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2026年9月3日

プレテストが「できた!」につながる 鎌倉市立小坂小学校の実証研究で見えた、学び直しを支える学習サイクル

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プレテストで苦手を見つけ、学び直しにつなげることで、本番のカラーテストで成果を実感する――。鎌倉市立小坂小学校で実施した実証研究から、こうした学習サイクルが子どもたちの学習成果だけでなく、「できた」という達成感にもつながる可能性が見えてきた。
本実証は、3年2組(当時)の28名の児童を対象に、小学3年生の算数8単元で実施された。単元の学習後にプレテストを行い、その結果をもとにAIが一人ひとりの苦手を分析。自動配信された復習課題とレクチャーに家庭学習として取り組んだ後、通常のカラーテストを実施した。

その結果、課題に取り組んだ児童ほど高い成果を示し、特に学習につまずきを抱える児童で大きな改善が見られた。また、復習課題やレクチャーに取り組む中で自分の苦手を理解しながら学び直しを進めることで、「できた」という達成感や学習への自信につながる様子も確認された。

プレテストで見つけた苦手を、そのままにしない

今回の実証で活用したのは、教育同人社のカラーテストと連動した「すららドリル」のプレテスト機能である。

従来、カラーテストは単元の学習成果を確認する役割を担ってきた。しかし、テストを受ける前に児童一人ひとりの理解状況を把握し、必要な学び直しを行うことは容易ではなかった。

「すららドリル」のプレテスト画面

そこで本実証では、算数8単元を対象に実施した。単元終了後にプレテストを行い、その結果をもとにAIが苦手な内容を分析する。一人ひとりに必要な復習課題が自動配信され、児童は課題やレクチャーに取り組みながら自分の苦手を確認し、学び直しを行ったうえで本番のカラーテストに臨んだ。

重要なのは、単に問題を解き直すだけではない点である。配信される課題にはレクチャーが含まれており、児童は「なぜそうなるのか」を理解しながら学習を進めることができる。苦手を見つけるだけでなく、理解し、克服し、本番で成果を実感するまでを一つの流れとして設計していることが特徴だ。

プレテスト結果は授業での理解度を反映していた

まず検証したのは、プレテストが児童の理解状況をどの程度把握できているかという点である。

分析の結果、プレテストとカラーテストの結果には強い相関が確認された。これは、プレテストによって授業の理解度を一定程度把握できることを示している。教師にとっては、誰がどこでつまずいているのかを早い段階で捉えることで、その児童にあった学習支援につなげることができる。また児童にとっても、その後に配信される課題やレクチャーを通じて、自分の苦手を理解するきっかけとなる。

プレテストは、児童一人ひとりの理解状況を把握し、その後の学び直しにつなげるための出発点として機能していた。

プレテスト結果とカラーテスト結果には強い相関が見られた

課題に取り組んだ児童ほど高い成果を示した

次に、プレテスト後に配信された課題への取組状況とカラーテストの結果を分析した。課題への進捗率が高い児童ほどカラーテストでも高得点を示し、特に学習につまずきを抱える児童では大きな差が見られた。


児童は、自分で問題集を探したり、どこを復習すればよいか悩んだりする必要がない。プレテストで明らかになった苦手に対し、必要な学習が自動で提示されるため、迷うことなく学び直しに取り組むことができる。また、課題の中にはレクチャーが組み込まれているため、単なる反復練習ではなく、概念理解を伴った学習が行われる。児童は課題に取り組む中で、自分がどこでつまずいているのかを確認しながら学び直しを進めることができる。今回の結果からは、こうしたプロセスが学習内容の定着を支えている可能性が示された。

低学力層でより顕著に見られた効果

今回の実証で特に注目されたのは、学習につまずきを抱える児童の変化だった。プレテストで60点未満だった児童を対象に分析したところ、課題を80%以上完了した児童のカラーテスト平均点は127.1点だった。一方、課題完了率が80%未満だった児童の平均点は97.7点となり、約30点の差が見られた。

低学力層では課題をやり切った児童ほど高い成果を示した

さらに、事前の学力から予測される得点との差を分析したところ、課題をしっかり完了した児童は予測値を平均14.4点上回ったのに対し、未完了の児童は平均8.9点下回った。

こうした結果は、プレテストによる苦手の可視化と、その後の個別最適な学び直しが、特につまずきを抱える児童の学習を支えている可能性を示している。学習につまずきを抱える子どもほど、「何が分からないのか分からない」という状況に陥りやすい。今回の実証からは、自分の課題を把握し、必要な学習を段階的に積み重ねられる環境が、学び直しを後押ししていることがうかがえる。

「わかった」から「できた」へ

実証では、レクチャーの活用状況についても分析を行った。一部の単元では、レクチャーの視聴と学習成果との間に関連が見られた。単に問題演習を繰り返すだけでなく、「なぜそうなるのか」を理解した上で学習を進めることが、成果につながった可能性がある。学習においては、「わかったつもり」で終わってしまうことが少なくない。しかし、本当に理解した内容は問題を解くことで初めて定着し、自信につながる。 今回の取り組みは、プレテストによって苦手を知り、レクチャーによって理解し、復習課題によって定着させ、本番のテストで成果を実感するというサイクルを実現していた。

「勉強への意欲が高まったことが何よりの成果」

本実証に取り組んだ野村弘教諭は、次のように振り返る。

「従来の学習法ではなかなか学力が伸び悩んでいた児童が、デジタルを取り入れたことで学習への興味を抱き、ぐんぐんと伸びていく姿が見られました。そうした変化を目の当たりにし、これからの多様な学びを支える選択肢の一つとして、非常に有効な手法であると実感しています。

こうしたデジタルやAIの技術を柔軟に活用していくことで、一人ひとりの習得状況やペースに合わせた個別最適な学びの理想に、よりいっそう近づけることができるのではないかと強く感じています。」と語る。

学力向上だけでなく、学習に主体的に向き合う姿勢の変化が見られたことは、学校現場にとって大きな価値といえる。

手軽に課題配信ができるので、業務負担の軽減にも

自己理解が達成感を生み出す

今回の実証研究から見えてきたのは、プレテストの価値は単なる事前確認にとどまらないということである。プレテストによって苦手を見つけ、その結果に応じた学び直しに取り組む。レクチャーや復習課題を通じて理解を深め、自分の苦手を理解して学び直しを進める。そして、本番で成果を実感する。このプロセスを通じて、子どもたちは「できた!」という達成感を得ることができる。

実際に取り組んだ児童からは、「プレテストで間違えた問題が分かったので、どこを勉強すればいいかが分かりました。復習してからカラーテストを受けたら前よりできるようになっていてうれしかったです」という声も聞かれた。また別の児童は、「前はテスト前に何を勉強したらいいか分からなかったけれど、プレテストで苦手なところが分かるので勉強しやすかったです」と振り返っている。

鎌倉市立小坂小学校での実証は、プレテストを起点とした学習サイクルが、学力向上だけでなく、自己理解や自己効力感の向上にもつながる可能性を示した。こうした仕組みは、学習につまずきを抱える児童への支援はもちろん、日々の授業における個別最適な学びを実現する一つの実践モデルとして、多くの学校現場に示唆を与えるだろう。

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