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2023年2月20日

ただ書き写すだけのノートを廃止 一斉指導からの脱却で「愉(たの)しむ」学びへ

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柏木小学校では、高学年を中心に自由進度学習を取り入れ、授業を進めています。社会科では「板書を書き写すだけのノート」を廃止し、一斉指導の時間を減らすことで、子どもたちの学びへの姿勢が大きく変化しました。児童が自らの興味関心をもとに学習課題を設定し、一人ひとりの「学びの深化」を実現できたといいます。そこには、どのような課題や工夫があったのでしょうか。校長の竹村郷先生、6年生担任の高橋蔵匡先生に、お話をうかがいました。

<プロフィール>
所在地/東京都新宿区
学校名/新宿区立柏木小学校
生徒数/353人
1クラスの人数/21人〜36人
特色/新宿区教育課題研究校として、個別最適化学習を実施。デジタルドリルを全学年で導入し、家庭学習とリンクさせるほか、主体的・対話的な学習の推進に力を入れている。

◇グラフィックレコーディングを学びに生かす
◇教卓から全員の取り組みを確認できるのはミライシードの強み
◇みんなが自分のペースで主体的に取り組むように

グラフィックレコーディングを学びに生かす

竹村校長先生 3年前、柏木小学校に赴任した当初から「一斉指導からの脱却」 を目指してきました。私自身、現場に立っていた頃から教科書や指導書をほとんど使わずに授業をしていたこともあり、一斉指導にずっと違和感を感じていたんです。

竹村校長先生はこれまで外部との連携も多く、民間企業と授業用機器の共同開発も行なってきた。

先生の板書を全員が同じように記録するノートもあまり意味がない。そこで、柏木小学校では、「ただ書き写すだけのノート」を廃止しました。

教員たちには、よくこんな例え話をします。「ただレシピ通りに料理を作るよりも、目の前の素材を自分がおいしいと感じるように自分なりに工夫して調理したほうが楽しいし、おいしいよね? 学びも同じで、学ぶ楽しさや学ぶ意義を子どもたちが実感できる授業をしてほしい。そのためには教員自身も授業を楽しまないと」と。

学びは、定型のまま伝える部分も必要ですが、学びの過程で自由に発想したことを言語化し、表現することも必要です。企業が会議でホワイトボードを使い、思いついたことやそれぞれのアイデアを共有し合いながら全く新しい考えを生み出すイメージです。それを授業の中にどう取り入れていけばいいのかを考えていたとき、グラフィックレコーディングというものに出合いました。

——グラフィックレコーディングは、企業の会議や講演会などでも近年取り入れられるようになりましたね。

竹村校長先生 グラフィックレコーディングは、自分なりに一度かみ砕き、絵と文字を使いながら配置も工夫して関係性を含めて表現する記録です。また、それを見る人にもわかりやすく伝えられるように作成していきます。本質をつかんでイメージを可視化するにはデザイン力も必要です。つまり、自分で考えなければ描けません。

ちょうどよいタイミングで一人一台の端末が配布され、ミライシードを使って子どもたちが誰でも手軽に感覚的にまとめられるようになったことも大きいですね。それぞれが作成したものを瞬時に共有することも可能になり、友だちの違う視点やアイデアからさらに刺激を受け、新しい考えが生まれるチャンスも増えています。

これまでの教育は「A→A’」をつくるものでしたが、これからは「A→B」「A→C」を生み出す教育にしなければならない。デジタル化によって可能になったことがたくさんあります。ただ、僕はデジタルの端末を使いこなせないので、そろそろ次の世代につなげていきたいと願っています。柏木小学校でも今、現場の先生たちがとても頑張ってくれていますよ。

教卓から全員の取り組みを確認できるのはミライシードの強み

——実際にはどのような授業を行っているのですか。

「以前よりも授業の準備の効率がよくなり、とても楽になりました」と高橋先生

高橋先生 例えば社会科では今、6年生は歴史を学んでいます。私はオクリンクを使って、教科書をベースに単元ごとの学習問題を設定し、学習計画を提示するようにしています。単元に入る前には、図書館支援員と相談しながら参考になる歴史の本や資料を用意してもらい、教室に配置しておきます。

