2023年4月27日
どうする? 高校の必修科目「総合的な探究の時間」
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すららネットが探究学習の基礎スキル習得を完璧サポート
新コンテンツ「すららSatellyzer」 2023年4月にリリース
2022年度からの学習指導要領改訂で、それまで高校で行われていた「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」へと変わった。スタートから1年が経ち現場から様々な課題が見えてきたが、激変する現代社会の先を見据え、考え行動ができる子どもたちを育成する授業に期待は大きい。
そんな中、株式会社すららネットが2023年4月情報を開示した新コンテンツ「Surala Satellyzer(すらら サテライザー)」(以下「すらら Satellyzer」)が注目を集めている。宇宙開発に携わるNECスペーステクノロジー株式会社との共同プロジェクトであることや、生徒の探究基礎スキル習得を目指したコンテンツ、指導側の負担を軽減するシステムなど、生徒と先生の「総合的な探究の時間」を応援する新しいコンテンツというわけで、その魅力を探ってみた。
「当たり前」を問い直す力が現代社会には必要
「総合的な学習の時間」から「総合的な探究の時間」へと変更された科目を比べて分かるのは、教育目標の捉え方の違いである。「総合的な学習の時間」では生徒の課題解決力の向上に重点を置いていたことに対し、「総合的な探究の時間」では、現状や前提といった「当たり前」を問い直し、自ら課題を見つけ対応する力を生徒が身に着けることを目指している。能動的に学ぶ「アクティブラーニング」をベースにした授業が求められているのだ。
2020年以降のコロナ禍で学校や家庭でのICT環境の整備が整ったこともあり、高校の「総合的な探究の時間」の始まりを機に探究学習に特化したICT教材が多数リリースされ、教育現場での導入が進んでいる。
一方で、教育現場からICT教材の活用について「能動的な学び方の場を、どのように生徒に提供するのか」という指導側の課題も上がっている。「総合的な探究の時間」が「教員が教材を生徒に提供するだけの場」となっているなら、導入したICT教材の見直しが必要という意見だ。
すららネットがこれまでに取り組んできた探究学習
すららネットはAIを活用したアダプティブな対話型ICT教材をプロデュースする教育関連企業である。学びを軸にどんな環境の子どもでも自ら能力を伸ばすことができるICT教育を推進することで知られている。
すららネットが提供するICT教材「すらら」や「すららドリル」は一般的な教科書準拠ではなく学習指導要領に則ったコンテンツでインターフェイスも子どもの反応重視と、他社とは異なるアプローチで学びをより深めることができるとされ、全国の学校や学習塾など教育機関で導入が進む。
また、2015年から行われている「すららアクティブラーニング(旧:ソーシャルラーニング)」は「21世紀型学習スキルへの挑戦」と位置づけられ、学校や塾といった教育現場と連携して取り組む、すららネットの教育イベントだ。独自のソーシャルネットワーキングツールを利用し、同社の教材で学ぶ全国の子どもたちとコミュニケーションしながら、提示されたテーマを掘り下げ課題とその対応をまとめ発表する。小学校から高校生までが対象のチーム参加で賞を競うのだが、審査員は毎回子どもたちのやる気に未来への可能性を感じるという。
また、すららネットのICT教材と探究学習の親和性がうかがえる実証授業やテストデータも出揃い始めている。その一つは、2022年11月、山形県の学校法人山本学園惺山高等学校で行われたICTを活用した出張探究授業だ。同校では例年、高校2年生で探究学習に本格的に取り組むが、本格学習に向け高校1年生を対象に探究学習に必要な基礎的スキルを養うことを目的として3日間の「探究学習」に取り組んだ。
すららネットの教材やイベント、出張授業にしても、「子どもたちが能動的に学ぶ」という基本がある。それは、学習指導要領の示す「総合的な探究の時間」と本質的に同じものだ。 探究学習をサポートする新コンテンツの開発を目指すのはすららネットの自然な流れで、NECスペーステクノロジーと探究学習支援のためのICT教材「すらら Satellyzer」につながるプロジェクトを2021年7月にスタートすることとなった。
どうすれば「総合的な探究の時間」はうまくいく?
