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2026年2月16日

高校の生徒用ICT端末、「学校指定」は減ったが、「家庭の費用負担」が増加=旺文社調べ=

旺文社は、全国の高校におけるICT機器・サービスの導入・利用状況および生成AIの活用実態についてアンケート調査を行い、その結果を2月9日付で発表した。

今年で10回目となる同調査では、全国547校の高校から回答を集計し、直近の実態調査に加えて、10年間の推移データを基にした動向分析を行なった。


それによると、高校における生徒用ICT端末の配備状況は、「生徒1人に1台」の割合が合計で95.1%になった。費用負担方法や端末機種の指定有無などについての内訳を見ると、「個人費用負担/学校指定端末」が39.9%で最も多く、次点の「学校費用負担/学校指定端末」28.9%は昨年度調査から順位に変動はなかったが、4.5ポイント減少した。

一方で、「個人費用負担/機種の指定なし」23.2%の割合が4.6ポイント増加しており、端末配備における費用負担が「学校」から「個人(家庭)」へ、端末の調達機種が「学校指定」から「個人の自由」へと、一部で構造変化のトレンドが見られた。ICT機器の市場価格上昇や、操作に慣れた自費購入端末をそのまま学習に利用したいという需要、各ICTサービスのマルチデバイス対応で端末機種の選択肢が広がったことなどが背景と見られる。


端末のタイプは、「タブレット型PC」が昨年調査に引き続き高い人気を得ているほか、「ノート型PC」も一部の高校で根強く利用されており、「情報」授業などでのプログラミング学習に適したインターフェースや、高校卒業後さらに求められるタイピング技術を習得できる側面が支持されているようだ。


また、高校のネットワーク環境についての調査では、「校内のどこでも無線でのネットワークを使用できる」が55.2%と、昨年調査と同様に半数を超えた。通常授業で無線ネットワークを利用できる高校は合計85.4%を超えており、インフラ整備率として高止まりしている。なお、「生徒用のネットワーク環境を整備していない」と回答した11校のうち7校は、中等教育学校(6年制)だった。


一方で、ICT活用の課題として、「安定したネットワーク環境の整備」が54.7%と、昨年から1.6ポイント増となり、ネットワーク整備率の高さに反して課題がある状況だ。「インターネットを使用する機会が増えることに伴い、回線が繋がらなくなることも増えてしまった」との声もあり、スムーズな通信を保障するネットワーク回線の質が問われている。


ICT活用の必要性を感じるポイントについての意識調査では、昨年減少傾向にあった「映像授業・動画視聴」「オンライン遠隔授業」「リモートでの課題配信」「生徒・保護者への連絡」が、それぞれ4~7ポイント増加した。脱コロナで見られた「リアル回帰」の傾向から、生成AIなど新技術・サービスの利用が進み、ICTだからこそ実現できることの価値が見直されているようだ。

そのほか、ICT利用との親和性が高い「情報・探究などの授業」62.3%は昨年から2.1ポイント増、元々需要が高くなかった「クラブなど課外活動」18.5%も昨年から4.6ポイント増など、シーンを問わず学校生活のあらゆる場面にICT活用が根付いてきている。


一方、昨年から開始した「生成AIの活用」についての調査では、大きな動きがあった。①「授業や生徒指導にかかわる校務」、②「学校運営にかかわる校務」、③「学校行事や部活動」、④「保護者への対応」の4つのシーンすべてで、「まあまあ活用できている」の割合が大幅に増加し、「まったく活用できていない」割合が大幅減となった。

すべての項目で、「十分活用できている」「まあまあ活用できている」の合計割合が4割を超え、「まあまあ活用できている」「あまり活用できていない」の“中間回答層”の合計割合は7~8割と、生成AIの活用実態が過渡期を迎えている様相。特に、「授業や生徒指導にかかわる校務」では、「あまり活用できていない」の割合も減となり、AI活用はこの1年で大きく進んだことが伺える。

昨年調査では、AIの生成結果に対して「誤りが多い」「確認作業で時間が取られる」といった、ネガティブな声が多かったが、今回の調査では「誤りがあることを前提に利用している」「AIに任せられる校務の範囲が明確になってきた」など、生成AIと上手く距離を取りつつ利便性を享受する方向にシフトチェンジする高校が増えている。

一方で、「生成AIを使用する際のルール作りや注意点の指導ができていない」、「校務の効率化を目的として生成AIを利用するようになったが、プロンプトの作成や活用スキルが高くない教員の補助などでかえって時間がかかってしまう」といった課題も挙がっている。

高校のICT環境が発展途上にあった時代にも、ICTの活用に対してこうした意見が同様に挙がっており、今後生成AIの利用が、高校現場で今や“当たり前”となったICT利用と同様に浸透していくのか、注目されるところだ。


2017年度から開始した同調査で得られた10年間の推移データを基に、高校を取り巻く教育ICT環境で起きた変化を分析したところ、「ネットワーク環境の整備状況」では、GIGAスクール構想の推進やコロナ禍のオンライン需要もあり、2021~2022年度を境に「有線のみでネットワークを使用できる」高校が大きく減少し、加速度的に無線ネットワーク環境の整備が進んだことが分かる。

モバイル端末配備の拡大と合わせ、2023年度には「通常教室で無線ネットワークを利用できる」高校が8割を超え、「校内のどこでも無線ネットワークを使用できる」高校は、10年前には1割未満だったが、2025年度に5割を超え、この10年での劇的な変化が見て取れる。


また、「生徒用ICT端末活用についての意識」に関しては、10年前の2017年度調査では、「活用できている」意識と「活用できていない」意識の高校が、およそ半数に2分されていたが、徐々に「活用できている」派が増え、2025年度以降は8割を超えた。


「十分活用できている」の強い肯定回答割合はコロナ禍中の2021年度に1割を超え、2025年度以降は2割超の水準を維持。活用への自信は技術の進歩や複雑化と裏表の関係にあり、年によっては多少の揺り戻し傾向も見られるが、活用の手ごたえを得ながら「もっとできるはずだ」と高い目標を掲げて、ICTの効果的な活用を推進してきた高校が多かったのは間違いない。


さらに、「ICT活用の課題」をみると、10年間の調査を通じて変わらずトップだったのは、「教員の活用スキル引き上げ」で、「活用できている」ことの意識が向上する一方で、こちらは不変の課題といえる。

「十分な端末数の配備」を課題に挙げる割合は、1人1台の端末配備が浸透した2022~2023年度に急落。ただ、2025年度から選択肢に加えた「充電切れや故障などへの対応」は5割弱と高い回答割合で、運用面での課題はいまだに根強いようだ。

また、コロナ禍中の2022年度から「生徒の情報モラルの向上」の回答割合も急激に伸び、最新の調査でも66.2%と存在感を示している。生徒への教育や情報管理については、ICTを通したコミュニケーションの難しさや、利用サービスの増加に伴うアカウント管理の煩雑さも課題に挙げられている。

この調査は、同社独自リストに基づく全国の国公私立高校計5003校を対象に、2025年12月上旬~2026年1月中旬にかけて、対象校にアンケートDMを送付し、Webページで回答を受付ける形で実施した。有効回答数は全国547校。

調査結果の詳細

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旺文社

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