2013年10月16日
ITpro EXPO 2013/佐賀での県立高校タブレット導入など進む教育の情報化
日経BP社が東京ビッグサイトで開催する「ITpro EXPO 2013」の最終日となった11日、教育分野の情報化に関するセミナー「教育ICTイノベーション2013」が展示会場内のセミナールームで行われた。
最初の講演には、佐賀県教育委員会教育情報化推進室の福田孝義室長が登壇、「佐賀県が進める先進的ICT利活用教育推進事業の取組状況と今後の事業展開」と題する基調講演を行った。
県単位では初めてとなる来春からの県立高校でのタブレット端末1人1台の導入は、全国の教育関係者の注目を集めており、会場には120名を超える聴講者がつめかけ、立見も出るほどの盛況ぶりだった。
福田室長は、佐賀県が「先進的ICT利活用教育推進事業」を県の最重要施策に位置づけ、2011年度から進めてきた様々な取り組みについて説明。
表計算ソフトやワードソフト、教科書や参考書、問題集等のデジタル教材が搭載されたタブレット端末などICT機器導入推進のほか、組織の整備や教職員研修の実施、校務管理も含んだ独自の新教育情報システムの構築・運用などについて解説した。
タブレット端末にかかる費用については家庭が負担し、価格が5万円を超えた場合は県が補助を行うとのこと。また、セキュリティ対策としては教育用管理ソフトを導入、ウイルス対策や有害サイト閲覧を制限するフィルタリングも活用するという。
講演後の質疑応答では、聴講者から多くの質問があった。
タブレット導入によって学力が向上するかという質問に対して、福田室長は「試験の点数がいくつ上がったかということよりも、授業が理解できたかどうかが重要で、点数は後からついてくるもの」と回答。文部科学省が教員を対象に行ったタブレット利活用の調査結果を示し、従来の授業と比べて生徒の“理解度が上がった”“集中力が上がった”との答えが増加した点などを挙げて、ICT機器を使った授業は教育的効果があると語った。
また、タブレットを家庭で購入するとした点については、「制服や教科書、かばんなどは自費購入となっている。タブレットも同じ」とし、今後、他の都道府県へ及ぼす影響も鑑みながら、保護者負担とすることで将来的に破綻のないシステムが構築できる、としてその根拠となる考え方を示した。
セミナーの最後、日経BPコンピュータ・ネットワーク局 中野淳教育事業部長が今回の催しを総括。「MOOCs」「反転授業」「Windows XPのサポート終了」など注目のキーワードに触れながら、教育の情報化によって学びのスタイルが変わり、教育現場と社会との関わりがこれまで以上に重要になると語った。
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