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2022年3月25日

続・iPadではじめる!先生のためのICT入門講座 【第12回】iPadで学びに動きを!

【第12回】外山 宏行先生(近畿大学附属小学校)
iPadで学びに動きを!デジタルの利点を活かした授業とは?

「わが校でも今年から1人1台のタブレット端末を導入します」突然の発表に驚いたのもつかの間、教員用ということで1台のiPadが配布されました。「急に言われても、いったい何からはじめていいのかさっぱり・・・」。本連載では、そんな困った状況におかれた先生たちのために、学校でタブレット端末を使うためのポイントを解説。iPadを活用した学びを実践している先生たちの活用事例をもとに、ICTが苦手な先生でも取り組める具体的な活用方法をご紹介します。

ICTは「デジタル好き」の先生だけのもの?

「アナログ」か「デジタル」か?学校でのタブレット活用が広がり始めた10年ほど前、しきりに議論となったテーマです。GIGAスクール構想によって公立の小中学校への1人1台端末の配備が進み、コロナ禍でオンライン授業が広がったことで、最近はこのような二者択一の議論はなくなってきました。

デジタルとアナログをどう使い分けるか

一方で「時代の流れだから…」としぶしぶICTを活用する先生が見受けられます。本来であれば、「アナログ」が得意な部分は「アナログ」、「デジタル」が得意な部分は「デジタル」というように、目的によって使い分けるべきです。では、「デジタル」が得意な部分とはいったい何でしょうか。

そこで前回に引き続き、Appleが認定するADS(Apple Distinguished School)の先生を取材。今回は近畿大学附属小学校の外山宏行先生にお話をうかがいました。ADSでどんな授業が行われているのかを知ることで、ICTの利点を活かした授業とはどんな授業かを一緒に考えていきたいと思います。

本物にふれることを大事にするICT先進校

近畿大学附属小学校は奈良県奈良市にある私立小学校。1954年に近畿大学の附属校として設立されました。大学の校訓である「人に愛される日 信頼される人 尊敬される人になろう」や、建学の精神「実学教育」と「人格の陶冶」をもとに、本物にふれることを重視した教育活動を行なっています。

2016年には学校共有のiPadを活用した授業をスタート。2019年に高学年で1人1台のiPad導入をしたのを皮切りに、段階的に個人持ちでのiPad導入を進めています。教室には天吊り型のプロジェクターとApple TVが設置され、校内のほぼ全域でWi-Fiが利用可能。2021年にApple Distinguished Schoolとして認定されました。

外山先生は、ICT教育推進委員会のメンバーとしてiPad導入を推進してきた教員の一人。Appleに認定されたADE(Apple Distinguished Educator)でもあります。そんな外山先生ですが、意外にも「アナログ好き」なのだとか。iPadを使って実際にどんな授業をしているのか見ていきましょう。

iPadを使うことで実現する「動き」のある授業

「Keynote」にはマジックムーブ機能を設定

「デジタル・ネイティブの子どもたちは、幼い頃からデジタル機器に触れてきている場合が多く、文章や絵・写真よりも、動画のような“動き”のあるものに惹きつけられる傾向があります」と外山先生。紙と鉛筆だけでは実現できない“動き”を、iPadを使って授業の中に取り入れているそうです。

例えば、3年生の算数(10倍、100倍、1000倍)の授業では、紙ではなくデジタルのワークシートを使用。子どもたちは計算の答えを「Keynote」に入力します。再送すると、左辺の「0(ゼロ)」が右辺に移動するアニメーションができる仕掛け。動画に書き出して何度も見返す子も多いとのことです。

・「Keynote」:App Store

子どもたちが撮影した動画を「Keynote」に貼り付け

また、5年生の理科(顕微鏡の使い方)でもデジタルワークシートが活躍します。あらかじめ動画を貼り付ける場所を示した「Keynote」を配布。子どもたちは、指定された箇所の操作を、iPadで動画に撮って貼り付けていきます。使い方の動画をただ見るのではなく、子どもたちが作る側になるわけです。

