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2016年5月24日
Scratch Day 2016 in Tokyoで子どもも大人も熱気
Scratch Day 2016 in Tokyo実行委員会は21日、マサチューセッツ工科大学 メディアラボが開発した子ども用のプログラミング環境「Scratch」を楽しむイベント、「Scratch Day 2016 in Tokyo」を東京大学 情報学環・福武ホールで開催した。
会場は、「Scratch」を使った様々なイベントや展示が行われ、親子連れや子どもグループの熱気に溢れていた。
ホールの正面に設置された2面の大スクリーンに、1対1の対戦者それぞれのパソコンの画面が映し出され、当日発表される課題をライブで、制限時間内にコーディングして対決する「プログラミングバトル」。
事前にスクラッチで作った作品を、会場の皆に見せて説明するイベント、「ショーアンドテル(Show & Tell)」。
Scratchの初心者向けプログラミング体験や、ロボットカー作りを楽しむワークショップ。
「Touch & Try」では、「LEDを光らしたり、音センサーや光センサーを使ったプログラミングの体験」や「Scratchでコントロールできるおしゃべりロボット」、「触れるブロックを使ってプログラミングできるツールを制作」など、楽しい体験コーナーが沢山あり、子どもたちの歓声に溢れていた。
午後から行われた、鼎談「どうなる2020年プログラミング学習義務化 公立小学校はどう取り組むべきか」では、Scratch Day 2016 in Tokyo実行委員長の阿部和広氏が聞き手となって、古河市教育委員会教育部参事兼指導課長の平井聡一郎氏と前多摩市立愛和小学校校長で現在は小金井市立前原小学校校長の松田 孝氏の熱い議論が展開された。
まず松田校長が、「プログラミング教育を始めるにあたっては諸問題がある。教員の反応がなかったり、そもそも無理だと言い始めたり。でも愛和小では、総合的な学習の時間を使って3年生~6年生で15時間。1、2年生で6時間実施した。やればできる」と愛和小学校での実績を披露。
平井課長は、「普通教科の中でプログラミングをどう活かせるか考えるのが大切。学び合いがあったり、プレゼンテーションがあったり、文章問題をストーリーにしたり、創作活動と結びつけたり。プログラミングを使った授業設計、モデル作りからやる必要がある」と、古河市の取り組みを紹介した。
「プログラミングはゲーミフィケーション、遊ばしているんだったら基礎学力をやった方がいいのでは、という意見もあるが」という阿部氏の問いに対し、松田校長は「楽しく学べばいいじゃないですか。プログラミングで子どもたちの集中力は高まるし、ゲーミフィケーションで楽しんで学ぶことが出来るなんて最高。強制的な“勉強”から、自主的な“学び”に変えた方がいい。評価の方法だって変えていけばいいんです」と持論を展開。
それに対して平井氏は、「教育委員会の立場としては、ICTでもプログラミングでも、できる授業者が限定されるというのはどうか。授業設計からちゃんとやらなければならないから、まずは先生が楽しくなる授業をICTやプログラミングを使って構築していくべき」と手順を強調。
プログラミング教育を進めるうえで求められる能力については、平井氏が「授業にメンターをいれればいいと言う問題ではないから、特別な知識や技術が無くても誰でもできるやり方が必要になる。最初は教えてもらっても、次は自分でやれるというやり方」と述べると、松田校長は「指導案作ってその通りにやるようなやり方は、アンビリバボーだ。子どもたちが動き出すところをどんどん見せてやって、学習感覚を変換させることが必要。誰もやらないなら、自分でやるって感じだ」とまずはやってみることだと強調した。
無手勝流の松田校長と手順重視の平井課長、考え方もやり方も相反するような議論の展開だったが最後に阿部氏から「2020年の義務化はどこまでできるんでしょうか」という問いに対し「やります。やらなきゃいけない。ロードマップ作ります」と平井課長が言えば「できます。子どもも教員も学校も変わる、ということを信じることから始めたい」と松田校長。
そして、多くの教員や関係者が持っている「知らない、分からないということで生まれる“不安”を取り除いていくために活動しよう」と意見が一致して熱い議論が終了となった。
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