2015年10月1日
東洋大学/武雄市のスマイル学習などの検証報告を発表
東洋大学現代社会総合研究所 ICT教育研究プロジェクトは9月28日、武雄市が取り組む「ICTを活用した教育(2014年度)」の第二次検証報告を発表した。
武雄市は、2014年度に市内の全小学校に、2015年度には全中学校に1人1台のタブレット端末を整備。スマイル学習という名称で反転授業やプログラミング学習などの、ICTを活用した教育を推進してきた。
現代社会総合研究所は、武雄市と連携し、市内小学校の児童や教職員、保護者、動画作成事業者へのアンケートや諸学力調査などを分析し、報告をまとめた。
スマイル学習は、小学校3年生以上の算数、4年生以上の理科、中学校全学年の数学、理科を対象に実施。児童生徒がタブレット端末を自宅に持ち帰り、動画で予習し、翌日の授業で、予習してきた内容をもとに発展的な学習に結びつける方法をとった。
スマイル学習の成績、学習態度への影響調査では、武雄市の2014年4月の5年生の算数と国語の成績を、同じ児童が6年生になった2015年4月の成績と比較した。なお、2014年4月の成績は「佐賀県小・中学校学習状況調査」を、2015年4月の成績は「全国学力・学習状況調査」を使用した。
スマイル学習を実施していなかった国語は、2014年4月では、武雄市は佐賀県平均と比べ、3.8ポイント高かったが、2015年4月には、1.9ポイント高まで低下。一方、スマイル学習を実施した算数については、2014年4月は、0.7ポイント高かったものが、2015年4月には、2.1ポイント高まで、向上している。
スマイル学習に関する小学生へのアンケートでは、「授業の内容は分かったか?」という設問で、算数95.5%、理科94.1%となり、全国学力・学習状況調査での同様の質問と比べ、算数で15.4ポイント、理科で7.7ポイント高くなっている。
授業での参加度を問う、「自分の意見を言えたか?」でも、算数68.0%、理科62.9%となり、全国学力・学習状況調査と比較し、6.3ポイント高くなった。
小学校教員へのアンケートでは、予習用の動画コンテンツは使いやすかったかを尋ねたところ、算数では、「使いやすかった」「どちらかと言えば、使いやすかった」といった肯定的な回答が82.1%、理科も肯定的な回答が83.5%と高くなった。改善点として、「授業内容全てが動画に出ており、学び合いをどの部分でさせるか迷った」「動画と内容がずれている気がする」などの意見が寄せられた。
また、今後の課題や問題点として、「スマイル学習に適した内容と逆にスマイル学習ではない方がよい内容があるので、スマイル学習の動画(どの内容で行うか)の見直しは必要だと思う」といった意見や、スマイル学習に不向きな単元の存在に対する指摘があった。
小学生の子どもを持つ保護者へのアンケートでは、スマイル学習への理解度について、58.2%が肯定的だったのに対して、否定的評価は29.7%に及んだ。児童の家庭学習の時間変化については、「変化がない」が59.3%と6割弱に上った。また学習意欲の変化については、高まったという肯定的評価が29.7%となり、否定的評価の2.1%を上回ったものの、変わらないが57.4%を占めている。
調査概要
■ 児童アンケート
期 間:2014年5月~2015年3月
手 法:デバイス
回 数:スマイル学習毎(予習後、授業後)に毎回実施
■教員アンケート
期 間:2014年5月~2015年3月
手 法:記述式(紙)
回 数:スマイル学習毎(授業後)に実施 ※総回答数は419
■保護者アンケート
期 間:2015年6月
手 法:記述式(紙)
回 数:小学校3~6年生の保護者全員に対して1回 ※児童の人数分で配布・実施
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