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2019年2月6日

iPadではじめる!先生のためのICT入門講座 【第9回】発表しよう

学習者主体の学びへ!iPadで子供たちが発表する場面をつくろう
教育ICTコンサルタント 小池 幸司

「わが校でも来年度から1人1台のタブレット端末を導入します」突然の発表に驚いたのもつかの間、教員用ということで1台のiPadが配布されました。導入までの残された期間で、授業での使い方を考えておくようにとのこと。「急に言われても、いったい何からはじめていいのかさっぱり・・・」。本連載では、そんな困った状況におかれた先生たちのために、学校でタブレット端末を使うためのポイントを解説。ICTが得意でない先生が、タブレット端末を用いた新しい学びを始める際に知っておいてほしいこと、具体的な活用方法をわかりやすくお伝えしていきます。

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アクティブ・ラーニングへの一歩目はどこから?

発表・プレゼンが学習者主体の授業への第一歩

発表・プレゼンが学習者主体の授業への第一歩

ICT活用がうまくいっている学校とそうでない学校。そのちがいは、いったいどこにあるのでしょうか。一番のポイントは「児童・生徒を主体としたICT活用」ができているかどうかです。もちろん、最初はどこの学校でも「先生主体」でICT活用をスタートします。しかし、ずっと「先生主体」のままでは、これまでの授業の延長線上でしかありません。せっかく、ICTを導入したからには、「学習者主体の学び」に変えていきたいですよね。

それでは、「学習者主体の学び」に切り替えていくためには、何からはじめたらいいでしょうか。おすすめしたいのは、タブレットを活用した「発表(プレゼンテーション)」です。1人1台のタブレットがなくてもはじめられます。今回はそんなICTを活用したアクティブ・ラーニングへの第一歩。タブレットを使って子供たちに発表をしてもらう方法について学んでいきたいと思います。

やっぱり写真を使った発表・プレゼンが基本

先生たちの教材提示(第7回 :「板書時間を30%削減!自作の教材をiPadで提示しよう」参照)でお伝えしたのと同じように、子供たちの発表(プレゼン)でも、最初からパワポ(Microsoft PowerPoint)を使わせるのはおすすめしません。特に小学生の場合、いきなりパワポから入るのは避けた方がいいでしょう。ソフトの使い方の習得に時間がとられ、本来の目的が後回しになってしまうからです。

直感的な画像加工アプリ「Skitch」

直感的な画像加工アプリ「Skitch」

そこでまずは、第1回(体感しないとわからない?タブレット活用への第一歩とは!)でお伝えしたように、「写真」を使った発表(プレゼン)からはじめていきたいと思います。

写真を見せながら発表することで、スライドづくりではなく「伝える」ことに集中できます。さらに、「Skitch: 撮る。描き込む。共有する。」のような画像加工アプリを使えば、表現の幅を広げていくことも可能です。

Skitch: 撮る。描き込む。共有する。 – AppStore

パワポを使わないプレゼンで「伝える」ことを学ぶ

パワポを使わないプレゼンで「伝える」ことを学ぶ

「Skitch」を使うと、写真の上に縁付きの文字や矢印を置くことができます。複雑な機能がない分、使い勝手は非常に直感的でシンプル。画像加工に気持ちがいきすぎてしまうといった心配もありません。

パソコンで加工しようとすると面倒なモザイク処理も一瞬でできてしまいます。「肖像権」への配慮を身につけてもらうのにもいいかもしれませんね。

セカンドステップ:つないで作る「ロイロノート」を活用

写真を使った発表(プレゼン)をするようになると、「自由に写真の順番を入れ替えたい」というニーズが出てきます。iPad標準のアルバム機能だけだと、並び替えがちょっと面倒なのです。そこで次に活用してみてほしいのが、「ロイロノート」というプレゼンアプリ。iPadが教育の現場で使われ始めてから、多くの学校で導入・活用され、高い評価を得ているアプリになります。クラウド版の「ロイロノートスクール」もありますが、まずはローカル版の「ロイロノート」から試してみましょう。