平城宮跡を訪れ四神の想像図をARで表示

 

 

さらに、3年生の社会(方位)の授業ではARを活用。遥か昔、都を守護したとされる東西南北の守り神(青龍・白虎・朱雀・玄武)を紹介、子どもたちは想像で絵を描きます。そして実際に平城宮跡に出向いて、正しい方角にその絵をARで表示。朱雀門などの残された史跡を手がかりに、子どもたちは方位に興味を寄せながら活動的に学ぶことができたと言います。

 

 

【本日のワーク】「AR Makr」で自作の絵をARで表示しよう!

手軽にAR(拡張現実)を楽しめる「AR Makr」

今回のワークでは、3年生の方位の授業で使ったアプリ「AR Makr」を体験してみます。「子どもでも手軽にARを楽しむことができるアプリ。授業や学級活動などいろいろな場面で学びにARを取り入れられる入門アプリです」と外山先生が絶賛するアプリ。それでは実際にいじってみましょう。

・「AR Makr」:App Store

初めてアプリを起動するとイントロダクションが表示されます。ざっと目を通して「MAKR」と表示された初期画面が出たら「Start」をタップしてください。するとテンプレートを選択する画面になります。今回は試しに「三びきのこぶた」(The Three Little Pigs)のテンプレートを使ってみます。

テンプレートを使えばすぐにARが楽しめる

まずは平面(床面など)にiPadのカメラを向けます。iPadを動かすと格子状の線が広がっていきますので、適当なところでタップします。続いて画面左側から表示させたいイラストを選択。円の中に表示されたら、ピンチ操作で大きさを調整して、OKであれば右側の「PLACE」ボタンで確定させます。

オリジナルの絵や画像を表示させるには、画面左側の「NEW」をタップします。筆のアイコンを押すと手描きモード、カメラのアイコンを選ぶと撮影モード、フォルダのアイコンからiPadに保存された画像を選択することができます。「Skitch」などのお絵かきアプリや「Keynote」で作った画像を取り込むことも可能です。

「Keynote」などで作った画像もAR表示できる

「レ」を押すと「Save Sucess!」と表示されて保存されます。保存されたオブジェクトは他のイラストと同じように選択して大きさと位置を調整。「PLACE」で確定すれば、ARで表示されます。自分でつくったオリジナルのキャラクターがこんなに簡単にAR表示できるとはスゴいですね。

画面左側の「<」を押すと、撮影モードに切り替わり、ビデオとカメラのアイコンが表示されます。配置したARのキャラクターの中を進みながら撮影すると、バーチャル空間を散歩している気分が味わえます。気に入った作品ができたら画面左上の三本線から「SAVE」を選択して保存しておきましょう。

「アナログ好き」の先生こそICTを活用すべし!

iPadを使った「動き」のある授業、いかがでしたか。まさにデジアルだからこそできる授業と言えます。そして大切なのは、リアル(アナログ)を軽視しているわけではないということ。平城宮跡で行ったARの授業などは、地の利を活かしたリアルとバーチャルの融合そのものです。「アナログ好き」だからこそのICT活用法、あなたも探してみませんか。

【実践者プロフィール】
近畿大学附属小学校
外山 宏行 先生

進学塾や専門学校での講師経験を経て、2006年より近畿大学附属小学 校に勤務。2019年にApple Distinguished Educatorに認定。校内外でiPad を活用した実践を発信したり研修やワークショップを行なっている。

【筆者プロフィール】
教育ICTコンサルタント
小池 幸司

教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて導入事例やノウハウを発信している。2013年3月にiPad×教育をテーマにした国内初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」を出版。2020年10月より、YouTubeチャンネル「TDXラジオ(https://www.youtube.com/c/TDXRadio)」を開設し、「Teacher’s [Shift]〜新しい学びと先生の働き方改革〜」のメインパーソナリティを務める。NPO法人 iTeachers Academy 理事・事務局長。

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