高橋先生 そして、3〜4時間かけてその単元を各自が絵や文章を使って、オクリンクにまとめます。教室にある資料、デジタル教科書やインターネットを参考に調べて自分なりにまとめるのですが、文章でまとめる子もいれば、絵を多用する子もいます。自分が興味を持ったところを深く追求する子もいますね。

――グラフィックレコーディングに近いまとめかたですね。

高橋先生 途中でもみんなのまとめ方を見て参考にできるので、ほかの人のカードを見て「矢印やイラストを入れると見やすい」と気がつくと、アイデアを取り入れているようです。ミライシードは直感的に簡単に操作できるので、誰でも気軽に機能を使えます。必要なキーワードを使ってまとめる力はとても伸びてきていると思います。

そして、最後の1時間でそれぞれのまとめを見ながら単元のポイントを確認しています。「この人のまとめがすごい!」というものをみんなで選んで、その子に発表してもらいます。単元を終えるごとにお互いに高め合っているように見えますね。

それぞれが自分なりのまとめ方で同じ単元に取り組む。ほかの人のカードを見られるのも魅力
※掲載にあたり児童が使用したイラスト・図版の一部を差し替え、または削除しております。

——先生の役割は変化しましたか。

高橋先生 もちろん変わりました。大きな役割としては、単元ごとの事前準備、そして、タイムマネジメントです。ここまで準備したら、あとは出たとこ勝負。毎時間、子どもたちから出てくるもので授業を組み立てていきます。もちろん、一定の押さえておきたいポイントはありますので、気がついてほしいと思うところがあれば、個別に声をかけていきます。

以前は各自がノートやワークシートに取り組んでいるところを一人ひとりじっくり見る時間はありませんでしたが、今は、教卓にいても全員の進み具合を確認できます。それはミライシードの強みだと思います。

みんなが自分のペースで主体的に取り組むように

——子どもたちの学びの姿勢に変化はありましたか。

高橋先生 自由進度学習という意味でも、あらかじめ知識がある子はよりマニアックな知識をどんどん自分で深められますし、うまく進められず困っている子はリアルタイムでフォローできるので、理解度や習熟度に関わらずみんなが自分のペースで取り組むことができています。

「次の時間はこれをやろう」と自分で主体的に考えて授業に臨んでいる子が増えたことも嬉しい変化ですね。休み時間の会話を聞いていると大学のゼミのやりとりのようです(笑)。

それから、保護者の方からも「頑張っています」とうれしい声が届きます。 今は宿題をほとんど出していないのですが、これまで学習が苦手だった子も、家庭で積極的に授業のまとめの続きをしていると教えてくださいました。学びに対する姿勢が主体的に変わってきた証拠ですね。姿勢が変わると結果もついてきますから、保護者の方も安心してくださっています。

竹村校長先生 来年度からさらにもう一歩、学びの最適化と絡めながら教科担任制を進めていく予定です。

例えば、医療の世界では当然のようにチームカンファレンスを行っていますが、教員も高度な授業、学びの深化をより進めていくには、チームで取り組まなければ太刀打ちできません。主に3・4年生、5・6年生と2学年ごとにチームを組んで、複数の教員で2学年を教え、テストに変わる新しい評価としてルーブリック評価も取り入れていきたいと考えています。

——より、教科書だけにとらわれない学びになりそうですね。

竹村校長先生  子どもたちは学習の範囲に関係なく、興味を持てばどんどん力を発揮します。子どもたちの力に制限はないのです。みんなそれぞれに持っている素晴らしい力をどこまでも伸ばしたいのです。

子どもたちが学ぶ目的は、「自分自身を知るため」です。そして、自分自身を知り、社会や他者の役に立つためにどのようなことができるかを知ることです。教員も、HOW(どうやって)ではなく、WHY(なぜ)、そしてWHAT(なんのために)その学びが必要なのかを常に考えながら、新たなことを取り入れ、変化していく必要があると考えています。

ベネッセでは、ICTを活用し教育をアップデートしようとチャレンジする先生・組織を応援し、みなさまの取り組みを全国に広めたいという思いから、「ミライシードアワード2022」の開催を決定。「ミライシードアワード2022」では、ご紹介した実践のようなICTを活用した新たな教育の在り方を広く募集しております。(エントリー期間は2/28(火)まで)。エントリー概要は下記のURLよりご確認ください。

ミライシードアワード2022

※取材の内容は2023年1月時点の情報です。
※掲載にあたり一部の図版を編集しております。

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「ミライシード」

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