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2020年8月11日

ニューノーマルの社会で企業が新卒に求める“創造的問題解決能力”

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クリエイティブツールを使いこなすスキルへの期待が加速/アドビ調査結果を発表

アドビは、8月4日~6日、教育関係者を対象にしたオンラインイベント「Adobe Education Forum」を3夜連続開催した。2日目の後半、アドビ マーケティング本部 教育市場部の小池晴子部長が、「New Normalの社会で企業が新卒に求めるスキル」と題し、日本全国の企業で人事部に所属する採用担当者500名に実施した調査結果を発表した。

6月にインターネットを通じて実施した本調査では、新卒採用の現場で重視される学生の“創造的問題解決能力”を分析。対象500名は、2020年4月入社の新入社員を2名以上採用している企業の勤務者で、業種や企業規模は多岐に渡る。うち152名は、東洋経済、プレジデント、ディスコ、マイナビ等が調査・発表する就職希望企業へのランクインがある(「あると思う」を含む)「就職人気企業」と位置づけて、その他企業との比較集計を行っている。
また2018年6月、536名を対象に実施した今回と同様の調査結果とも比較している。


「アドビとしては全世界で、“創造的問題解決能力”を育むことをかねてより重視してきた。2018年時点、日本ではそこまで馴染みのある言葉ではなかった。そこで実態把握のために今回と同様の調査を実施した経緯がある。今回の調査は、テクノロジーの進化が加速している2年間の変化の比較もさることながら、コロナ禍という先の見えない社会の変貌、景気の落ち込みの採用への影響をふまえ2年間のニーズの比較分析を行うために実施した。」と小池晴子部長が今回の調査の背景を語る。

アドビ マーケティング本部 教育市場部 小池晴子部長

アドビが重視する“創造的課題解決能力“とは

“創造的問題解決”は、創造性に富んだ革新的な方法で問題や課題に取り組む手法。直面する問題や課題を別の角度から見直すことで、従来にはなかったような対応策や解決策を見つけ出し、実際の行動に移す一連のプロセスを指す。1.『課題発見能力』、 2.『課題解決方法の発想力/着想力』、3.『情報分析能力』、 4.『デジタルリテラシー(ITツールを使いこなせる能力)』、 5.『クリエイティビティ/創造性』、 6.『プレゼンテーションスキル』という6つのスキルで定義しそれぞれのニーズについて調査している。

不動の1位、企業が最も重視するのは『課題解決方法の発想力/着想力』

企業が採用において最も重視する“創造的問題解決”の6つのスキルは、2018年と2020年、就職人気企業とその他企業、といずれの比較においても圧倒的な1位は『課題解決方法の発想力/着想力』だ。小池部長は、「社会全体として先が見通せない時代の中、企業も生き残り、さらなる発展のためにイノベーションを起こし続ける必要があると考えているだろう。そのため、採用する人材の『課題解決方法の発想力/着想力』を重視するのは自然なことだ。」と見る。

注目すべきは増加率が顕著な『デジタルリテラシー』

注目すべきは、『デジタルリテラシー(ITを使いこなせる能力)』を重視する企業の増加だという。他の5つのスキルは大きな変化が見られないのにもかかわらず、唯一『デジタルリテラシー』が増加している。また就職人気企業とそれ以外の企業では『デジタルリタラシー』の重視度に13.4ptも差がある。ここで回答者が想起している『デジタルリテラシー』とは、次の設問も合わせてみると、オフィスツールだけでなくクリエイティブ系ITツールをも使いこなす能力だとわかる。「これは今、現在会社がすでにそうなっているというよりも、これからの変化の方向性として、ITツールを使いこなし、より効果的に表現やコミュニケーションを図れる人材が求められている現れだと思う」と小池部長は分析する。

就職人気企業ほど『クリエイティブツール』への期待と要求が高い

必要とされる『デジタルリテラシー』の詳細を見てみよう。就職人気企業では『クリエイティブツール』を使いこなすスキルを重視する傾向が非常に強い点は特徴的だ。ここでいう『クリエイティブツール』とは、イラスト制作や写真加工、Webサイトの制作、動画の編集加工などを行うソフトウェアである。就職人気企業は、デザイン専門部署以外でも85.5%が必要だと回答している。「リモート営業が増え、動画で分かりやすく伝える工夫が必要」、「社内外の説得力ある企画提案やプレゼンテーションに必要」、「社内向けや採用広報に動画やWebが必要」といった企業の声が具体的にあがっている。実際に制作をしないまでもクリエイティブツールの知識があることで、取引先のデザイナーやエンジニアチームとのやりとりがスムーズに進むことが期待できるという声もある。


