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2021年9月27日

子どもの近くで授業ができる!先生端末の活用例/奈良県川西町教育委員会

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2021年 2 月、奈良県磯城郡に位置する川西町では、 GIGA スクール構想の環境整備に合わせて、みらいスクールステーション(以下、みらスク)を導入した。今回の取材では、川西町教育委員会の高塲慎太郎様に、みらスクを導入するに至った経緯を伺うことができた。さらに後日、川西町立川西小学校で情報教育を担当する山岡知樹先生に、教室での活用状況についてお話を伺った。

川西町教育委員会
事務局 高塲慎太郎様

導入の背景

‣GIGAスクール構想前のICT整備状況

川西町立川西小学校

川西町には、町立小学校と隣町との組合立中学校が1校ずつある。小学校を6年前に改築をしたこともあり、それぞれの学校のICTの環境は異なっている。中学校では、普通教室にある液晶テレビを大型提示装置として使用しているが、校内に無線LANはなく、学習指導用の先生パソコンも未整備だった。パソコンを活用したい先生がいる場合には、校務用のパソコンを持ち込んでもらうこともあった。小学校は、すべての普通教室に電子黒板がある。さらに各クラスには、端末が数台つながる無線LAN環境と学習指導用のパソコンを整備していた。

‣課題は、端末のOS混在
GIGAスクール構想の端末整備では、中学校は生徒1人1台に加えて、先生用にもChromebook端末を選定。小学校は、児童1人1台でChromebook端末を整備した。小学校は中学校の環境と異なり、先生用にはもともと整備してあったWindows端末、特別支援学級ではiPad端末を活用する計画であったため、小学校では3つのOS(Chromebook・Windows・iPad)が混在することになった。

これらの端末を効率的に活用していく手段として、それぞれの端末画面のミラーリングに対応した機器を色々探したが、3つのOS全てに対応しているものはなかなか見つけることができず、インターネットで調べて、みらスクに辿りついたという。

‣先生を教卓から解放したい
高塲様は、GIGAスクール構想以前の小学校の授業の様子を何度か視察しにいくうちに、先生のある動作に着目するようになったという。「電子黒板と教卓の上にある学習指導用ノートパソコンが有線ケーブルで繋がっていると、教材を提示するときには、都度教卓に戻らないといけない。電子黒板を操作する際には、子どもたちに背中を向けなければならない。この状況を見て、これってどうなのかな? と疑問を持つようになりました」と、当時を振り返る。

そこから、先生と教卓が繋がれてしまっている状況を開放すれば、机間巡視しながら、子どもたちの近くで授業ができるさらに、教室の後方に居ても電子黒板に教材を提示することができれば、もっと効率的できめ細かな授業ができるのではないかといった考えに至った。もちろん、学校現場からも「無線でミラーリングできるようにして欲しい」という声があったという。

そこで、無線でパソコン端末と電子黒板を接続できる環境整備として、画面ミラーリング端末を導入するために要望を上げ続けた結果、今回のGIGA スクール構想の整備のタイミングで、みらスクの同時整備が実現できたそうだ。

みらスクの活用

川西小学校の山岡先生

みらスクが導入されてから 3 か月が経過した 2021 年 5 月。教育現場では、みらスクがどのように活用されているのか、川西町立川西小学校の山岡先生に伺った。

同校の教室には、電子黒板が常設されており、先生の端末ではデジタル教科書やインターネット検索など、様々なデジタル教材を用いることができるようになっている。

‣教材を電子黒板にパッと提示

電子黒板に教材を投影し、解説を書き込んでいる様子

基本的な使い方として、デジタル教科書を電子黒板に投影し、ペン書き込みで解説を加えていく授業が行われている。「例えば、国語の授業で、落下傘という文字が出てくると、子どもの中には言葉だけでは理解に苦しむ子もいます。そんなときは、端末を用いて即座に落下傘の写真をインターネット検索して大きく提示するようにしています。すると、あ、パラシュートだ!と、時間をかけずに深い理解につながります」と、子どもたちの理解をサポートするツールとして端末と電子黒板の組み合わせが役立っているようだ。

また、ICT環境整備の効果を実感したのは、それだけではないという。「クラス全員に出題したいときは、これまでは予めプリントを印刷しておいて、授業の途中で配布していました。従来は、これが普通だと思っていましたが、今振り返ってみると意外と手間だったことに気づきます」という。今ではプリントを印刷する手間と授業中に配布する時間のロスが無くなり、授業の中身がより濃いものになっているようだ。

‣もう有線には戻れない

机間巡視しながら、教材を画面ミラーリングしている様子

つい数年前までは、パソコン端末の画面を大型提示装置に投影するためには、HDMIケーブルに代表されるように有線ケーブルによる直接接続が当たり前だった。だが、みらスクがある同校では、端末と電子黒板が無線で繋がっている。山岡先生は、「端末の画面を電子黒板に投影する際は、間違いなく無線接続が良い」と胸を張って言い切る。その理由を尋ねてみた。「例えば、計算問題を解く時間に答えに行き詰っている子を見つけたら、授業の進行を止めずに、その子の座席へそのまま近寄っていくことができるようになります」という。

子どもに寄り添った授業を実施

さらに「英語の発音のときには、机間巡視しながら、端末を操作して前方の電子黒板から動画や音声を流すことができます。教師は前方の座席の児童の発音だけでなく、後方の児童の声も聞き、発音へのアドバイスができるようになりました」と笑みを浮かべながら語る。

「これらは電子黒板と端末が有線で繋がっているときにはできなかったことです。一度無線を経験してしまうと、もう有線には戻れませんね」と感想を述べた。教室では、端末を片手に無線による画面ミラーリングをしながら机間巡視するスタイルが、子どもに寄り添った授業を実践する上で大切と考えているのだそうだ。

今後の活用

川西町では、「先生が、教卓から解放された教育環境を用意したい」という教育委員会の想いに充分応える形で、教育現場では、正に子どもたちに寄り添った授業が行われていた。このような画面ミラーリングを用いた授業は、殆どの先生が実践しているそうだ。「導入当初は、皆が活用できるようになるか不安でしたが、操作が簡単だったため、たった1回の研修で多くの先生が使い方を覚えてしまいました」と振り返った。今後は、みらスクの用途を広げ、子どもたちの Chromebook 端末の画面ミラーリングや校内ライブ放送機能の活用も検討するという。

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