2022年3月29日
高知高専、高専衛星KOSEN-1宇宙技術実証に成功
高知工業高等専門学校は25日、同校を中心とする10高専(高知高専、群馬高専、徳山高専、岐阜高専、香川高専、米子高専、新居浜高専、明石高専、鹿児島高専、苫小牧高専)が開発した超小型衛星KOSEN-1が行う、3つの新しい宇宙技術実証のうち、最初の技術実証となる衛星の心臓部に市販のLinuxマイコンボードを使う先進的な宇宙技術実証に成功したと発表した。
超小型衛星KOSEN-1は、JAXAのイプシロンロケット5号機により、2021年11月9日9時55分16秒(日本標準時)に打ち上げられた。このKOSEN-1衛星は、2018年12月にJAXAの革新的衛星技術実証2号機の実証テーマに選定され、50名を超える高専生を中心に2年半かけて開発されたもので、3つの新しい宇宙技術実証が予定されている。
今回、最初の技術実証となる衛星の心臓部に市販のLinuxマイコンボードを使うという先進的な宇宙技術実証に成功した。この技術実証では、超小型で低消費電力となるLinuxマイコンボードを、衛星の心臓部となるOBC(Onboard Computer)に使用し、常時衛星で運用する先進的な技術実証を行い、OBCと連動した搭載カメラによる地球の写真撮影にも成功した。
KOSEN-1衛星は、大きさが10センチ四方の立方体(1U)を縦に2つ重ねた超小型サイズ(2Uのキューブサットで寸法は10cm×10cm×23cm)で重量は2.6kg。
今回、キューブサットと呼ばれる超小型衛星の心臓部のコンピュータ(OBC)に、市販のLinuxマイコンボードを使うことにより、高度な衛星用ソフトのプログラミングを初心者にも学びやすいプログラミング言語のPythonで行うことを可能とし、多くのプログラム開発者が分散してソフト開発ができることを実証できた。
このOBCは、超小型で低消費電力となるLinuxマイコンボードのRaspberry Pi Compute Module 1 (CM1)を使うことにより、LinuxのOS上での膨大なリソースを使うことが可能となった。また、市販のCM1ボードを使うことで、OBCのハード的なシミュレーションも容易に行えるようになった。OBCのソフト開発においては、CM1ボードを使って開発するプログラムをインターネット上で共有することにより、各ミッションのソフト開発が行われた。この方法により、多くの高専生が参加する新しい分散型OBCソフト開発が実現できたという。
また、マイコンボードのRaspberry Piを活用した作品やアイデアを競う「みんなのラズパイコンテスト2021」に、KOSEN-1チームとして「ラズパイ衛星KOSEN-1」のタイトルで応募し、155件の応募の中、最高賞のグランプリ賞に匹敵する特別賞を2021年11月23日に受賞したという。
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