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2013年9月4日

子どもたちの『生きる力』を育む未来の学習空間「フューチャークラスルーム」/内田洋行

近年、グローバル化の進展など急速に社会が変化している中、子どもたちに求められる能力も変化し、課題を見つける力や柔軟な思考力が求められている。これらの能力を身につけるため、学校教育においては従来型の一方的な「レクチャー 」でなく、「協働学習」や「課題解決型学習」が必要となってきた。教育現場のICT化は、こうした課題の解決策として期待されている。
教育現場のICT化において多様な学習形態を実現する学習空間を提案するのが、内田洋行独自の未来の学習空間「フューチャークラスル-ム」だ。3月に「フューチャークラスルーム 」を採用した筑波大学附属小学校では、6月から同社と協同の授業事例研究も始まった。公共本部・コンテンツ企画部の青木栄太部長に「フューチャークラスルーム」の開発意図や今後の展望などについて話を聞いた。

多様な学習形態を実現させる新しい学習空間

現在、政府IT戦略本部の工程表によると、2020年度までに児童生徒1人1台の情報端末による教育の本格的な展開が計画されている。また総務省の「フューチャースクール推進事業」が実施されている他、文科省では「学びのイノベーション事業」で、デジタル教科書・教材やデジタル機器を活用した授業などが推進されている。

一方、2009年の「スクール・ニューディール」構想ではICT環境の整備推進が提唱されたが、導入されたPC教室の利活用がなかなか進まない現状もあった。

内田洋行 公共本部 コンテンツ企画部 青木栄太部長

そんな環境の下、内田洋行では最先端のICTを活用し、「双方向授業」「グループワーク」などの多様な学習形態を実現させ、教師・生徒が気軽に使える「新しい学習空間」が必要になると判断。ICT機器をトータルに提案した「フューチャークラスルーム」を、数年前から同社の本社ビルと大阪支店に設置し、教職員などに一般公開して「ICTを活用する学習空間のあり方」を検討してきた。

この新しい学習空間が目指すのは、学習者が主体的、能動的に仲間と協働しながら学習に取り組む姿だ。学習環境を整えることで、教師と児童・生徒、児童・生徒同士のコミュニケーション を図ることができ、児童・生徒が主体的に考え、自分の意見を発表する力を育むことが期待されるという。

3つの特長を持つ未来の教室

未来の学習空間「フューチャークラスルーム」は、内田洋行が各種教育機関などと行ってきた研究活動の成果をベースに、「未来の学校のあり方」を構築し、より効果的な学習空間をつくることを目的とした取り組みから生まれた。

未来の学習空間の特長は以下の3つ。

★先端のICT環境を活用した実践

★可変式(フレキシブル)の学習空間における実践

★多拠点との連携を通じた実践

未来の学習空間「フューチャークラスルーム」

未来の学習空間は、多様な学習活動を実現するために、さまざまな機器が設置されている。例えば、建築躯体に手を加えることなく、ICT空間を容易に構築することができるシステムユニット「スマートインフィル」▽3面マルチスクリーン▽全壁面ホワイトボード▽1人1台のタブレット端末▽電子黒板装備▽LED照明▽手元でのシステム制御▽ワイヤレス画像伝送▽802.11n対応高速無線LAN▽移動が簡単な可動式の机・椅子など。

これらの要素から、実際の学校現場の用途にあわせて、必要なものだけを選択し組み合わせることが可能だという。

スクリーンに投影された等身大のペンギンと青木部長

一番のウリは3面マルチスクリーン。画面1面に大きくコンテンツを表示させたり、3面それぞれに異なる内容の画像を表示することもできる。全壁面のホワイトボードは、どこでも書き込むことができ、照明を落とせば大きなホワイトボードとしても利用可能。机や椅子を自由に動かすことができるため、児童・生徒同士が話しやすくなり、コミュニケーションが活発に。このような装備で、教師も児童・生徒もより充実したプレゼンテーションを行うことができるそうだ。

課題はアプリケーションをつなぐリレーション

「スマートインフィル」と設置されたプロジェクター

「フューチャークラスルーム」の設計上の課題について聞いてみた。「課題は山積み。アプリケーションの中では完結しているが、教育現場で使いやすいように、アプリケーション同志をつなぎ合わせてリレーションさせていくのが一番難しい」。さらに「学習空間を構成しているのはさまざまなメーカーの製品 。各メーカーのよいところを取り入れながら、いかにユーザー目線に立ち、それらを有機的に結びつけてユーザーにとって使いやすくしていくかが今後の課題です」(青木部長談)。

筑波大附属小と授業事例の開発も

内田洋行は6月から、筑波大学附属小学校と協同で、全教科・全学年を対象に、1人1台のタブレット端末を有効活用する、教育事例の開発を目的とした実証研究を開始している。

学校現場にICTが入った時にどんな授業が必要になるかを検証するもの。この取り組みは、日本マイクロソフトと富士通が協力している。

自在に動いて自由にレイアウトできる机+椅子

また、内田洋行ではWindows8のタブレットPCを導入し「フューチャークラスルーム」を構築している。その理由は「お客様(学校現場)が現時点では圧倒的にWindowsユーザーだから」。今まで導入したシステムや教育用ソフトウェア等多くの資産があるからだという。しかし、今後は「iOS やAndroidでも、教育用ツールやアプリケーションが潤沢になれば違ってくるかもしれない」と話す。「我々もマルチディバイスやマルチOS対応についていろいろと研究しています」。

子どもの「生きる力」を育む「未来の教室」の開発をし続けたい

これまでの導入実績は大学に約90校、小中学校に10校。仕様も予算も各校それぞれで、「お客様の用途に合わせて設計し導入させて頂いている」(青木部長談)。

可動式の机+椅子で語る青木部長

政府の教育現場のICT化推進を背景に、「フューチャークラスルーム」導入は、今後も増えていくと予想される。
しかし、と青木部長はいう。
「まずはきちんとした学校経営、学級経営が基本にあってこそ。その上でのICT を活用した授業をデザインすることが必要。ICT を使って授業を効率的に進め、教育の質を上げてほしい」さらに、「ICTを導入された学校では、もっと積極的に活用していただきたい。当社としてはこれからの日本を支える、未来の子どもたちの『生きる力』、『世界と闘っていく力』を育む新しい学習空間を、これからも開発し続けていきたい」と結んだ。

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