2020年1月6日
立命館守山×Classi「公開授業研究会」で新しい学びに取り組む生の声
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立命館守山中学校・高等学校とClassiは、共同開催イベント「ICT公開授業研究会 with Classi~ICTを活用した協働学習と個に迫る未来型授業の創造を目指して~」を、11月16日に開催、全国から200名を超える教師が参加した。今回は、Classiの実践事例報告から、導入間もない学校の取り組みを紹介する。
全体会の冒頭挨拶した同校の寺田佳司 校長は、「今後、自分の意見や考えをはっきり表現するということは当然求められます。主体的・対話的で深い学びについても、グローバルスタンダードな学びとなるでしょう。ICTというのはこうした新しい学びを切り拓くひとつのツールになり得るものです。私たちは、新学習指導要領が見据える2030年に向け、ICTの行く末を見つめ、どういうツールを活用したどのような学びが必要になるのか考えていかなければなりません。この公開授業研究会の目的は、未来の学びについて一緒に考えてみることです」と、研究会の意義を語った。
続いて登壇した、同校ICT教育担当の國領正博教諭は、今年6月に公表された文部科学省の「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」に明記され、同校のICT活用基本理念である「誰一人取り残すことない公正に個別最適化された学び」の実現に向かうためのClassiの活用について、Classiの主な4機能「Webテスト」「学習記録」「校内グループ」「ポートフォリオ」に沿って紹介。Classi株式会社マーケティング部エリアマネージャー 林田健治氏は、同校に於けるClassi利用のログ解析と偏差値の上昇の関係などについて報告した。
軽食を囲んでの懇親会のあと、午後からは分科会による実践事例報告が、同校に加え全国7校の教師によって行われた。
学びたくなる「しかけ」としてのICT -ClassiNOTE-
大阪府の私立箕面自由学園高等学校 情報部副部長の新庄秀臣教諭は、昨年11月から1年間で取り組んできた「ICT導入」「Classi活用」について、「学びたくなる“しかけ”としてのICT~導入1年目の実践例~」と題して活動を報告した。
昨年11月、前任校でICT導入経験のあった新庄先生に声が掛かったとき、2019年度より生徒・教員に一人一台のiPadを配布することは決定していたものの、校内設備にはICT
導入において困難な面もあり、教員間でのICT活用に対する意識にも格差があったようだ。
1学年600名分のタブレットは、Wi-Fi環境がなくても利用できるLTE利用の端末にすることで解決したが、ICT導入の目的である「生徒の学力向上」の成果を上げるためには、乗り越えなくてはならない様々な課題があった。それらを解決する手段として箕面自由学園高等学校は、「ICTの導入に向けて」「教員の継続的な利用」「Classiの活用」など段階的に様々な「しかけ」を考え、実施してきた。
生徒指導部や教務部の教師などとのプロジェクトチームを立ち上げ、教員研修の企画や実施、タブレットや導入が決まったClassi利用に関する詳細なマニュアルも作成し、メディアセンターを設置して生徒だけでなく教員からの質問や疑問にも対応できる環境を整えた。こうした「しかけ」の活動を通じてICT導入の目的と価値の明確化や共有化を進めた。全教室に電子黒板機能付きのプロジェクターを段階的な設置を経て、1年生600名にタブレットが配付され、ICTの本格的な活用が開始された。
しかし、タブレットを配付しただけでICT活用が進むわけではない。ここでも、教員や生徒がICTを積極的に利用し継続するための「しかけ」が必要だ。そのためにはタブレットの利用シーンを固定化し、教員にも生徒にも「使わざるを得ない状況」をつくりだす「しかけ」が必要だった。タブレットやClassi利用のためのマニュアル、職員会議の資料などをClassiのコンテンツボックスで共有するペーパーレス化はその「しかけ」のひとつだ。教職員への一斉連絡や教員間の連絡も、生徒や保護者への連絡もClassiのグループ機能で行う。教員が自作した授業動画や教材の配信を行うことでの復習や再学習といった、これまでにない学び方を提供できるようになった。日々の活動の中で「使わざるを得ない状況」があれば、いつの間にか「なくてはならない」ものとなり、利用が継続されやすくなるのではないかという。
