2015年1月26日
埼玉大学/附属学校FORUMで特別支援学校などの取り組み発表
埼玉大学教育学部は20日、「埼玉大学教育学部附属学校FORUM」を総合研究棟一階シアター教室で開催した。
5回目となる今回のフォーラムは、“教育支援におけるICT活用について”がテーマ。まず、文部科学省の永井克昇初等中等教育局視学官が「学力向上とICTの活用」と題した講演を行った。
2014年11月、文部科学省は中央教育審議会に対して「初等中等教育における教育の在り方」について諮問した。内容としては、特に重視する視点として「何を教えるか」に加えて「何を学ぶか」、成果として「どのような力が身に付いたのか」を問うものだという。そうした新たな取り組みの手段として、「ICTの活用」は欠かせないものだと永井視学官。例えば、失敗を許し諦めずに試行錯誤を繰り返すことが重要な言語活動ひとつとっても、ICTの活用は有効に機能すると述べ、ICTの活用を目的化してしまうことによる弊害である“ICTの活動あって学びなし”にならないように注意し、正しい理解で適切な実施をすることが重要だと語った。
また、付属小学校の武田圭介副校長、付属中学校の牛久裕介副校長がそれぞれICTを活用した教育事例発表を行った。
さらに、附属特別支援学校の長江清和副校長と村瀬太一朗教諭が「特別支援教育におけるICT活用について」と題した報告を行った。
始めに、長江副校長が最近体験した事象を紹介した。同校は知的障害や情緒障害のある児童生徒を対象とした特別支援学校。長江副校長は、校門に立って登校する子どもたちに声をかける立哨指導を行っており、ある朝いつものように子どもたちに挨拶をしていると、中学3年のAさんが登校してくるのが見えたという。Aさんは自閉症のため意思伝達が苦手で、これまで挨拶をされたことはなかったと長江副校長。ところが、近くまで来たAさんはスマートフォンを取り出すとアプリの機能で“おはようございます”と音声で伝えながらお辞儀をしてくれたという。「まるで本人が声を出して挨拶してくれたようだった」と長江副校長はその様子を語った。
村瀬教諭は、指導実践、行事、教育実習についての事例報告を行った。同校では“1人のスーパー先生より、全員の一歩前進を!”を目標に掲げ、ICT活用を進めている。71台あるiPadなどICT機器を使って、日常生活の買い物を学習することができるアプリ「レジスタディ」や、自閉症向け会話ソフト「ボイスフォーユー」で授業の際の挨拶に活用するなどの取り組みを紹介した。
そうした取り組みの成果として、物理的ICT環境が整い、モデルとなる実施が行え、教育実習生へのICT指導も充実してきたと述べた。現在の取り組みとしては、“教員・生徒・実習生iPad1人1台”を目指ているところで、今後は特に教員のスキルアップを進めていきたいと語った。
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