2020年2月25日
全国の高校のタブレット導入率が約半数に =旺文社調べ=
旺文社は、全国の高校を対象に実施した「ICT機器・サービスの導入状況および活用実態に関するアンケート調査」の結果をまとめ、21日に発表した。今年で4回目となる同調査は、回答校数が過去最多の全国計1494校に上った。
調査結果によると、全国の高校におけるICT機器の導入・使用状況を調べたところ、「大型提示装置(電子黒板・プロジェクターなど)」(81.0%)が、過去の調査に引き続き回答数トップとなった。
一方、生徒自身が使用する端末の導入率は、「生徒用のPC端末(タブレット型)」(48.0%)が昨年調査から大きく増加した。
また、タブレット型PCをはじめとしたモバイル端末の利用に必要な、無線ネットワークの整備状況については、回答校の61.4%が、エリアの大小に限らず「無線でのネットワークを使用できる」と回答。
中でも、「校内のどこでも無線のネットワークを使用できる」(16.4%)、「校内の通常教室で無線でのネットワークを使用できる」(15.8%)の割合は、昨年から大きく伸びた。
授業の中でタブレット型PCなどのモバイル端末を利用できる環境の構築が、着実に進んでいることがうかがえる。
昨年利用率が顕著に増えた「生徒の私物端末(スマホ・PCなど)」については、今回の調査でも4.2ポイント増の23.5%となり、さらに拡大の傾向が見られた。
また、高校における生徒私有のモバイル機器端末(スマホなど)の使用制限状況について調べたところ、「学習などの目的であれば校内で自由に使用できる」の回答割合は全体の19.7%となり、一昨年調査から倍近くにまで伸びている。
「校内で自由に使用できる」(16.0%)と合わせると、私物端末の教育的利用ができる高校の割合は、回答校全体の35.7%に上る。
校内でのスマホ使用制限が緩和され、学校配備端末のかわりに生徒が使い慣れた私物端末を利用する「BYOD」によって、端末導入のコストをかけなくてもICT活用のメリットを創出できる可能性が広がっている。
「BYOD(Bring Your Own Device)」は、元々は企業などの団体組織で個人所有のモバイル端末を職場に持ち込み、それを業務目的の情報端末として運用するという取り組みのこと。
タブレット型PC導入校に端末配備状況の内訳を聞いたところ、「生徒1人1台配備」と答えた高校の割合は合計21.3%で、昨年度調査から2.0ポイント増となり、過去最多の規模に拡大した。
回答校を国公立・私立に分類すると、「生徒1人1台配備」の割合は、国公立(5.4%)・私立(43.8%)で、私立校の方が圧倒的に多く、配備傾向に大きな差があることも分かった。
さらに、今後タブレット型PCの導入予定があるという高校では、合計48.3%が「生徒1人1台配備」を見込んでいると答えており、この傾向が私立校を中心に今後も拡大していく見通し。
タブレット型PCを既に導入している高校に端末活用状況を聞いたところ、「十分活用できている」あるいは「まあまあ活用できている」と答えたのは合計62.4%で、昨年調査時から5.3ポイント減となった。
新規の端末導入率が上がり、導入校の回答母数が増えたことで、活用に対する意識傾向の揺り戻しが見られた。
端末の活用にあたってどのようなことに課題を感じているかを聞いた調査でも、「教員の活用スキルの引き上げ」(77.4%)や「活用に適した場面に見きわめ」(37.6%)の割合が昨年調査から増加するなど、教員側の課題意識の高まりが読み取れる。
また、端末の「生徒1人1台利用」や「BYOD」の導入が進んだことで、「生徒の情報モラルの向上」(49.2%)や「情報セキュリティ対策」(35.5%)を課題に挙げる声も大きくなっている。
高校でICT活用の必要性を感じるポイントについて聞いた調査では、「映像授業・動画視聴」(70.4%)が最多だった。
その他「アクティブ・ラーニング」(53.3%)にも回答が集まり、2019年度の高校1年次より科目に取り入れられた「探究学習」に象徴される、授業内容の変化・深化のために、ICTの活用が求められていることが分かった。
また、「校務負担の軽減」(53.4%)や「教材のペーパーレス化」(44.6%)にも、一定数の回答が集まり、校務や授業の運営面にも、ICT活用が大きい影響をもたらしていることが見て取れる。
今回の調査で、全国の高校において、タブレット型PCをはじめとした生徒用端末や無線ネットワークといった、ハードウェア・設備面でのICT環境整備が、急激に進んでいることが分かった。
設備投資に十分なコストをかけられない学校でも、生徒の私物端末を学習に利用するといった工夫が見られた。
また、ICT機器を活用するためのソフトウェアやサービスは、映像・動画の視聴や「探究学習」などのアクティブ・ラーニングといった、授業変革のシーンで大いに必要とされていることも分かった。
この調査は、昨年12月上旬~今年1月上旬にかけ、旺文社独自リストに基づく全国の国公私立高校計5124校にアンケートDMを送付し、FAXおよびWebページで回答を受け付けた。その結果、全国1494校からアンケート回答が寄せられた。
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