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2016年2月24日
新経済連盟セミナーで“官民学”がプログラミング教育を語る
新経済連盟 教育改革PTは22日、プログラミング教育セミナー「プログラミング教育の充実に向けて(教育改革第1次提言)」を開催した。
冒頭、新経済連盟のプログラミング教育に関する考え方について、事務局の小木 曽稔 政策統括は「世界では、イノベーションを起こす人材育成のため、STEM教育やプログラミング教育の導入の流れがあり、ITをうまく活用しながら「教える」「学ぶ」という分野のイノベーションが起きている。日本もその流れに取り残されないために、現状や課題を共有し官民が連携して社会に発信していくことが必要」だと、提言の目的を語った。
つづいて登壇した文部科学省生涯学習政策局の磯 寿生情報教育課長は、プログラミング教育の現状について「中学校の技術・家庭科で必須化、高校でも情報科の“情報の科学”で扱っているが、充分とは言えない。プログラミング学習を担当する教員の指導力の不足、また、学校活動全体を通じて情報活用能力を育成するカリキュラムがなく、学習指導方法や教材の開発も遅れている。文部科学省でもこれまで様々な取り組みをしてきたが、今後は社会との連携を促進していく必要がある」と述べた。
また、現在中教審で検討されている学習指導要領の見直しにおけるプログラミング教育については、「高度情報社会に対応する情報教育が求められており、文理の別や卒業後の進路を問わず、情報の科学的理解に裏打ちされた情報活用能力を身につけることが重要」だと、改訂の必要性を語った。
“民”を代表して登壇したのは、CA Tech Kidsの上野 朝大代表取締役。
民間におけるプログラミング教育の現状について「学生・社会人向けのスクール、専門学校から小学生のためのプログラミング教室まで、リアルでもオンラインでも様々なスタイルがある。最近では小学生が対象のワークショップなどに人気があり、盛り上がっている。子どもに習わせたい習い事ランキングでも、Best10にランキングしており、いずれ日本でもスティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグが誕生するかもしれない」と、明るい未来を語りながらも「民間でも“楽しい→もっとやりたい→極めたい”という成長を支えるような仕組みが必要だ」と、プログラミング教育の継続性を求めた。
研究者の立場から登壇したのは、愛知教育大学 創造科学系の磯部 征尊准教授。プログラミング教育の先進国である英国の現状を紹介した。
磯部准教授によると、英国では1990年頃からカリキュラム「技術」で「Design and Technology(DT)」とともに「Information Technology(IT)」、後に「Information and Communication Technology(ICT)」と教科名を変えながらも情報教育は歴史を積み上げてきた。しかし、2012年英国王立協会が「消滅か再出発か?連合王国の各学校におけるコンピューティングを行うための方法」を出版。英国における情報教育の問題点を指摘した。
その問題点とは、「教科内容が過度に後半で浅いこと」「教員によって一律でないこと」「基礎的なディジタルリテラシー(ワープロなど)しか教えられていないこと」の3点だという。
こうした指摘を受け教育省は2014年、教科「ICT」を教科「コンピューティング」に変更し目標や内容の大改革を実施した。教科「コンピューティング」の内容は、「アルゴリズムやプログラムの作成を行う“コンピュータ科学”」と「コンピュータを安全かつ効果的、安全に使う“ディジタル・スキル”」、そして「目的達成のためにディジタルシステムのデザインと応用をする“情報技術”」の3つ。
5歳~7歳が対象となる学年「Key Stage 1」でさえ、「アルゴリズムとは何か」、「単純なプログラムの創造・修正」、「論理的思考を用いて、単純なプログラムの反応を予測する」といった高度な内容。
最後に磯部准教授は、「2014年の改革の成果はまだ見えてこないが、改革前のプログラミング教育の失敗の原因1つに“教師の力不足・人員不足”が挙げられていただけに今、大学や学校現場では教員職能教育に奮起している。教師になる学生や現職教員へのプログラミングのトレーニングを充実させている」と、プログラミング教育の推進には、人材育成が欠かせないと締めた。
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