2025年7月31日
ユーバーの「Scratchで小・中学校のプログラミング」Vol.17 <スクラッチで暗記テスト>
ユーバープログラミングスクールの中村里香代表による、小学校のプログラミング授業で使ってほしいプログラミング言語Scratch(スクラッチ)の学習動画第17回。
今回は<上級者>向け、Scratchの「リスト」機能を活用した暗記テストのプログラムに挑戦します。
リストを活用した暗記テストを作る
Scratchで「リスト」を活用した暗記テストを作ります。今回の例では歴史上のできごとと年号(西暦)を登録する2つのリストを準備し、覚えるまでランダムに出題を繰り返します。
リストは、変数の一種で、複数の値をまとめて保存できる便利なしくみです。
◆2つのリスト「できごと」「ねんごう」のセットを準備する
ブロックパレットの「変数」内にある「リストを作る」ボタンから空のリストを2つ作成します。「できごと」「ねんごう」にはそれぞれの同じ位置に対になるようにできごととその年号を登録しておきます。
リストに項目を登録するには以下の方法があります。
• ステージ上に表示したリストの「+」ボタンで直接追加
• 「(なにか)を(メニュー)に追加する」ブロックで追加
あらかじめExcelやGoogleスプレッドシートでデータを作成し、CSV形式ファイル(カンマ区切りのテキストファイル)を用意しステージに表示した空のリストの上で右クリックし「よみこみ」をクリック、CSV形式ファイルを選択してリストにデータを登録することも可能です。

◆リスト「できごと」の1番目を出題し、「ねんごう」の1番目を参照し正誤判定
「(できごと)の1番目」ブロックと「○と聞いて待つ」ブロックを使って出題します。
「1番目」の数字はリスト内の位置、何番目のデータかを示します。例は「明治維新は何年?」となります。
「こたえ」に入力された値と「(ねんごう)の1番目」ブロック(例:1868)を比較し、正しい場合は「正解」、間違っていれば「残念」とセリフを切り替えます。
「(できごと)の○番目」をランダムに決定するために変数「ばんごう」を用意しました。変数「ばんごう」には1から「できごとの長さ」の乱数を代入します。
「(できごと)の(ばんごう)番目」と聞いて待つ」ブロックでランダムな問題を出題します。
※リストの最後の項目を指定するには「リストの長さ」ブロックが便利です。リストの値を削除した際など、項目数の変動に対応できます。
正誤判定の条件は、「こたえ」に入力された値と「(ねんごう)の(ばんごう)番目」を比較するようにします。
「こたえ」を誤った時、「(できごとの(ばんごう)番目)は、(ねんごうの(ばんごう)番目)だね」とセリフを表示します。
同じ問題を出題しないようにするために、「こたえ」が正解の時には「ねんごう」「できごと」のそれぞれの「(ばんごう)番目」を削除します。
リストの長さが0、つまり全問正解してデータが全て削除されるまで出題を繰り返します。リストの長さが0になり全問正解したら繰り返しから抜けてセリフ「おめでとう!全問正解」を表示して終了します。
*「○まで繰り返す」ブロックは、○の真偽ブロック(条件)が、偽の間は挟んだブロックを繰り返し実行します。

今回は、リストを活用した記憶テストのプログラムを紹介しました。歴史の年号だけでなく、英単語、漢字、都道府県など、さまざまな教科やテーマにも応用できます。
授業での活用
Scratchはゲームづくりだけでなく、子どもたちのアイデアを表現したり、調べたことを発表したりと、さまざまな教育活動に活用できるツールです。
今回紹介した「暗記テスト」のプログラムは、日々の学習に役立つ実用的な内容です。Scratchを使って、自分だけの勉強ツールを作れる楽しさや、学びを便利にする喜びを体験できます。子どもたちのアイデア次第で、無限に広がるScratchの世界を、ぜひ授業や家庭学習に活用していただけたらと思います。
◆変数とは
<筆者プロフィール>
ユーバー株式会社 代表 中村里香
2017年4月、すべての子どもが楽しく学べるプログラミング教育を目指し、ユーバー株式会社を設立。プログラミング教室運営、クラウド型学習サービス「うさプロオンライン」の提供、教材開発、講師育成支援、体験イベントの開催などを行う。環境に左右されない学びの機会を届けるため、教育現場や企業と連携し活動中。
ご質問・お問い合わせ info@yuber.jp 中村宛(ご質問は該当記事のURLを添えてください)
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