2017年2月10日
代々木山谷小で「楽しく学べるプログラミング」の素晴らしい授業
「横断歩道を渡るとき、正しいのは、“①手をあげる”“②足をあげる”“③逆立ちする”のどれでしょうか」と上野さんが質問する。「足~」「足~」「逆立ち~」と、子どもたちの答え。ユーモアに溢れる、明るく、元気な授業。
2月8日、東京・渋谷区立代々木山谷小学校で行われた、「渋谷区ICT教育モデル校公開授業」、4年生の総合的学習の時間。単元は、「わたしたちのまち すてきなまち」。Scratch(スクラッチ)を使って「安全な場所ときけんな場所を伝えるためのクイズを、プログラミングで作ってみよう」という授業。
授業者は、4年1組の今野宏樹教諭。ゲストティーチャーは、CA Tech Kidsの上野朝大社長とメンターのみなさん。
1時間目は、昨年秋以来というScratchの使い方を思い出すためのウォーミングアップ。上野さんの示す手本に沿って作業を進める。写真の画像を取り込んで、大きさを整えて、配置する。3枚の写真の1枚を「きけんな場所」に決めて、ポインタが正解の写真に触れたら「あたり」、間違えたら「はずれ」が表示される。
時々「どうするんだっけ」「なんだっけ」などと戸惑うことはあっても、概ね問題なく作業は進む。どの写真の場所が「きけんな場所」なのかについては、「きけん」の意味や場所の解釈を巡って議論になることもある。
一番手が止まるのは、タイピングの時。Scratchのプログラミングそのものは、命令のブロックを積み重ねることで可能だが、台詞はタイピングしないと表せない。プログラミング学習には、タイピングが欠かせなくなるので、PCでもタブレットでも3年生くらいから練習させることが必要になるかもしれない。
2時間目は、いよいよグループ毎のオリジナルクイズのプログラミング。クイズの形式として、練習で使った写真の3択、文字や絵を使った2択・3択、○×方式などいろいろなクイズ形式があると説明していたのが、冒頭の横断歩道のクイズ。
クイズ制作の手順としては、今野先生から配られたアイデアシートに「クイズの内容」「クイズの方法」「画面のイメージ図」をまとめてから、プログラミングをスタートする。
今野先生からは「大切なのは、このクイズを使ってもらう3年生に君たちが何を伝えたいのかということ。そして、それを分かり易くすること」と助言をもらって話し合いに入る。
上野さんやメンターたちは、子どもたちが知らないことにチャレンジしたり、苦労していると手伝うこともあるが、主な役割はモチベーター(やる気にさせる人)。「すごいね」、「面白いね」、「やったね」、「こうしたらいいんじゃない」などと褒めたり、声援を送ったりしている。
この授業の素晴らしいのは、ほとんどの子どもたちがストレスを感じずにプログラミングで楽しく学んでいるところだ。今野先生がフィールドワークなども含めて積み上げてきた単元の指導計画と、上野さんが子どもたちに伝授したプログラミングのスキルが見事にジョイントされている。
「プログラミングを学ぶ」のでも、「プログラミングで学ぶ」でものどちらでも構わないが、確立された指導計画と操作方法などの基本的準備が万全に行われた授業は、プログラミングも教科もどちらも高レベルで学べるのではないかと感じさせる。こうした授業が水平展開されて拡がっていけば、2020年問題もクリアされるかもしれない。
そのためにはやはり、ゲストティーチャーやメンターの手助けが欠かせないものになるだろう。学校の中だけで解決しようとせずに、地域住民や学生、民間企業などあらゆる人々の助力で、学校における「楽しく学べるプログラミング」を実現して欲しいものだ。
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