この結果から、オフィス系ツールはあたりまえの前提として、もう一歩進んで『クリエイティブツール』が使いこなせる人材、あるいはそのポテンシャルがある人材が欲しいという企業の期待や本音が見えると小池部長は読み解く。ただし、もちろんツールが使えることがポイントではなく、仕事をしていく上での「課題解決」をよりクリエイティブに行う目的が先にあり、そのために使えるツールは多いほうが発想の幅も解決策の幅も広がるということだという。

また、高等教育での情報教育という意味でも、ツールの使い方の修得を目的とした教育は、本来の学びが目指すものとは異なると考える。アドビとしては、専門的な学びを深めたり、研究内容を人の興味を喚起するようにわかりやすく伝えたりする上で、必要なスキルの土台として『クリエイティブツール』の基本的な使い方をオンラインを含む一般教養などで習得するのが理想だと考えており、そのためのサポートを強めていきたいという。

8割以上の担当者が採用市場の変化を実感、9割がオンライン採用の継続を予定

また新型コロナウィルスによる新卒採用市場への変化が「ある」と回答したのは81.2%。就職人気企業の58.6%が採用を減らす予定だという。採用形態としてオンライン採用を取れ入れている企業は全体の約60%、今後も取り入れる予定の企業は90%を超える。


オンライン採用は時間やコストの効率がよく、幅広い学生にアプローチできるというメリットがある一方で、学生の表情や感情がつかみづらく、スキル把握が困難になるというデメリットもある。

「ニューノーマルの採用形態下で学生は、わかりやすく人に伝える力、自分の考えをまとめて表現する力が一層求められる。これまではデザインなどの専攻の学生であれば作品ポートフォリオの提出も一般的だったが、今後はどのような学部でも大学で行ったプロジェクト型研究の成果などを動画や画像などマルチメディア系のツールも使いこなしてわかりやすく表現する時代になっていく。」と厳しい状況にある就職活動のポイントを小池部長は語る。

学びを支援するアドビの取り組み

アドビは、調査結果もふまえて学びをサポートする取り組みを継続的に提供している。

◆一般教養科目「デジタルクリエイティビティ基礎講座」
2018年に筑波大学で開講、2019年には千葉大学、筑波大学、北海道大学、山形大学、横浜国立大学に拡大。画像処理や、タイポグラフィー、映像制作といったアドビのクリエイティブツールの使い方にとどまらず、ツールを活用しアイデアや考えを見える化し、伝える技術を体系的に学ぶことを目的する。全学対象の一般教養科目として開講されている学校も多く、単位取得が可能。アドビはカリキュラム開発と講師派遣で学びをサポートしてきたが、今年度は新型コロナウイルス拡大の影響により、授業の内容を完全オンラインパッケージ化。これにより講師派遣できる学校数の制約がなくなり、より多くの学校で開講できる準備が整っている。

◆Adobe Creative Cloudの教育機関向けライセンス
教育機関向けのサブスクリプションのプランに、「学生用ライセンスパック」が加わった。学校まとめて購入することで、コストをおさえた形で学生にライセンスを配布できる。コロナ禍で学校のPCルームでの授業が難しい状況が続く中、学生のライセンスがあれば自宅からでもいつでもCreative Cloudを利用できる。

学生用ライセンスパックの詳細はこちらをご覧ください。

調査を振り返って

小池部長は、調査を振り返る。『課題解決方法の発想力/着想力』の重視は不変である一方、たった2年の間に『クリエイティブツール』への期待が著しく拡大していることを実感した。『課題解決方法の発想力/着想力』と『クリエイティビティ』とは、異なる力のように思えるかもしれないが、実は表裏一体の能力だと受け止めている。発想やアイデアは空から降ってくるわけではない。一見すると関連性のない情報やものごとをつなぎ合わせて解決方法を生みだす力だ。それを支えるのが人間ならではの『クリエイティビティ』だ。採用担当者がこの2つの力を重視するという考えの中に、同じ理論があると確信した。

『課題解決方法の発想力/着想力』を発揮するためには、使えるツールや表現力は豊富な方がよい。実社会はイノベーションを起こし続けるために、より創造性を求める方向へとシフトしている。呼応して教育も変化が必要だろう。学校と社会の相乗効果のサイクルが生まれ社会全体が良くなるよう、今後も学びを強力にサポートして行きたいと力強く想いを語った。

□ 本調査結果を報告したAdobe Education Forum2日目の様子

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調査結果のリリース

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