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2020年5月9日

学びを止めるな!ICTの活用で休校中の学習習慣の確立/福岡雙葉中高

学びを止めるな!ICTの活用で休校中の学習習慣の確立/福岡雙葉中高

福岡雙葉中学校・高等学校
国語科 三浦 広騎

【寄稿】
福岡県の私立福岡雙葉中学校・高等学校でも、目下のウイルス禍により休校を余儀なくされた。休校が長期化すること、生徒が自宅で自主学習することの限界を感じ、生徒の学習環境を少しでもサポートできないかと対策を考えた。4月13日からYouTubeに学校の公式チャンネルを開設し学習環境の提供を試みている。また、休校中における生徒の健康管理とストレスケアのためにオンライン会議に用いられるMeet(by Google)を用いたHRも実施する。

取り組みの目的

・休校中における生徒の一日の生活リズムを作ること。
・同じく休校で自宅学習を余儀なくされている中高生の学習のサポートにつなげること。

取り組みに使用するアプリケーションと使用例

Youtube(授業動画配信)
・ロイロノート・スクール(教員と生徒間のやり取り)
・Meet(オンラインHR)→GW明けより実施予定(一部クラスですでに実施)
・Sigfy(保護者への連絡システム。LINEと連携している。)

オンライン授業の流れ

【生徒】
・ロイロノートで発信された月曜日から金曜日までの時間割を確認する。
*時間割表(PDF)
・YouTube上の学校公式チャンネルの再生リストより、朝9時から順次更新される動画を視聴する。なお、教科は5教科に限らず、実技教科も配信され、1日4コマの授業を毎日受講する。
・動画内で課された課題を自身のスマホからロイロノート上で各授業担当者に提出する。
【教員】
・出勤日(3日に1回)に授業を撮影し、同日出勤の教科担当者と動画を確認し、配信予約をしておく。
・在宅勤務の教員はロイロノートに提出された生徒の課題や質問に対して返答する。この作業は、学校から全教員に貸与されたiPadを用いて行う。
・課題の提出は生徒の視聴確認を兼ねるため、課題未提出者は、学年に集約し、ロイロノートで提出をうながす。未提出が続く生徒へは担任から自宅へ連絡する。

動画撮影(音楽)

動画撮影

 

 

 

 

 

 

オンラインHRの流れ

朝礼

【生徒】
・学校で準備したGoogleアカウントが全生徒に配布されている。
・オンライン会議システムMeetを使用し、割り振られた時間に参加する。お互いの表情を見ながら、クラスの友人とのコミュニケーションを楽しむことができる。
【教員】
・クラス担任がクラスを少人数のグループに分け、1回15分程度の朝礼やHRを行う。
・体調管理や情報共有、ストレスケアをはかる。

休校当初は担任による電話連絡で健康チェックを行っていた。しかし、出勤日数の削減により、出勤した1日に業務量が集中し、全員には連絡が取れない問題が上がった。そこで、一度に複数人の健康状態のチェックや顔を見て話すことができるといったメリットを考慮し、このような形となった。なお、当初使用を予定していたZOOMはセキュリティ上の問題があったため使用していない。

その他取り組み

個人面談

・毎週月曜、木曜日にGoogleフォームを用いた健康チェックをSigfyで配信し、回答を自動集計。
・体調不良等の記載がある場合には出勤時に担任から電話連絡する。
・オンライン教科会議を毎週Meetで行い、動画編集技術などの共有を行っている。
・Meetによる個人面談も実施していく。

一般公開によるストリーミング配信の利点

学校間での学習環境の格差が大きな問題になっている。本校の動画がその問題解決に少しでも寄与できればという願いから、誰しもが視聴できる一般公開に踏み切った。YouTubeという現代の学生にとって最も馴染みの深い動画配信サービスを選択したのもそのためである。

また,ストリーミング視聴の場合、各生徒が自身のスピードに合わせて受講でき、聞き逃したところを何度も振り返ることができる。これは普段の授業には無い、動画ならではの利点だ。ライブ授業も検討したが、通信環境に左右されることや映像のフリーズによる聞き逃しが発生することなどから、導入を見送った。ライブでのコミュニケーションはMeetでの朝礼やホームルームに任せ、動画学習と明確な住み分けを行うことにした。

本取り組みの現状

・YouTubeでは詳細な視聴分析を行うことができる。金曜日や祝日の前日など、休日前には再生回数が顕著に落ちる傾向が分かってきた。在宅の生徒を飽きさせない工夫の必要性を感じる一方で、平常通りの曜日感覚を維持できている点ではある種の成果とも解釈している。

動画編集の様子

・全教員が授業動画の編集を行うことで、職員全体のICTリテラシーが大きく向上している。
・教員同士は互いに授業を視聴できるため、授業力向上の機会ともなっている。学校を挙げての取り組みであるので、教員同士の連帯感も生まれた。
・家庭の通信環境により、ロイロノートにログインできていない生徒へは、各教科担当がプリントを準備し、発送することで対応している。課題の提出はできないが、双方のやり取りを実施できるように、担任が電話をして質問や困っていることがないかを確認している。なお、動画を視聴できない家庭は現在確認していない。
・学校をあげた教員の取り組みに対して、生徒同士が遠隔で連絡を取り合い、教職員への感謝を伝える動画をサプライズで送ってくれることが増えてきた。教職員のみならず、本当の意味での学校全体の協力体制が生まれつつある。

本取り組みで得られたこと

・オンライン授業によって、ICT教材を用いるきっかけにつながり、多くの教員がICT教材の利便性に気づくことが出来た。学校が再開してからもこの経験は生かされる。課題の電子化は紙媒体を用いた資料の削減や、管理の煩雑さの軽減にもつながる。
・本来であれば課題等を生徒に支給し双方向でのやり取りがなく生徒にすべてを任せる形になっていた。しかし、オンライン授業とロイロノートでのやり取りは、生徒と何をすべきかを臨機応変に共有することができ、そこで生じた疑問等の解消に役立てられる。またこれにより、生徒のモチベーション維持につながっている。
・学習面でのサポートに加えMeetによるオンラインHRは、生徒のストレスケアにつながる。Googleフォームを用いた健康チェックにより、仕事量の軽減が実現した。

課題と今後の対策

・課題への取り組みが消極的な生徒も見られる。開校中と同様に、粘り強い声掛けが必要である。また、今回の取り組みの中で、教員と該当生徒間だけでのやり取りだけでなく、生徒間同士で課題提出への声掛けも行われている。
・やはり、在宅の生徒たちのニーズを敏感に察知することが難しい。Meet、ロイロノート、電話、様々な方法を用いて、生徒と学校を結ぶ努力を続ける必要があると感じている。

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