2017年5月17日
教育機関向けICT市場は2021年度に約2000億円、富士キメラ総研調べ
富士キメラ総研は16日、「第2期教育振興基本計画」の最終年度を迎え、「第3期教育振興基本計画」の策定と実施、さらに2020年度以降控える学習指導要領改訂などで転換期を迎える教育機関向けICT関連市場の調査結果を、報告書「エデュケーションマーケット 2017」にまとめ発表した。
同報告書では、小中学校、高等学校、大学/専門学校、学習塾/予備校など教育機関向けの、協働学習支援、校務/学務支援など業務支援システム18品目、通信インフラ、セキュリティなどの校内設備/インフラ13品目、デジタル教科書など教材/コンテンツ5品目、教育ICT関連のハードウェア14品目、計50品目について市場の現状を調査し、将来を予想した。
調査から、ICT環境の整備は「第3期教育振興基本計画」でも引き続き進められていくとみられるほか、2020年度以降に学習指導要領の改訂も控えており、改訂内容に沿った指導者の育成や支援を可能とするシステムやサービスの需要も期待され、2021年度は2015年度比41.8%増の1920億円が予測される。
業務支援システムは、学習形態の多様化や、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイス普及にともない、eラーニングソリューションや遠隔講義システム、収録配信システムなどの教育ICT化に関連するシステムの拡大が予想される。
また、協働学習支援システムや校務支援システムなど、学習指導要領の改訂で注目されるアクティブ・ラーニングや、校務と学習のシステムをネットワーク上で連携させるスマートスクール構想に関連するシステムも伸びるとみられる。一方で、教育のクラウドプラットフォーム化で、校務と学習の両面における効率化が進めば、長期的にはシステムの統合なども想定される。
校内設備/インフラは、タブレット端末の導入が進むことで必須となる無線LANシステムが市場拡大をけん引するとみられる。2016年度見込が40億円、2021年度予測 が122億円、2015年度比で4.1倍が見込まれる。安定接続やセキュリティ担保の観点から、よりハイエンドの法人向け無線LANシステムの導入が進み、導入単価も上昇している。
活用が進むことで学習者の成績など個人データの扱いも増加するため、ネットワーク環境の構築だけでは不十分であるという認識が広がっており、端末管理・セキュリティツールやWebフィルタリングツール、ウイルス対策ツールなどセキュリティ対策関連の拡大も予想される。
教材/コンテンツは、デジタル教科書を中心に学習者向けのコンテンツが拡大。アクティブ・ラーニングやプログラミング教育といったキーワードをもとに官民一体となって教材開発が進められており、多様なコンテンツの登場が予想される。また、デジタル教材では、楽器演奏教材やプログラミング教育の必修化に備え教材ロボットが登場している。
ハードウェアは、1人1台普及の施策に基づきタブレット端末の導入が進んでおり、市場が拡大。都道府県によって1人1台、あるいは1学年で40台程度(授業中の1クラスで1人1台)など注力度が異なるが、2020年度までタブレット端末は需要増加が続くとみられ、2021年度の市場は2015年度比3.4倍の195億円が予測される。
一方で、電子黒板やビジネスプロジェクター、業務用モニターなどの映像機器はリプレースを中心に安定した需要が予想される。
「エデュケーションマーケット 2017」概要
体 裁:A4判 289頁
価 格:15万円(税別)、CD-ROM付17万円(税別)
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