対象に利用した。

長尾先生は、「放課後にオンラインの“すらら塾”をしてみようと始めました。10名ほどが受講して、教員もやり方を学びながら、生徒も試行錯誤で半年間続けました」と話す。参加したのは、中学校からの新入学生で「復習をしたい」と希望する生徒や、大学へ進学したいが塾に行くには経済的に厳しいため「補習ができるのなら受講したい」と望む生徒など、受講理由もさまざまな生徒たちだった。

数学の小テストに取り組む生徒

「すらら」はAIを搭載した対話型のデジタル教材。小学校から高校までの5科目を、無学年式で学年を遡った学習ができるため小学校からの復習も可能、大学受験に対応する内容までカバーできる。“すらら塾”として利用する中で、生徒が苦手な部分も気軽に学習できることがわかってきた。教員側の操作方法も難しくない。これであれば、どの生徒にもメリットがあると感じたという。

2022年度からは「すらら」の英語・数学・国語の3教科を本格的に導入することを決定。当時、端末を所有している1・2年生は全員に導入、3年生は希望者を対象にパソコン室のデスクトップPCを利用することで「すらら」活用をスタートさせた。

飽きさせない工夫、改善を繰り返した「すらら」活用の仕組みづくり

◆取り組みやすい「時間割編成」
具体的な「すらら」活用を訊くと、同校ならではの工夫が見えてきた。その1つが「時間割編成」。「すらら」に取り組む時間そのものは卒業単位にならないため、「すらら」に向かう生徒の集中力とモチベーションをいかに維持するかが工夫のしどころだったと長尾先生は語る。

単位の取得にはスクーリングが必要。そのため生徒の通学時を利用して、週1回は教員とともに一斉に「すらら」を使って学習する時間を設けた。「1限目と3限目の必修科目の間」といったように時間割の中に「すらら」を組み入れることで、生徒が無理なく取り組みやすい環境づくりをした。

◆集中が途切れないテストと復習の「小分けサイクル」
もう1つは、テストと復習の「小分けサイクル」。生徒が各自の学力レベルに応じた内容で学習が進められるよう、同校ではまず「プレースメントテスト」を行っている。今の学力を知るためのテストで、生徒自身にも自分の実力を把握するのに役立つと長尾先生は説明する。こうして学力のグループを分け、その後に「学力診断テスト」を行い、次に生徒自身が自動復習登録の機能を使って「復習」することで弱点を強化していくサイクルをつくった。

「すらら」で学力診断テストと復習を繰り返す

「プレースメントテスト」は英数国の3教科を行うが、その中から生徒自身が好きな教科を1つ選択し、学期を通して集中的に取り組んでいく。前期・後期とそれぞれ半年で1教科にじっくりと向き合い、次学期では別の教科を選択する方法としている。

工夫のポイントは取り組む際の「範囲」。通常の「学力診断テスト」は範囲が広いため、同校ではこれを4回に小分けした小テストを用意した。これは“すらら塾”での経験から、広範囲のまま誤答した問題を1から復習していくと生徒が飽きてくることがわかってきたからだ。小テストであれば復習範囲も狭くなり、生徒も学びの焦点が定まるのではないかと、すららネット(「すらら」提供会社)スタッフと相談しながらこの方法にたどり着いたという。そして、最初に行った「学力診断テスト」を学期末にもう一度行い、どれだけ成績に変化が生じたかを可視化していく。

しかし、「2023年度の前期もこの方法で実施したところ、小テストがまだ少なく、生徒のモチベーションが保たれずに集中力が切れることがあると感じました」と長尾先生。そこで、さらに細かく8回の小テストを用意した。

また、課題設定もすららネットのスタッフと相談を繰り返しながら改善している。「最近はこれまで設定していた課題のレベルが『上級』では足りない生徒が現れてきたので『超上級』を作ろうと。一方で、数学に関しては『初級』にまだ追いつけず、もっと遡った復習が必要な生徒もいることから、『基本』レベルをさらに下方に作ろうといった感じで、レベルの層も増やしました」。試しては直ちに改善を図る。この繰り返しで、現在の同校にとってベストな「すらら」活用のスタイルが確立できているという。


こうした「すらら」による成果はテストの点数にしっかりと表れている。ほとんどの生徒の成績は向上し、生徒からは「すらら」に肯定的な声も寄せられ好評だという。保護者にも学習効果を伝えるため、各期の振り返りとして最初と学期末の「学力診断テスト」の点数や出席回数などを示した通知を送付し、生徒の理解度などを数値で共有している。

保護者にも通知で生徒の理解度を共有

生徒の進路を叶えるために

今後の課題として、教科と「すらら」のさらなる連携をしていきたいという長尾先生。例えば、「数学Ⅰ」のスクーリングに「すらら」を組み合わせて学び、学習の定着を図るといったことだ。スクーリングの時間がより充実するだろう。

同校には、岡山理科大学、倉敷芸術科学大学、吉備国際大学など関連校が多数あることが強みでもあり、年々生徒数が増加し、進学率も高くなっているという。特に理系の大学進学を希望する生徒には「数学Ⅲ」や「数学C」は必須。これらの科目は「すらら」にまだないが、今後開講が叶えば生徒の進路サポートもさらに強化できるため、ぜひ展開してほしいと長尾先生は期待を寄せる。

通信制高校ならではの最良の学び方を模索し続けている同校。これからも、生徒の可能性を引き出し後押しする学びを「すらら」とともに発展させていく意向だ。

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