2023年3月27日に「すらら Satellyzer」の4月リリースに先駆け、高校教員向けのオンラインセミナーが開催された。
先にも述べたが、「総合的な探究の時間」を授業として有効に進めるには、教員の指導力によるところが大きいといわれる。オンラインセミナーでは、すららネットマーケティンググループ学校チームマネージャーの久保田航氏が「『総合的な探究の時間』は、教員自身これまで受けたことや行ったことのない授業です。生徒の疑問や質問に答え、興味を失わせないための情報入手は不可欠ですが、調べる時間や、有識者との人脈もない状態では、教員の負担が大きくなっていきます」と語り、「総合的な探究の時間」をうまく進行させるポイントは以下の3つであると説明した。
1. 生徒が興味関心を持つリアルなテーマとコンテンツ
2. 生徒が興味関心を深堀し続けるためのスキル向上
3. 教員間のばらつきを抑える支援と評価基準の設定
また、「すらら Satellyzer」の開発に携わる、すららネットのコンテンツ開発グループ道上智子氏から、5つの特徴が挙げられた。道上氏は「8年を超えるアクティブラーニングの実践で培った知見が活かされています。特に、探究学習に必要な基礎スキルは何か、どうしたらそれらが習得できるのかについては、すららネットならではのノウハウを盛り込みました」と探究学習に向けたICT教材としての「すらら Satellyzer」に自信を見せた。
1. 宇宙開発の一端を担うNECスペーステクノロジーが監修したレクチャー
2. 教員をサポートする授業マニュアル
3. 生徒のスキルを伸ばし、議論が活性化するグループワークのサポート資料
4. 学校や教員側で自由に回数設定できるフレキシブルな構成
5. OECD2030や学習指導要領を参考に、探究学習に必要とされる力をすらら独自に表した評価テーブルとそれを容易に管理できる評価システム
「すらら Satellyzer」は、グループで学習する。1ユニット約50分を「レクチャー」、「グループワーク」、「自己・相互評価」で構成する。(オンラインセミナー資料より)
宇宙を学びにした新教材への熱い思いに注目
「すらら Satellyzer」のメリットは数々あるが、やはり一番の魅力は、人工衛星搭載機器の研究開発などを実際に行っているNECスペーステクノロジーが関わっているというコンテンツのスケール感にある。
オンラインセミナーではNECスペーステクノロジー営業本部ビジネス推進グループマネージャー猪又栄治氏から「当社の理念である『宇宙を身近に』をベースに新規ビジネスを考えた際に、学生向けの教材であれば、より多くの人たちに宇宙を届けられると考え、2019年から検討を始めました。教材案を元に多くの教育関連企業にコンタクトを取った結果、考えや想いがベストマッチングしたのがすららネットでした」と、宇宙を教材にするという発想がすららネットとの出会いによって実現されるまでの経緯を語った。
「すらら Satellyzer」には、人工衛星や火星移住といったリアルな宇宙観に加え、豊富なビジュアルや音声にプロの声優を起用するなど、ICT教材の特性を活かした楽しさや、分かりやすさへの配慮もなされている。オンラインセミナー終了後に参加教員から「評価が視覚化される点が面白い」というコメントも寄せられていた。すららネットでは、まずはトライアルの参加校を広く募集していくという。
ICT教材の機能や有効性は、実際に使ってみなければ分からない点は否めない。だが、「価値がある」というのは、意外と携わった人々の想いからでも十分に伝わるものだ。「すらら Satellyzer」もそのようで、開発チームが「自分たちが長年取り組んできた探究学習の実践から生徒や先生のために考え抜いた、宇宙を学びにする新教材」には、関係者からの注目がすでに集まっているようだ。
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