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2022年9月14日

子どもたち主体の横断的データ活用を〜「MEXCBT」連携を皮切りに、学習eポータル+AI型教材「Qubena」が目指すもの

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個別最適化された学びを実現するAI型教材「Qubena(キュビナ)」が、文部科学省が開発展開するMEXCBT(メクビット)と連携する「学習eポータル」として9月からサービスを開始、新規自治体を対象とした無償提供についても発表した。AI型教材とその膨大な学習データ、分析機能を合わせ持つ「Qubena」がその強みをいかして「学習eポータル」に対応し目指す学びとは何か、開発提供元である株式会社COMPASSの木川俊哉 取締役に話を訊いた。

8/31発表のプレスリリースより。現在、学習eポータル+AI型教材「Qubena」は、新規導入自治体を対象に2024年3月までの無償提供を行っている。

 

COMPASS 木川俊哉 取締役

膨大なデータと分析によって進化する個別最適な学びを届けるAI型教材Qubena(キュビナ)

「Qubena」は、小中5教科、6.7万問(22年8月時点)の問題を搭載するクラウド学習教材だ。児童生徒の学習データをもとにAIが間違いの原因を解析し、次に解くべき問題を一人ひとりに合わせて出題、個別最適な学びを実現する。

―AI型教材「Qubena」の個別最適な学びについて教えてください

木川取締役:例えば、分数の足し算と割り算が混在した式の場合、計算順を理解していない、分数の割り算の計算法を理解していない、そもそも分数の単元がわかっていない、など間違いの原因は多岐にわたります。子どもたちの回答から原因の予測を立てて次の出題、その解答を踏まえて、さらに最適な出題を繰り返し効率よく理解へと導きます。間違いの原因が過去の単元や前の学年にあっても縦断して出題し弱点克服のためにAIが働くのです。そこで重要なのは、どれだけ多くの学習データを蓄積できているか、適切に分析できているかです。

―膨大な学習データの蓄積と分析力が重要なのですね

木川取締役:COMPASSではAIドリルの黎明期から自社内で開発と分析を繰り返してきました。「Qubena」をリリースしたのは、まだあまりAIドリルが認知されていない2016年のこと。「Qubena」のユーザー数が増え利用が拡大すれば、蓄積されるデータも増えていき、そのデータを元にAIの精度をより向上させることができます。2021年度、子どもたちが解答した問題数は1年間で累計5億問にのぼったのですが、直近の数字では1日あたり500万問を超えるほどになっています。今年度、来年度と機能、搭載問題のアップデートもさらに加速しており、莫大なデータ量とその分析力、それらを製品へ反映する技術力が「Qubena」の強みの1つです。

―ユーザー数は100万人を突破
「Qubena」は2020年からの3年間で急激にユーザー数が伸び、全国170以上の自治体で約2,300校の小中学校に導入され、9月にはユーザー数100万人を達成している。

ユーザー数の推移と導入実績

木川取締役:ユーザー数の大きな伸びの背景には、GIGAスクール構想による1人1台端末の整備と個別最適な学びに対応したいというニーズの高まりがあり、「Qubena」がそこにしっかり対応できていると評価されたからだと思っています。多くのユーザーが日常的に利用してくれていることで、蓄積データが増え、出題する問題の精度が上がって学習効率や効果の向上につなげられる、好循環が生まれているのです。

また、導入後、いかに活用してもらえるかを重視しています。活用してもらわなければ子どもたちにも届きません。学校現場の負担感を軽減し日々の活用率を高めることで、いかに先生方や子どもたちをハッピーにできるかを追い求めています。

活用に課題をお持ちの自治体や学校に対しては、研修の実施や学校現場の訪問など、活用促進に向けたサポートを行うための体制も強化しています。

「Qubena」が文科省が展開するMEXCBTに対応し「学習eポータル」として9月からサービス開始

MEXCBT(メクビット)とは、文部科学省が開発展開する公的なCBT(Computer Based Testing)プラットフォームのこと。GIGAスクール構想によって整備された1人1台端末環境で児童生徒がオンライン学習や評価において活用する。

平常時だけでなく災害や感染症拡大といった緊急時でも家庭などから学びを継続できるように学習コンテンツが格納されている。MEXCBTと連携しアクセスを実現するのが「学習eポータル」の役割だ。

「Qubena」は「学習eポータル+AI型教材」として9月からサービスを開始した。

学習eポータル+AI型教材「Qubena」9月サービス開始

COMPASSが考える「教育データ利活用」のあるべき姿 〜子どもたちが主体

―データ利活用の課題、あるべき姿とは

木川取締役:学校では様々な活動を行われるため、それに伴って様々なデータがあります。データを生み出している主体は学習者、つまり子どもたちですが、そのデータを活用するのは、現時点では先生であったり、サービス提供者が中心です。また、デジタル教材毎にデータが蓄積されているため、分散していて横断的に利用することができません。
そのため子どもたちは、分散された学習データを連続する活動においてうまく活用できていないのです。データがバラバラに存在するのが課題です。教育委員会のみなさんや先生がデータをどう活用していくかも重要ですが、Qubenaでは、データの一番の活用主体はやはり学習者である子どもたち自身だと考えています。サービスの垣根を超えたデータ連携と横断的な利活用を「Qubena」が「学習eポータル」として提供し、そうすることでデータを活用して子どもたちの主体性を最大限に引き出したいと考えています

