2026年8月24日
北里大学、働く人のメンタルヘルス改善を支援するアプリ「ASHARE(アスハレ)」の効果を実証
北里大学は21日、同学医学部公衆衛生学の渡辺和広 講師・堤明純 教授、産業医科大学 IR推進センターの井上彰臣 准教授、東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座の櫻谷あすか 特任講師・今村幸太郎 特任准教授、労働安全衛生総合研究所の吉川徹 統括研究員らの研究グループが、働く人の身体活動と心理的苦痛の状態を自動で推定・可視化し、身体活動習慣の維持・変容を支援するスマートフォンアプリ「ASHARE」を開発したと発表した。
さらに、これを用いた無作為化比較試験を実施し、アプリの使用が働く人の心理的苦痛の低減に有効であることを明らかにした。この研究成果は、2026年8月14日付で、国際学術誌「Journal of Medical Internet Research」に掲載された。
■研究成果のポイント
・スマホアプリ単独の介入によるメンタルヘルス改善効果を実証:歩数等の身体活動とメンタルヘルスを受動的に (自動で) モニタリングするアプリ「ASHARE」を使用することで、アプリ使用3ヶ月後の心理的苦痛が有意に低下した。
・もともと心理的苦痛をあまり感じていない人においてより高い効果:研究開始時に心理的苦痛の水準が高くない人 (K6日本語版の得点が5点未満の人) においてアプリ使用の効果がより大きく、心理的苦痛の増加を抑える効果が期待できることが示された。
・効果は短期間で限定的:ただし、心理的苦痛の低下の程度はわずかであり、またアプリの使用終了後には心理的苦痛の水準が研究開始時に戻ってしまったことから、効果を維持するためにはアプリの使用継続のための工夫が必要。
■研究の背景
労働者 (働く人) のメンタルヘルス問題は深刻であり、労働年齢人口の約15%がいずれかの時点で何らかの精神障害を抱えているとされている。また、明確な障害と診断されずとも、抑うつ、不安、あるいは心理的苦痛を抱えて働く人はさらに多く、休職や生産性低下のリスクにつながっている。
身体活動・運動の促進は、メンタルヘルス改善に有効な非薬物的アプローチとして知られている。また、スマートフォンアプリ等を利用してこれらの介入を個人の端末に届け、健康支援を行うモバイルヘルス (mHealth) も注目されているが、これらは既に何らかの症状がある高リスク者を対象とした研究や、マインドフルネス・認知行動療法に基づく心理的アプローチの検証が中心で、健康な働く人を含む集団を対象に身体活動習慣の維持・変容を支援するアプリの効果を厳密に検証する研究は限られていた。
■研究内容と成果
本研究では、日本の働く人793名を対象に、アプリ「ASHARE」の効果を検証する無作為化比較試験を実施した。アプリ「ASHARE」を3カ月間使用する群 (397名) と、ストレスに関する冊子を読む群 (対照群、396名) の2つに、研究参加者を無作為に割り付け、その後の心理的苦痛や身体活動水準の変化を調べた。
その結果、3カ月後の調査において、アプリを使用した群は、冊子を読む群と比較して、心理的苦痛の得点が0.56ポイント低下し、統計的にも有意な群間差を認めました。
また、研究参加者を研究開始時の心理的苦痛の水準で二分した解析を行ったところ、もともと心理的苦痛をあまり感じていない人 (K6日本語版の得点が5点未満の人) においてアプリ使用の効果がより大きいことが示された。もともと心理的苦痛をあまり感じていない人は、アプリを使用した場合に対照群と比較して3カ月後の心理的苦痛の増加が抑えられていた。
■論文情報
掲載誌:Journal of Medical Internet Research
論文名:A mobile health intervention promoting physical activity to reduce psychological distress among workers: A randomized controlled trial
著者:Kazuhiro Watanabe, Akiomi Inoue, Asuka Sakuraya, Kotaro Imamura, Toru Yoshikawa, Akizumi Tsutsumi
DOI:10.2196/96072

アプリ「ASHARE (アスハレ)」
*アプリ「ASHARE」はデータ通信費を除いて無料でインストール・利用できる。
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