2014年10月16日
広尾学園/「ICTカンファレンス2014」を開催
広尾学園中学校・高等学校(広尾学園)は、これまで実践してきたICT教育の情報共有などを図る「ICTカンファレンス2014」を10月14日に開催した。
広尾学園は、東京都港区の私立中高一貫校。2007年、インターナショナルコース(中学)の1年生を対象に「MacBook Pro」1人1台の購入を実施し、ICT環境構築の第一歩を踏み出した。2012年度には中学1年生全員を対象に私物端末による「iPad」を、2014年度には医進・サイエンスコースの生徒を対象にGoogleの「Chromebook」を導入するなど、教育現場でのICT活用の成功例として注目を集めている。
カンファレンスでは、午前中に中学校本科クラスとインターナショナルコース(1クラス)、高校の医進・サイエンスコースを対象にした公開授業を行い、午後は生徒のパネルディスカッションのほか、医進・サイエンスコース、インターナショナルコースの教員による広尾学園のICT教育についての情報共有を行った。
情報共有では、インターナショナルコース教員であるMr.マクルアーが登壇。授業ほかでのICT活用について紹介した。
授業の一例としてMr.マクルアーは、生徒同士で意見を出し合い議論する、ピアレビュー(Peer Reviews)について解説した。インターナショナルコースではピアレビューのために、ターンイットイン(Turnitin)という剽窃防止ソフトと、オープンソースeラーニングプラットフォームであるムードル (Moodle)を活用。エッセイや論文を書く際には引用などを適切に扱う必要があることなどを、こうしたツールを使って学習させているという。
欠席者のための授業内容の記録となることや、生徒1人ひとりのペースに合わせた学習の実現といった点からもICT活用は効果的だと語った。
最後に、医進・サイエンスコースの木村健太教諭、小林貴洋教諭(中学・英語)、町田貴弘教諭(中学・社会)、安部公房教諭(中学・美術)、鹿内芳貴教諭(中学・英語)による教職員パネルディスカッション×質疑応答を実施した。
ICT活用教育を推進していく上での問題点はなかったのかといった質問に対して、まず1学年1クラスで導入するなど小さい規模でスタートし、反省を踏まえて改善してきたと回答。教員にも得意不得意があるのは承知しており、生徒の手元にあるツールを活用するため、最低限やることとして、「英語と国語ではiPadを辞書として活用」「インターネットによる調べもの」に活用していくことを目指したと説明した。
また、医進・サイエンスコースでみられた英語のメディカル論文を読むという内容について難易度の高い内容をどのように理解・指導しているのかといった質問が挙がった。これに対して、論文は文法的に難しいものは少なく、訳せるところから訳してみると大筋が読めるようになるもので、難しいのはメディカルに関するバックグラウンドの要素だということが理解できると語った。そして、教科を超えて英語の教員からのバックアップがあるなど、教員間の協力体制の重要性についても触れた。
さらに、教える教員によって同じ教科・単元でも内容が異なることがないのかといった質問が挙がった。
それに対して、教員間の情報共有ツールとしてサイボウズを活用していると回答。同じファイルを使って授業を進められるよう、メール形式で共有しているという。また、同学園の文化として「教員間でのコンテンツの共有」があると語り、良いものをシェアしようという考え方が浸透していると説明した。
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