2015年5月25日
先生のための初級ICT教育講座Vol.11「どうしますか?1クラス分のタブレット管理」
先生のための初級ICT教育講座Vol.11「どうしますか?1クラス分のタブレット管理」
教育産業 山口宗芳 チーフICTソリューションアドバイザー
近年、教育現場では情報教育や授業におけるICT活用が急速に進んでいます。2009年~10年に公開された新学習指導要領に基づき、多くの学校で「生徒1人に1台のタブレット」を使った授業や取り組みが増えています。それに伴い、先生方にとってはタブレットの管理が課題になっているのではないでしょうか。
「生徒1人1台のタブレット」で起きること
「生徒1人1台のタブレット」の授業はどのようなスタイルで行なっていますか?多くの学校では1クラス分のタブレットを授業ごとに使用することが多いと思います。多いところでは1クラス分で40台近くになるでしょう。そこで課題となるのがタブレットの管理、つまり「充電」「保管」「コンテンツの同期」です。
電源(充電)と保管場所の問題~ハード面の課題
タブレットやノートPCなどのデバイスが増えると問題になるのが、デバイスを充電するための電源と場所の確保です。単純に考えるとタブレット1台に付き、1つの電源が必要です。例えば1クラス分のタブレットが35台あったら、35個のコンセントが必要になります。その場合、教室内もしくは専用の部屋に長机を置いて、延長コードと電源タップを組み合わせてタブレットを充電することになり、場所の確保に苦労されている教育機関も多いのではないでしょうか。タブレット1台あたりの必要電力量は少なくても、それが数十台になれば必要電力量は跳ね上がり、ブレーカー遮断の可能性も出てきます。そうすると、電源工事の必要性も考えなければならないケースも…
タブレット内のコンテンツの管理はどうしたらいいでしょうか?~ソフト面での課題
生徒に配布するタブレットでは様々な授業が行われています。例えば、生徒にカメラやアプリを自由に使わせて調べ物をさせると、タブレットの本体(ローカル)には写真やコンテンツが残ることになります。また、電子書籍や電子教科書を使用した授業を行なうためには、すべてのタブレットに同じ条件で、コンテンツを入れる必要があります。
これらのコンテンツは授業や条件が変わればすべて元通りに初期化または入れ替える必要があります。このような作業は1台あたりの作業時間は数分でも、数十台作業するとなると数時間の作業になります。
MDM(Mobile Device Management=タブレットPC遠隔管理システム)という仕組みを採用できれば、これらの管理作業は効率化できますが、タブレット本体のように購入する時だけ支払うものではなく、利用をし続ける限り毎月もしくは毎年使用料を支払うことになるため、予算の確保が難しい教育機関もあるのではないでしょうか。MDMサービスを採用する場合は心配ありませんが、予算の関係ですべての学校でMDMを用意するのは難しいでしょう。その場合、タブレット(ハードウェア)とコンテンツ(ソフトウェア)を先生方が手軽に管理する手段が必要になります。
電源と保管場所の課題に対応できる「タブレットPC管理カート」
教育ICT環境を充実させる時に用意できると理想的なものが、タブレットPC管理カートです。
タブレットPC管理カートは、タブレットを平置きではなく本棚のように本体を立てて収納ができる構造になっているものが多く、収納台数は10台の少数タイプから48台保管スペースという1クラス分+予備機までカバーができる多台数収納タイプまであります。
多台数のタブレットの充電時に発生する電気使用量の問題も、iPadであれば電源工事を必要とせずに一般の電源コンセントで最大48台充電ができるもの(エルゴトロン社製タブレットPC管理カートなど)もあれば、WindowsやAndroidタブレットではPC管理カート側で充電するべきタブレットを優先的に電力供給して、充電が完了したものには電力供給をストップするなど電気使用量の自動調整ができるタイプ(エルゴトロン社製PowerShuttle AC充電カートなど)もあります。MDMを導入している学校でもタブレットの充電は必須ですから、このような充電や保管のためのハードウェアも考えておく必要があるでしょう。
コンテンツ管理はタブレットPC管理カートと総合管理ツールの組合せで対応
学校で利用したいアプリをインストールする時にもタブレットPC管理カートが活用できます。
もし管理カートを使わない場合は、1台毎に管理用PCにケーブルで接続してアプリをインストールする、または1台毎にタブレットPC上でインストールをする方法が考えられます。この手法になると数台であれば管理はできますが、多台数になると設定に掛かる時間や作業者への負担が相当なものとなります。
タブレットPC管理カートと一緒に活用したいツールとして、iPadであればApple Configuratorがあります。これを活用することで、エルゴトロン社製カート48台収納モデルの場合で全48台のiPadに対してアプリケーションを一括でインストールしたり、学校で決めた機能制限ルールを適応することができます。
それ以外にも、共用タブレットの課題として前述した写真やコンテンツを次の授業で使用するために削除(初期化)を行う機能も備えています。
なお、これまで紹介した管理カート及び総合管理ツール、初期設定の際には1人1台環境でも1クラス分40台共用環境でも必要性が高いものになります。運用が始まって以降は、共用1人1台環境では継続的に充電・管理が発生し活用度合いが高まりますが、1人1台環境では、自宅で充電を行い学内では充電しないルールの学校が多いため、それほど必要性が高くはありません。
しかがって、1人1台環境を整備する計画の学校では、管理カート購入予算を用意せずに、初期設定作業を専門業者(教育産業株式会社など)へ委託されることを計画にいれておくのも学校現場の負担軽減として重要かもしれません。
山口 宗芳
教育産業株式会社 チーフICTソリューションアドバイザー
教育機関向けiPad導入運用サポートを担当。これまでに代行設定したiPadは4,000台超。iPad本体だけではなく、Apple社の提供するApple ConfiguratorやVolume Purchase Programの知識を有し、アクセサリーやMDMなど幅広い製品を含め、運用に課題を抱えている教育機関へ最適なソリューションを提供中。
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