2024年3月11日
2024年卒高校生の採用、32.9%の企業が「増やす」「新たに始める・再開する」=ジンジブ調べ=
ジンジブは、企業の新卒採用担当者647人を対象に実施した、「2024高校新卒採用に関する企業動向調査(2023年11月)」の結果をまとめ発表した。
それによると、2024高校新卒の採用計画で「昨年と比較して求人募集人数の増減はあるか」と聞いたところ、「増やした」「今年から始めた」「数年ぶりに再開した」を合わせて32.9%となり、3分の1弱の企業が「求人数を増やした」と回答。2023年卒の同アンケート(2022年12月)でも3割程度が増やしており、2年連続で求人数を増やす企業が増加傾向にあった。
24卒の高卒求人の募集人数を増やした理由について聞いたところ、68.1%が「若手人材の採用に力を入れるため」と回答。次に「社内の高齢化が進んでいるため」46.7%が挙げられていることや、「23卒で充足しなかったため」23.9%が背景にあり、深刻に若い人材が求められていることが推察できる。
また、高校新卒採用の募集を行ったと回答した企業に「計画通り充足したか」と質問したところ、「充足した」が28.9%、「1人以上内定を出し充足していないが採用活動は終える予定」が15.9%で、11月時点で採用を終えたのは44.8%だった。
「1人以上に内定を出した」と回答したのは74.3%で、「1人にも内定が出せていない」と回答したのは20%。求人倍率が3倍を超え売り手市場が続く中、企業が採用目標を増やしたために積極的に採用活動を継続していることが分かる。
「充足した」「1人以上内定を出し充足していないが採用活動は終える予定」と回答した企業に、応募に繋がった理由を聞いたところ、半数が「教師との関係構築」50.6%、「給与や福利厚生(条件面)」50%と回答。次いで、「教育・キャリアアップ制度」39.1%、「アットホームな雰囲気」34%、「ネームバリュー」31.4%が続いた。
一方、「1人以上内定を出したが充足しておらず採用活動を続けている」「応募は来たが1人も内定を出していない」「1人も応募が来ていない」と回答した企業に充足しなかった理由を質問したところ、「高校生が減っていると感じる」が46.8%で最も多く、次いで「他社の求人募集人数が増えたため」が35.7%で、求人倍率の高まりを採用活動の中でも実感したと言えそうだ。
「他社と比較して自社の魅力が伝えきれなかった」35.7%、「高校への求人紹介が上手くいかなかった」26.3%という回答については、競争が激化する中で、企業の魅力訴求力が採用活動の肝になると言えそうだ。
「1人以上応募があった」と回答した企業に、採用した生徒が応募に至ったきっかけについて質問したところ、最も多かったのは「学校に届いた求人票」60.1%で、以下、「自社HP」40.6%、「企業パンフレット」38.8%、「求人サイト」27.2%と続いた。
生徒は求人票の文字情報に加えてWebサイト、パンフレット、就活イベントや動画など、求人票だけではなく「職場の雰囲気」や「働いている人」を見て応募をしており、高校生の就活の仕方にも変化がうかがえる。
また、高校生に興味を持ってもらうために「特に苦戦したこと」を聞いたところ、「教師との関係構築」38.7%が最も多かった。「応募に繋がった理由」でも同じ回答が最も多かったことから、高卒採用では教師はキーマンと言える。
次に、「高校生との直接接点」38.2%と少子化による生徒の不足や18歳成人を背景に、高校生に直接PRを行い、選んでもらう重要度が増していることが分かる。以下、「高校訪問」34.7%、「職場見学」31.8%などが続いた。
求人情報を伝える上で注力した活動について尋ねたところ、6割以上(61.6%)が「近隣の学校への訪問」、約3割(28.6%)が「県外の学校への訪問」と回答。「教師との関係構築」が上手くいっていたことで採用に成功している企業が多かったことからも、高卒採用を行う上で、教師に自社を知ってもらい良い関係を気付くことが重要なのが分かる。
2024年の高卒採用活動で、「求人票で変更した事項があるか」を聞いたところ、65%の企業が「何かしらの変更を行った」と回答。中でも「給与・賞与」47.4%が、変更項目で最も多かった。1社あたりの平均の変更数は「1.75」で、複数の変更を行っていた。世の中の賃上げニーズだけでなく、企業の魅力を向上させ、訴求するために複数の項目を改訂した企業が多かった。
「募集職種」19.4%では、「実際に入社したら行ってもらう業務を詳細に分かりやすく変更した」という声が多く見られた。このほか、「入社後のキャリアについて具体的に記載した」、「研修制度や資格支援制度を詳細に記載することで、未経験でも安心して働けることをPRした」という回答も多く見られた。
2024年の高卒採用活動で、求人票以外で使用したツールについて質問したところ、最も多かったのは「採用パンフレット」59%で、以下、「自社HP」55.8%、「求人サイト」35.5%などのWebサイト、「ハローワークの合同企業説明会」33.8%、「民間企業の合同企業説明会」27.2%などのイベントの活用が続いた。
「採用動画」や「SNSアカウント」も17~19%程度の回答があり、高卒採用でも訴求ルートを多数活用する動きが見られた。
また、2023年の高卒採用の充足状況別に訴求ルートをみると、「1人以上内定を出し充足していないが採用活動は終える予定」と回答した企業の採用ツールの使用平均は「3.22」種類と、全体の「2.55」に比べ多様なツールを使用していたことが分かった。
「求人サイト」の回答が全体平均を10.2%上回る数値となったが、「採用動画」33.3%、「採用向けのSNSアカウント」35.2%など、高校生が個人で見ることができ、魅力が伝わりやすいデジタルツールを使用していることが分かった。
2023年の高卒採用の充足状況別で、求人情報を伝える上で注力した活動を比較すると、活動の平均値が「2.53」に対し「4.36」と大きく差が開き、注力した活動が多いことが分かった。なかでも最も差が開いたのが、「県外の学校への訪問」47.3%だった。
2023年の高卒採用の充足状況別で、「求人票の項目で変更した事項」について比較したところ、変更数の平均が「1.75」項目に対し、「2.64」とこちらも変更数が多いことが分かった。変更内容としては、「キャリアアップ制度」「休日日数」「募集職種」「資格支援制度」など「給与・賞与」以外の項目の変更も多く行われていた。
特に、「募集職種」と回答した企業は、「実際に入社してから行う業務内容を、高校生でも分かりやすい言葉に変更した」、「未経験でも安心して働けることを記載した」など、高校生が求人票を見たときに入社後をイメージできるように変更する企業が多かった。
この調査は、全国の企業の新卒採用担当者を対象に、①2023年11月8~18日、②2023年11月13~14日に、メールによるアンケート回収と、インターネットで実施した。有効回答数は647人(うち高卒採用実施は346人)。
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