2026年10月21日
英語での議論・交渉は9割超が「AI代替不可」企業・個人で共通認識 =レアジョブ調べ=
レアジョブは19日、英語学習をしているビジネスパーソン724名と、企業のグローバル人材育成担当者117名(109社)を対象に実施した「AI時代の英語力と対人学習に関する実態調査」の結果を公開した。
それによると、企業および個人を対象に「従業員・自身に求められる英語の実務内容に対するAI代替可否」を尋ねたところ、業務の難易度や対人折衝の深度によって、AI代替の可否が極めて鮮明に分かれる結果となった。
「ルーティンワークや単純作業での定型的な連絡」では、「AIで対応可能、英語力を身につける必要はない」が企業担当者で87.2%、個人調査で79.7%に達し、定型業務のテクノロジー移行は共通認識となっている。一方、「業務の進捗確認、準備した上での意見表明(CEFR B1相当)」では企業担当者の51.3%、個人の43.8%が「AIで代替は不可能、英語力を身につける必要がある」と回答し、ここが最初の分岐点となっている。
さらに、「利害対立における反論や議論のリード(CEFR B2相当)」では企業担当者の90.6%・個人の69.9%、「シビアな条件交渉や多様で複雑な議論のまとめ(CEFR B2 high以上相当)」では企業担当者の93.2%・個人の72.2%が「AI代替不可(英語力を身につける必要がある)」と回答した。
企業調査において「生成AI普及に伴う、メール作成や資料読解といった英語の読み書き業務の効率変化」を尋ねたところ、「大幅に効率化した(57.3%)」「多少効率化した(34.2%)」を合わせ、91.5%の企業が効率化を実感していることがわかった。
メール作成や資料読解といった作業領域でAI活用が定着する中、企業が現在最も重要視している英語力の技能は「話す(44.7%)」が最多となり、「読む(3.9%)」「書く(3.9%)」は各4%未満にとどまった。
こうした作業の代替が進む一方で、AI普及後も「従業員自身の英語力が必要である」と回答した担当者は94.9%に達しており、単に「語学学習が不要になる」ということではなく、現場で求められるスキルの重点が変化している様子がうかがえる。
英語を使用する業務でAIを「ほぼ毎日使っている」ヘビーユーザーに対し、「人間の先生と学ぶ機会の必要性」を尋ねたところ、96.3%が「必要」「ある程度必要」と回答した。これら対人学習を必要と回答した層において、人間の先生から学ぶ具体的な価値として最も多く挙げられたのは、「突発的な雑談や脱線から得られるリアルな対応力(75.0%)」で、「表情や相槌など、非言語コミュニケーションを含むリアルな空気感(57.6%)」が続いた。
一方、「英語業務でのAI活用の不安要素」については、「誤訳に気づけない(49.7%)」「相手に合わせた言い回しが難しい(44.0%)」が上位となったほか、「文化や習慣に配慮した表現ができない(24.6%)」との回答も見られた。
AIを日常的に使いこなす層であっても、相手に応じた細かなニュアンスの使い分けや文化的背景への配慮といった「対人コミュニケーション特有の難しさ」に直面している。だからこそ、AIだけでは補い切れない生きた対話力やアドリブ力を、人との学習に求めている実態がうかがえる。
企業が従業員に求める英語スピーキング力の到達基準を役職・階層別に見ると、職位が上がるにつれて求められるレベルが明確に高度化する傾向が明らかになった。
一般社員・若手層に対しては、「挨拶や簡単な意思表明ができるレベル(CEFR A1~A2相当)」を求める企業担当者が49.6%と約半数を占めている。一方、次世代リーダー層では「担当業務に関する打ち合わせへの参加や情報交換ができるレベル(CEFR B1・27.4%)」や「評価のフィードバックや1on1ができるレベル(CEFR B2・47.0%)」と、自立して業務上の英語コミュニケーションをスムーズに進められる中級以上のレベル(CEFR B1以上)が約9割を占めた。
さらに、役員・エグゼクティブ層においては、「TPOに沿った説得と巻き込み、ゴール達成へのリードができるレベル(CEFR B2 High以上)」を求める割合が62.4%に達した。前述の調査では、反論や議論をリードするB2相当以上の業務について、企業担当者の9割以上が「AIでは代替できず、自らの英語力が必要」と回答している。これらの結果から、職位が上がるほど、単に英語で情報を伝達する力ではなく、相手を説得し、利害を調整しながら合意形成をリードする高度な対話力が求められていることがうかがえる。
企業のグローバル人材育成に対する投資意欲は依然として高い水準にあり、英語学習を含むグローバル人材育成への投資について、93.1%の企業担当者が「拡大(39.3%)」または「現状維持(53.8%)」と回答し、「縮小」はわずか6.8%にとどまった。
さらに、「現在、従業員向けに実施している英語研修の形式」を尋ねたところ、「生成AIやAI英会話アプリ」を導入している企業担当者のうち、実に92%が「オンライン英会話」や「講師対面研修」といった対人学習を併用している実態が明らかになった。
また、「今後の語学投資方針」について、AIによって英語の読み書き業務が「大幅に効率化した」企業に限ると回答者の47.8%が、語学教育への投資を「拡大している」と回答。「最も注力する対象層」は、「次世代リーダー層・管理職(39.3%)」や「海外赴任・出張予定者(28.2%)」が計67.5%を占めた。
定型業務をAIで効率化する一方で、前述の通り高度な対話が求められるコア人材に対しては、AIと対人学習をハイブリッドで組み合わせながら、現場で直接折衝を行う実践力強化へと投資の選択と集中が進んでいる。
企業が求める英語スピーキング力の要求水準が高まる一方で、実際のビジネスパーソンの現在地はどのような状況にあるのか。同社が提供するAIビジネス英語スピーキングテスト「PROGOS」の受験データ(2024年6月時点・のべ受験者数66万人、うち日本人ビジネスパーソン42万人)を分析したところ、日本のビジネスパーソンの英語スピーキング力は初中級レベルである「CEFR A2 High」が全体の約3割(30.3%)を占め、最大のボリュームゾーンとなっていることが明らかになった。A2 Highは英語で何らかの業務ができるレベルには達しておらず、実務の前段階で足踏みしている層が多い実態がうかがえる。
また、同調査において企業・個人が「AI代替不可」と合意した目安であり、グローバルビジネスで通用するレベルとされる「CEFR B2以上」に到達している層は、日本企業ではわずか6.7%(約7%)にすぎなかった。これに対し、海外受験者では最多レベルが「CEFR B1High(31.1%)」であり、「B2以上」も4分の1を超える26.9%に達している。企業が求める実務レベルと、日本のビジネスパーソンが保有するスキルとの間には依然として大きなギャップが存在しており、初中級(A2)から実践レベル(B1・B2)へと着実にレベルを引き上げる育成アプローチが緊急の課題となっている。
「AI時代のグローバル人材育成白書2026」ダウンロードページ
調査概要
調査テーマ:AI時代の英語力と対人学習に関する調査
調査期間:2026年8月18日~9月15日
調査対象:
【法人】企業のグローバル人材育成担当者117名(109社)
【個人】英語学習をしているビジネスパーソン(724名)
調査方法:インターネット調査
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