ロイロノート:AppStore

小学生でも使えるプレゼンアプリ「ロイロノート 」

小学生でも使えるプレゼンアプリ「ロイロノート 」

「ロイロノート」ではスライドのことを「カード」と呼びます。カードを作るにはいくつか方法がありますが、特におすすめなのが「写真カード」と「お絵かきカード」の2つ。カメラロールにある写真を、そのまま1枚のカードにしたり、指で絵や文字を書くことで簡単にカードを作ることができます。キーボード入力が不要なので、小学校低学年の児童でも簡単に使えます。

キーボード入力をしたい場合には「テキストカード」という機能もあります。ただし、使えるフォントや文字サイズ、文字の配置の自由度が低く、たくさんの文字を打つのには向きません。文字だらけのスライドづくりを避けるようになるという点では、ロイロノートの長所とも言えます。他にも、検索したWebページをカードにする「ウェブ検索カード」、地図の任意の部分を切り取る「地図カード」といった機能があります。

【本日のワーク】ロイロノートで発表してみよう

では実際に、「ロイロノート 」を使った発表(プレゼン)を体験してみましょう。テーマは「わが町 ○○」。1分間で自分の住む街を紹介するプレゼンを作っていきたいと思います。事前準備としまして、地元の風景や名物などの写真をiPadで撮影。または、スマホなどで撮影した写真をiPadのカメラロールに保存しておいてください。

カメラロールの写真で「写真カード」を作成

カメラロールの写真で「写真カード」を作成

アプリを起動したら「新しいノートを作る」をタップして、ノート名と作成者名を入力します。

ノートができたら、カードを作っていきましょう。左側のメニューから「すべての写真」→「カメラロール」を選択すると、カメラロール内の写真のサムネイルが一覧で並びます。

どれか1枚を選んだ状態で「使用する」をタップすると、右側のフィールドに「写真カード」が作成されます。写真サムネイルから、直接、右側のフィールドにドラッグしてあげてもOKです。

手書きで文字や絵がかける「お絵かきカード」

手書きで文字や絵がかける「お絵かきカード」

次に、「お絵かきカードを作る」を選んでみてください。スーッと白い無地のカードが出てきますので選択して開きます。鉛筆のアイコンをタップすると編集モードになりますので、手書きで文字や絵を描いていきましょう。上部の鉛筆マークを押すと線の太さや色を変更することもできます。

続いて、テキストカードで表紙を作成したいと思います。「テキストカードを作る」をタップしてお好みの色を選択。編集モードにしてからキーボードでタイトルを打ち込みます。文字サイズは「小・中・大・特大」の4種類から指定。レイアウトは「左右中央寄せ」「上下中央寄せ」にするとカードの中央にセンタリングできます。

完成したらスワイプか自動再生でプレゼン

完成したらスワイプか自動再生でプレゼン

こうしてカードができあがったら、最後に「並べ替え」の作業を行います。表紙のカードの右上の角から出ている「→」をドラッグして、2番目に使いたいカードまで引っ張っていきます。矢印でつながれたら、今度は2番目のカードの「→」を3番目のカードに・・・。こんな要領で発表する順番にカードをつないで1つのプレゼン資料を作っていきます。使わないカードは、ゴミ箱に捨ててもいいですし、そのまま置いておいても問題ありません。

カードをつなぎ終わったら資料作成は終了です。発表(プレゼン)をするには、表紙のカードを選択して編集モードにしてから、右下の全画面表示のアイコンをタップします。スワイプして次のカードに切り替えながら発表しましょう。再生ボタンを押すことで、自動再生(初期設定は5秒ごと)しながら発表することも可能です。

主体性を引き出す仕掛けづくりのポイントは?

子供たちが「ロイロノート」で発表(プレゼン)をしているイメージ、湧いてきましたでしょうか。グループ発表を授業で実施されている先生は多いと思いますので、数台のiPadさえあればすぐにはじめられます。そして、その効果たるや絶大。「写真撮影」「お絵かき」といった創造性が加わったことで、前のめりに取り組む子どもたちの様子に最初は驚くかもしれません。ポイントは「ミッション」の設定です。子どもたちのワクワクを引き出し、それを学びへと結びつけるようなしかけを、ぜひ先生の方で考えてみてください。

【筆者プロフィール】
koike_Profile小池 幸司 (教育ICTコンサルタント)

2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。NPO法人 iTeachers Academy 事務局長。

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