2013年10月31日
浦和中学校/生徒一人1台PC環境によるICT活用授業を公開
さいたま市立浦和中学校は29日、市内外の教員・教育関係者や保護者を対象とした「教育の情報化研究発表会」を開催しICT活用授業を公開した。
会場の浦和中学校には約130名が集まり、各教科に分かれて実施された授業を熱心に見学した。
この催しは、2012・2013度のさいたま市教育委員会委託(研究指定)によるもので、研究主題は「ICTを効果的に活用した指導方法の工夫及び改善」。
浦和中学校では2007年にPC240台を導入、生徒に1人1台PCを貸与するほか、校内無線LANを設置し、校内各所でネット接続できるようにするなどICT環境が整っている。また、教職員のICTスキル向上のため、教員間で指導方法改善のための研鑽の機会が持たれている。今回の催しは、「全教員が、全教科、全領域」でICTを活用した授業を行う同校の日頃の取り組みを発表する場となった。
13時半からの公開授業では、まず、国語・数学・英語等の教科をe-ラーニング学習できるMSU(Morning Skill Up Unit)を実演。PCを活用して繰り返し学習ができるMSUはICTならではの授業スタイルで、生徒は各自のペースで学習を進めていく。
次に、8つの教科に分かれてICT活用の公開授業を行った。
数学の授業(1年A組)は、比例と反比例の特徴を基に問題の作成を行うもの。生徒が問題を作ることで学習を深めることを狙いとするこの授業では、電子情報ボードと生徒PCに導入されているジャストシステムの「学び合いノート」(授業支援ソフト「ジャストスマイル」のツール)を活用。「学び合いノート」は、ワークシートの配布や提出が簡単にでき、無駄な時間をかけることなく、学習に集中させることができる。生徒たちはグループで話し合いを行い、「学び合いノート」を使って課題を進めた後、星付け機能を使ってそれぞれの考えを相互評価するなどの協働学習を行った。
国語の授業(1年B組)は、故事成語の成り立ちや現代の意味や用法を学ぶ内容。グループでの調べ学習のなかに、インタビューするという言語活動を組み合わせて、深い理解につなげることが狙いだ。授業では、ジェイアール四国コミュニケーションウェアのソフト「コラボノート」を利用して、個人の記事を掲示したり、数人でその記事を編集する協働学習を進めた。「コラボノート」には、各自が同時進行で記事を書いて貼り付けることができる「付箋機能」がある。この機能を使い、生徒らはグループでは話し合いながら、伝えたい記事の優先順位を決めて新聞の体裁にまとめていく。
また、社会・理科・英語や保健体育の授業でも、効率的にICTを活用した事例の発表があった。
公開授業の後に行われた分科会(協働学習部会)では、さいたま市教育委員会 学校教育部 教育研究所の清水英生指導主事が、さいたま市の「教育の情報化」に関して解説した。
清水主事はPCの導入状況についてこのように語った。「さいたま市には(公立の)小・中学校が162校あり、これを5つに分けて5年リースで入れ替えを進めている」。各学校でみると、コンピュータ室に42台、学校(教員・生徒併用)用ノートPCが6台の導入状況であり、これからの課題として「校内無線LAN化が大きな壁」だという。教育と行政のネットワーク基盤が共用しているため、セキュリティ面への配慮から現状は無線LAN化が進んでいないというが、これからは無線LAN化とタブレット導入を並行して進めていく、と今後の見込みを語った。
さいたま市では、ICTを活用した「分かる授業・魅力ある授業」を推進している。ICT環境の整備とともに、今回のような研究発表会などを通した教員のICTスキル向上のための取り組みはこれからも進められていくだろう。
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