2015年11月18日
古河市大和田小/総合と教科をつなぐツールとしてのプログラミング公開授業
茨城県古河市立大和田小学校は17日、総合的な学習の時間と各教科をつなぐツールとして合科的に運用するプログラミングのモデルカリキュラム策定に向けた授業公開を行った。
古河市では、今年度市内の小学校全校にセルラーモデルのiPadを導入し、ICTを活用した授業の改善に取り組んできた。その中で、プログラミングをICT機器を活用した教育の一環と位置づけ、文部科学省の情報教育指導支援事業の研究校である、大和田小学校を中心に小学校からのプログラミングのあり方の研究に取り組んでいる。
この日の公開授業は1年、4年、5年が3校時を利用して、立案から発表まで一気に行う。
1年生の図工の授業目標は、相手の喜んでもらえるメッセージカード(クリスマスカード・年賀状・誕生日カード)を一人ひとりが作成することを通して、プログラミングの概要について学ぶ、というもの。
プログラミングアプリ「Codeable Crafts」を使って、1時間目に思い思いのキャラクターを作り、2時間目ではキャラクターを動かすプログラミングを作り、3時間目で作品を発表しキャラクターの説明や工夫した点などをプレゼンテーションする。
個人で行う作業とグループでの活動を織り交ぜた学習では、ほとんどの子どもたちが戸惑うことなくアプリを使用し、個性ある作新を制作していた。中には操作方法を教師に教える子までいて、吸収力の固さに驚かされた。
発表では、録音した挨拶の音がひどく割れてしまったり、一番上手にナレーションを読んでいた子の音が消えてしまったりと、デジタルならではのトラブルもあったが、3校時一貫して集中し、楽しみながら学習する姿が印象的だった。
4年生は算数でプログラミングを活用。授業の目標は、式から文章問題を作り、Scratch Jr(スクラッチ ジュニア)を使ってプログラムに表そうというもの。
はじめに、「1000-150×3」「500+480÷2」「600-(120+165)」という課題がグループ毎に与えられ、その式から文章問題を作成、ステージと呼ぶ場面の構成を行う。
次に、Scratch Jrを使って文章問題の場面をストリーとして作成する。ポイントは、相手に分かり易く問題が伝えられるかということ。
「吹き出しと吹き出しの間に時間ブロックを使って間を開けたり」、「人物が建物の前でフェイドアウトすることで、建物に入ったことを表現したり」、「動きに緩急をつけたり」、「ナレーションを入れたり」個人が考えた様々な工夫をグループで共有しながら、分かり易さを追求した。
発表では、課題を知らない別のグループの子に対して説明なしでScratch Jrで作った文章問題を見せ、立式できるかどうか、どれだけ伝わりやすいかを比べ合った。伝わった子も伝わらなかった子も、より伝わりやすくするための改善策を出し合い次の授業につなげていた。
まとめでは、「プログラムを使うことで、伝わりやすくなった」、「伝えやすくするためには、動きや速さに工夫が必要」、「プリラミングが出来て楽しかった」などの感想が子どもたちから聞かれた。
5年生の総合的な学習は、話題のロボットボール「Sphero(スフィロ)」を使った学校紹介シミュレーション。
新入児童が楽しむ動きや、分かり易い学校紹介の内容をペアで作成し、のプログラミングでのトライアンドエラーを通して、問題解決能力の育成を図る、というのが授業の目標。
真っ直ぐ走らせるからはじまり、曲がる、止まる、スピードを変える、飛び跳ねるなど様々な動きのプログラムを加え、発表では来場者を新入児童に見立てて、Spheroが先導するルートを追いかけながら学校紹介をした。
古河市教育委員会の平井聡一郎指導課長はプログラミングへの取り組みについて、「プログラミンを学ぶのではなく、プログラミングで学ぶ。そのために、あらゆる教科単元で無理なく使える場面で活用する。小学校ではアルゴリズムを教えるのでは無く、イメージを形にすることを学び、中学につないで欲しい」と、プログラミング活用ビジョンを語った。
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