2024年2月9日
生徒用端末を導入した高校の84.9%が「1人1台」配備=旺文社調べ=
旺文社は8日、全国の国公私立高校751校を対象に実施した、「全国の高校におけるICT活用実態調査」の結果をまとめ発表した。同アンケート調査は今年で8回目で、「脱コロナ」で変化した学校環境におけるICT活用の実態について、多くの具体的な意見や事例が寄せられた。
それによると、全国の高校で導入・使用されているICT機器の7割(71.2%)が「タブレット型端末」で、「デスクトップ型」34.6%、「ノート型」38.1%の2倍近くとなり、2023年度調査と同様の傾向だった。
持ち運んで校内外での調べ学習などに使用しつつ、必要に応じて外付けのキーボードでの文字入力もできるという利用形態の幅広さから、「タブレット型端末」が支持されているようだ。
また、生徒用モバイルICT端末の導入校のうち、8割以上(84.9%)が「生徒1人に1台配備」と回答しており、このまま主流となっていくと見られる。
高校におけるネットワーク環境の整備状況に関しては、「校内のどこでも無線でのネットワークを使用できる」47.1%が、「校内の通常教室で無線でのネットワークを使用できる」36.8%を超えて最も多くなり、2023年度までの傾向と逆転した。
また、ICT利用における課題については、「教員の活用スキルの引き上げ」83.8%、「生徒の情報モラルの向上」67.6%と、人的な課題を挙げた回答割合が上位を占めた。
端末や環境の整備が進んでICTの活用フェーズに入るなか、「使う側」のスキルやモラルについての問題が顕在化しており、ICT活用をサポートする専門家の派遣や教員への研修など、人的支援の充実を求める意見も多く寄せられた。
一方で、「ネットワーク環境の整備」44.5%を課題として挙げた高校の割合は昨年度から微減に留まり、通信品質については今後も更なる向上が望まれている。充電設備の充実や端末不具合への対応などについても、端末の活用が進むにしたがって見過ごせない課題になっている。
ICTの必要性を感じるポイントについては、「校務負担の軽減」78.2%と、「教材のペーパーレス化」74.3%が昨年に引き続き高い割合で、ICT活用による「校務DX」への期待がうかがえる。
コロナ禍で需要が高まっていた「オンライン遠隔授業」43.3%は2023年度の調査と比較して10pt以上の減となり、教室での通常授業が戻った「脱コロナ」の環境変化をうかがわせる結果となった。
また、今回の調査から選択肢に追加した「情報・探求などの授業」64.6%には大きな需要が集まっており、調査・分析・発表といった学習場面に、ICTの活用が不可欠といった意見も多く見られた。
その他、「AIツールをアンケート集計に活用した」や「生成AIを授業の題材にした」など、先端技術を取り入れようとする動きもあった。部活動や委員会、進路指導・大学入試への対応、保護者への情報共有など、授業以外でのシーンについても幅広い活用方法の事例が寄せられた。
この調査は、旺文社独自リストに基づく全国の国公私立高校計5008校を対象に、2023年12月上旬~2024年1月上旬に、調査対象校にアンケートDMを送付し、Webページで回答を受付ける形で実施した。有効回答数は751校。
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