2023年3月1日
高校の88.6%が「生徒用モバイルICT端末」を導入し、うち76.4%が「1人1台」配備 =旺文社調べ=
旺文社は2月28日、全国の国公私立高校計786校を対象に実施した、「全国の高校におけるICT活用状況の実態調査」の結果をまとめ発表した。
同調査は、高校のICT機器・サービスの導入状況と活用実態についてアンケート調査するもので、7回目となる今年は、ICTの教育利用に関する近年の傾向と課題について、過去の調査データとの比較を交えた分析を行った。
それによると、全国の高校で導入・使用されているICT機器に関する調査では、「生徒用のPC端末(タブレット型)」が68.5%、「生徒用のPC端末(ノート型)」が36.9%と、モバイル使用可能な生徒用ICT端末の導入が、いずれも昨年調査に引き続き高い割合になった。両者回答を合わせて重複を除いたモバイルICT端末の導入率合計は88.6%に上っている。
また、生徒の私物端末を教育利用する「BYOD」や、学校が推奨した機種を個人が私費購入して利用する「BYAD」の割合も、41.0%に達し伸び続けている。
これら生徒用モバイルICT端末導入校の配備状況の内訳を調べたところ、「生徒1人1台配備」と答えた高校の割合は76.4%で、GIGAスクール構想が掲げる「1人1台端末」の整備は、直近3年間で急激に進んだことが分かった。
端末配備が進んだことは教員の意識調査にも表出しており、ICT端末活用における課題を聞いた調査では、「十分な端末数の配備」の回答割合が12.9%と、直近3年間で大幅に減っている。
一方で、端末台数の増加に伴う運用やメンテナンスに対する負担についての課題や、教員用端末の不足を指摘する声も寄せられた。
また、高校におけるネットワーク環境の整備状況についての調査では、「校内のどこでも無線でのネットワークを使用できる」38.5%と「校内の通常教室で無線でのネットワークを使用できる」43.4%の割合がさらに増えた。
一方で、端末活用における意識調査では、「ネットワーク環境の整備」を課題に挙げる割合が48.9%と一定数を占めた。ネットワーク自体には繋がるものの、生徒が一斉に通信利用できないなど、ネットワークの「質」についても課題として上がっている。
ICTの必要性を感じるポイントについての調査では、「校務負担の軽減」75.7%、「教材のペーパーレス化」69.4%が昨年に引き続き高い割合となり、ICT活用による「校務DX」への期待がうかがえる。
コロナ禍の影響で休校措置が取られた2020年と比較しても、「リモートでの課題配信」63.1%、「生徒や保護者との連絡」60.4%などは回答割合が減っておらず、高校で恒常的なICT利用が定着していることが裏付けられた。
このほかICT活用に期待を寄せるポイントとして、授業展開の幅を広げて学びを深めることの意義や、2022年4月から共通必修科目となった「情報I」をはじめとする「情報科」授業での活用を挙げる意見も見られた。
生徒用モバイルICT端末を導入している高校では、12.7%が「十分活用できている」、62.1%が「まあまあ活用できている」と答えており、全体の7割以上が利用状況に肯定的だった。
その一方で、端末活用における課題としては、「教員の活用スキルの引き上げ」84.3%が例年調査と変わらず最多だったが、同時に「活用に適した場面の見きわめ」54.3%の回答割合が昨年から増えた。
「学校での活動を盲目的にデジタルに置き換えるべきではない」と指摘する声もあり、高校では今、ICTを利用すべきシーンを本質的に見きわめる目が必要とされている。
この調査は、旺文社の独自リストに基づく全国の国公私立高校計5068校(中等教育学校を含む/高等専門学校・高等専修学校を除く)を対象に、2022年12月上旬~2023年1月上旬にかけて、対象校にアンケートDMを送付しFAXとWebページで回答を受付ける形で実施した。有効回答数は786校。
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