2015年3月2日
DiTT/つくば市、荒川区、備前市の首長が語る教育の情報化事情
デジタル教科書教材協議会(DiTT)は2月23日、シンポジウム「未来の教育のあり方を考える~先導自治体が描く未来~!」を慶應義塾大学三田キャンパスで開催した。
教育のICT化について先進的な取組みを行っている自治体の首長が、「推進できる自治体とそうでない自治体の違いは何なのか?」「今後どうやって推進していけばよいのか」などを語り合う催し。
茨城県つくば市の市原健一市長、東京都荒川区の西川太一郎区長、岡山県備前市の吉村武司市長、DiTTの小宮山宏会長と中村伊知哉事務局長、石戸奈々子理事によるパネルディスカッションでは、それぞれの自治体における先進的な取り組みについての報告があった。
始めに、つくば市市原市長が「グローバルな人材を育成する教育」をテーマにしたプレゼンテーションを行った。つくば市は、1976年に日本で初めて授業へコンピュータを取り入れる等、ICT活用の先駆けとなる自治体。現在、市内37の公立小学校と15の公立中学校で授業のほか様々なイベント等でも電子黒板やタブレットPC活用を進めている。また、インテルやマイクロソフトなどIT企業との交流を行うほか、10年前に家庭学習システム「つくばオンラインスタディ」を構築。小学1年〜中学3年生までを対象に1万題のeラーニング教材を用意する等、学習環境を整えている。こうした取り組みの実現について市原市長は、“大切なのは首長と教育長とのコンセンサスづくり”だと語り、ITは重要なツールで、主体的に活用することが大切ではないかと述べた。
次に荒川区西川区長が、2012年度からスタートした教育の情報化に関する取り組みの経緯等について語った。荒川区では、2012年度に電子黒板、2013年度に指導者用デジタル教科書、2014年度には全小中学校への1人1台タブレット導入に踏み切った。その理由について、“一番のり効果”を狙ったと西川区長。それにより環境整備にあたっては企業等からのサポートを受けることができたとともに、人口約22万、小中学校数34校、児童生徒数は1万1千人と他の行政区と比べ小規模な点も、導入においてのスケールメリットとなったと語った。
また首長の選挙公約として、“教育”はテーマになりにくいのではないかというモデレーターからの質問に対して、そんなことはなく“教育は票になる”と述べた。小中学校へのタブレット導入のほか学校図書館の充実化を重点的に進めることが自治体の活力や魅力につながっていると言い、治安も良くなっていること等を背景にして荒川区では人口が増加しており、とくに子育て世帯が増えている、とその好影響を語った。
また、備前市吉村市長が「備前における教育ICTの活用」について紹介した。備前焼で有名な備前市は、岡山県の南東部にあり面積の75%を山林が占める自治体。市内にある13校の公立小学校、5校の公立中学校にタブレットを一斉配布したのは2013年12月のこと。これらを実現するまでには学校現場の環境整備はもちろん、市議会での予算調整等、費用をどうやって付けるのかという課題に対する取り組みは避けて通れないものだったという。そして、“ICT環境整備は首長の想いが大切”であり、“首長のやる気次第で予算は付いてくる”と、これまでの経験を語った。
DiTTは今後も、教育の情報化に関する普及促進活動を行うとともに、地方自治体の先進的な取り組みについてもWebサイトを通じて情報発信していくとしている。
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