Qubenaが考える「教育データ利活用」

―データ利活用で実現する学びとはどのようなことがありますか

木川取締役:具体的にはMEXCBTでは、様々な学力調査を受けられます。学力調査は受けて終わりではなく、その結果から自分の弱点や得意を把握し次の学習につなげる必要があります。「学習eポータル」対応システムはテスト結果データを取得できるのです。ですからMEXCBTと「Qubena」が連携すれば今後はテスト結果から必要な問題をシームレスに出題することができるようになります。そして「Qubena」での学習履歴をもとにMEXCBTで受けるべき試験を推奨することもできるようになるかもしれません。

―学習教材を持つ「Qubena」が「学習eポータル」であるメリットは

木川取締役:他にも「学習eポータル」はいくつかありますが、自社内のシステムに学習コンテンツをもっているのは「Qubena」だけです。MEXCBTと連携し取得した試験結果データを自社で分析し学習コンテンツ「Qubena」へとつなげます。ここが非常に重要で、学習者は試験結果をもとにAIがリコメンドする問題を解くことで弱点の克服ができるわけです。学習者のために、サービスの垣根を越え横断してデータを利活用する、まさにあるべき姿です。

来年度の全国学力状況調査の一部で利用が予定されているMEXCBTとの連携

もちろん、Qubena以外の学習eポータルでも学習データを教材から教材へ仲介して受け渡すことは技術的には可能です。ただ現時点では学習データの規格標準化が未整備であるため、各教材が必要とするデータを抽出して、他の教材に受け渡し活用することはすぐには難しいと考えられます。

―デジタル教科書とはどのように連携できるのですか

木川取締役:例えば「Qubena」で理解できなかったところは学習指導要領コードに紐づいたデジタル教科書の単元を示して学びを促すこともできます。間違えた部分を示すのは比較的容易ですが、どこがわからないか理解できていないかを推測して適切な教科書ページを示すというのが難しいところです。そこは膨大なデータと分析技術を持つCOMPASSだからできる部分だと思っています。

Qubenaの学習データとMEXCBT・デジタル教科書のシームレスな連携

校務支援システムとの連携

―校務支援システムとの連携状況を聞かせてください

木川取締役:EDUCOMマネージャーC4thやツムギノといった校務支援システムと連携しています。また、「Qubena」は、国際的な技術標準であるOneRoster(ワンロースター)に対応しているため、規格に対応する全ての校務支援システムと名簿などの連携を実現できます。

現時点では、「学習eポータル」の標準モデルにおいて校務支援システムとの連携は必須ではないのですが、学校現場での運用負荷軽減の観点からいち早く対応しました。また今後は単純に名簿連携だけでなく、学習データを持つ側として学びのプロセスや評価に関するデータを校務支援システム側にも提供していきたいと思っています。

校務支援システムとの名簿・評価連携

学習者を中心とした教育データのオープンな連携

―学習者、子どもたち主体のデータ連携について聞かせてください

木川取締役:従来、学習データは各サービス毎に蓄積され、そのデータはサービス提供者にとって競争上非常に重要なものであるため、そのサービスの中だけで活用されてきました。しかし、本来であれば、そうしたデータ同士を組み合わせたり連携をさせれば、子どもたちや先生、教委の皆さんにとって、もっと価値を生み出せるのではないかと考えています。例えば、Qubenaの細かい学習データを他社の分析サービスや大学等の研究機関に提供してQubenaのデータだけではできなかった分析をしてもらったり、また、学校での学びのデータを塾に持ち運んで塾の講師の方がそれを確認しながら続きを指導するなど、公教育と私教育を横断した活用もできるかもしれません。

Qubenaにとっても学習データは大変重要なものですが、それらの活用が子どもたち自身や自治体の要望に応じてできるよう、積極的に必要なサービスや組織等へ提供し教育データのオープンな連携を実現したいと考えています。

学習者を中心とした教育データのオープンな連携

―課題はなんでしょうか

木川取締役:データの利活用に際する共通の課題である、個人情報等のデータの取り扱いについては、システム的な安全性を担保し法律的にも問題のない方法をみなさんと模索していきたいと考えています。

新規自治体を対象に学習eポータル+AI型教材「Qubena」を無償提供

ー学習eポータルの機能のみを利用することも可能ですか

木川取締役:ここまでお話しした通り、Qubenaは横断的なデータの利活用を目指しているため、学習eポータルとAI型教材をセットでご提供させていただきます。学習eポータルの部分に対する追加の費用発生はなく、AI型教材の部分の費用のみでご利用が可能です。また、より多くの学校現場に学習eポータルとしてのQubenaの価値をお届けできるよう、新規にQubenaを導入いただく自治体を対象に、学習eポータル機能を含む「Qubena」を9月から2024年3月まで無償で提供いたします。新たに使ってもらうきっかけにしてもらえたらと思っています。

新規利用自治体向け無償提供について

学習eポータル+AI型教材「Qubena」

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