授業で利用するClassiNOTEを活用する「しかけ」は「せざるを得ない」から「したくなる」環境づくりであると提案する。アクティブ・ラーニングツール ClassiNOTEは、これまでのアナログの一斉授業からは想像もつかないような双方向で立体的な学びを実現するツール。機能も「プリントの配付・回収」「複数人での同時編集」「回答などの一覧表示」「クリッカー」「スライドでプレゼン」「生徒の書き込みをリアルチェック」など盛りだくさん。“いいね”の多いノートを共有して研究したり、誤答を共有してその原因を考察したり、テストの予想問題を作って互いに解きあったり、先生の代わりに授業をしたり。一生懸命準備して、みんなで共有できるから、生徒たちはいつの間にか主体的に学びに向かうようになる。学びがアクティブになれば生徒の発信の多い授業が想像されるが、生徒たちが夢中になりすぎた時にメリハリをつけるために用いる「作業ロック機能」は、新庄先生のお気に入りの機能のひとつだ。
「まずは教師の負担が少しでも減ることが、ICT活用のスタートでもよいのではないか」と新庄先生は語った。たとえば毎日400名を対象にClassiのWebテストを実施しているが、従来のように紙で行うことは到底不可能だっただろう。これまでなら負担が大きすぎて「やりたいけどできない」と諦めてきた取り組みにも積極的になることができるかもしれないし、負担が減ることで生徒たちと向き合う時間も増えるかもしれない。こういった「しかけ」の積み重ねが、生徒たちの学力向上という目標に繋がっていくのかもしれない。
ポートフォリオへの取り組みで「いい振り返りとはなにか」を考える
福井県立藤島高等学校の山谷茂晴教諭の「ポートフォリオへの取り組み」と題した報告は、参加者にポートフォリオにおける「振り返りへのアプローチ」について考えさせる内容だった。
同校ではポートフォリオの導入に向け、昨年6月から検討を開始した。ポートフォリオ導入のための準備委員会を設置し、学校訪問や研究会・セミナー等にも参加。ポートフォリオの実施内容やClassi導入・利用の検討をするとともに、準備委員通信を発行して教員への理解の促進を図った。テスト期間として3カ月間、1クラスだけで週1度、「先週の振り返り」としてポートフォリオを実施。実施後のアンケートでは、「取り組むことで意義があった、変化があった」という回答が多数を占めたという。
そして今年、1学期には毎月の振り返りを紙に記録。2学期からは日々の記録にClassiのポートフォリオ機能を活用し、毎月の振り返りは引き続き「紙」に記録。学期の振り返りはClassiで行う予定だという。
ポートフォリオの活動をはじめて山谷先生が課題だと感じることが、「いい振り返りとはなにか」という「評価」だという。324名の生徒の振り返りを教師はどのように受け止めていくのか、教師個人個人が感じる「いい」「悪い」だけでいいのか。実際に生徒がどのような基準で他人の振り返りを評価するかみると、良い評価の根拠として上がる言葉は「具体的に書く」「自分と結びつけている」「次に活かす」「体験と感想がある」そして「新たな学び」など、多岐にわたる結果だったという。
また、教師が振り返りにコメントすると、その評価の基準に合わせようとする傾向も見られるという。山谷先生は、「思ったよりもこちらの声が生徒に届いていると感じます」と、生徒の反応に気をとめる。
ポートフォリオの目的は何か。「自分の今の体験を未来の自分に残しておくため」ではないかと山谷先生は考える。そしてそこから成長するための「気づき」を得ることを期待する。「気づき」にはすぐ繋がる「気づき」もあれば、あとから繋がる「気づき」もある。ルーブリックは必要かもしれないが、使い方によっては生徒の振り返りの幅を狭めることに繋がってしまうのではないか、また「ポートフォリオの活動」自体を目的にしてしまうのではないか。山谷先生の「自分でもまだ結論を出せないでいる。これからの研究テーマです」という締めのことばに、多くの先生が頷いているように感じられた。
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