2013年8月8日
JAPET/「Educational Solution Seminar 2013」in Tokyoが盛況
日本教育工学振興会(JAPET)は、「Educational Solution Seminar 2013」in Tokyoを2日に東京・両国で開催した。教員や教育委員会、企業関係者など約140人が参加して、満席の盛況だった。
セミナーは、「未来の学校」を実現するため、新たな機器やシステムの活用事例、導入の利点について提案するのが目的。
はじめにJAPETから、「教育の情報化の最新動向」について報告があった。
コンピューターの整備状況では、教員用の校務コンピューターの整備率が102.7%(2012年度文科省調査)と1人1台を超えているのに対し、教育用コンピューターの1台当たりの児童生徒数は6.6人(同調査)と、1人1台にはほど遠いのが現状。
また、都道府県別の整備状況では、最高が鹿児島県の4.4人/台で、これに対して最低の愛知県が8.3人/台となるなど、ばらつきが多いのが現状。
教育委員会や学校を対象としたJAPETの調査では、校務へのコンピューター導入について「情報がデータ化、蓄積され学校経営に活かされる」という問いには7割近くの管理職が「そう思う」と答えたのに対し、「校務処理の時間が短縮された」には6割が「あまりそう思わない」と、ICTの導入が校務の効率向上に貢献していない実態も明らかになった。
セミナーは、デジタル教科書教材協議会(DiTT)副会長の慶応大学 中村伊知哉教授の講演「デジタル教科書、第2章」でスタートした。
中村教授はデジタル教科書について、「紙でないと教科書と認められない」という法的な問題や検定制度、著作権の扱いなど課題は多々あるが、解消に向けて政府も与党も前向きになってきている。DiTTでも、デジタル教科書や教育の情報化推進に向けた新たな提言を「教育情報化八策」にまとめ、この動きを強力に推し進めると語った。
また、教育の情報化について進めるべきか否かの時期は終わっている。「いくらでできるか」というコストについて語る段階だとして、「1人1台1万円」でリースできるタブレット+アプリのセットが提供できないか、と提案した。
つづいて、八千代市教育委員会 八千代教育センター 村上恒和指導主事は、「仮想デスクトップを採用した校務環境の整備と運用」と題し、市の小中学校33校と890人の教員を対象に仮想デスクトップ型シンクライアントの導入事例について報告した。
特徴は、セキュリティー対策として校務用の校内LANを学習用に使用している無線LANとは別の有線LANで構築したことや、教職員用コンピューターの認証システムとしてフェリカカードを使用したことなど。
また、USBなど外部メディアの使用を一切禁止しても自宅で作業出来るよう、インターネット経由でフェリカカードの認証が出来るようフェリカリーダーを貸与したという。
ICT教育関係のセミナーで校務関係の導入事例紹介が少ないためか、報告終了後の質疑応答は、「具体的な課題」や「運用方法」などについての質問が多かった。
立教小学校 石井輝義メディアセンター長の「新しい学校とタブレット端末の活用」は、「新しい学校」を志向した「タブレット端末の活用」を、立教小学校の経過と現状を踏まえて紹介したもの。
1人1台のラブレット端末に向けて、情報科の開始、学習用コンピューターシステムの検討、ITプロジェクト委員会、校長への提言、全教職員参加の研究会での話し合いなどの経過を踏まえてICT教育プロジェクト委員会を立ち上げ、システム更新だけでなく今後のICT教育について取り組むことにした。
ICT教育プロジェクト委員会は今後、タブレット端末1人1台の授業を想定した課題、デジタル機器の普通教室への導入における課題、学内だけでなく学外への持出、「情報モラル」や「ネットエチケット」など新しい「モラル教育」のあり方などについて検討するという。
約60社が参加して同時に開催された展示会も盛況だった。
「Educational Solution Seminar 2013」は9日、名古屋で開催される。
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