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2018年12月21日

私学の校長へ「2020年度までに必要な“ギリギリ最低限”のICT教育環境」大丈夫?

子どもの数がどんどん減っています。小学校も中学校も高校も、どんどん統廃合が進んでいます。世帯収入も右肩上がりより減少傾向の方が多いという実態です。2020年には、新しい学習指導要領が施行され、大学入試改革も進みます。偏差値70以上の超有名校でも、今のままのやり方でその地位を守れるかどうか分かりません。そんな時代に、公立以下のICT教育環境、公立以下のICT教育内容の私立学校が生き残れるでしょうか。いま私学の校長先生に求められるのは、真剣にICT環境整備に取り組むことです。

公立学校のICT環境整備が進まないうちがチャンス

先日、ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(WDLC)が、「MakeCode×micro:bit 200プロジェクト」に参加している小学校のプログラミング教育の実態をアンケート調査しその結果を発表しました。「MakeCode×micro:bit 200プロジェクト」というのは、プログラミング教育用のシングルボードコンピュータ「micro:bit」とプログラミングツールの「MakeCode」をセットにして200校にプレゼントするというプロジェクトで、「プログラミング教育やりま~す」と手を挙げた学校が対象です。

その調査結果によると、配付が完了して2カ月半が経過して、半数近い学校でまだ実際の授業が行われていないという結果でした。実施できない原因は大きく2つありました。1つはプログラミング教育を実施するための環境・インフラの未整備です。特に未実施校において、「学校内のパソコンはUSBを接続できない」、「アプリをダウンロードできない」、「ネット動画が視聴できない」など、取り組んでみて始めて体験する環境・インフラ面での課題。もう1つは、教員のプログラミングスキルの不足です。

Photo by pixta

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公立学校の多くはネットワークやサーバーの管理を教育委員会や自治体が行っていて、セキュリティ基準が役所や関連機関と同様になっています。そのため、USBや外部媒体が利用できなかったり、インターネットに接続出来なかったり、動画の視聴が出来なかったりします。もちろん、一般教室のWi-Fi環境や1人1台情報端末などは、文部科学省の定めた目標より大きく遅れているのが実情です。

私学のみなさん、これはチャンスです。もしすべての公立学校が、2020年度(もう1年ちょっとです)までに文部科学省のICT教育環境基準を満たしたとしたら、私学はそれ以上に整備しなければなりません。しかし、おそらくそれは無理でしょう。私学の多い都市圏ほど難しいのです。それは、学校が沢山あって児童生徒も多いので、膨大な予算が必要となるからです。

2020年度までに私立学校で必要な“ギリギリ最低限”のICT教育環境

ではひとまず、「2020年度までに私立学校で必要な“ギリギリ最低限”のICT教育環境」を、文部科学省が「2020年度の学習指導要領実施に向けて早急に環境整備が必要」とした目標、「普通教室の環境整備のステップ Stage3」と定めてチェックしてみましょう。参考にしたのは「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」の最終まとめです。

文科省が示す「普通教室の環境整備のステップ」

文科省が示す「普通教室の環境整備のステップ」

始めに「大型提示装置」について。設置の考え方については、小学校,中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校及び特別支援学校(全学校種)において、普通教室及び特別教室への常設が必要で、教師や児童生徒の情報端末と接続して大きく映す機能が必要だとしています。文部科学省が当初提示していた「電子黒板」ではなく「大型提示装置」という表現を使っています。つまり、大型テレビでもプロジェクターでも、電子黒板でも、情報端末などを接続して映写出来れば良いということです。それをすべての普通教室、特別教室に常設する。ICT活用の本当の第1歩。電子黒板が得意としていた様々な機能は、授業支援システムやアプリでほとんど代替えが可能になっていることも影響しています。

校長先生への質問(1)。
あなたの学校の普通教室及び特別教室すべてに「大型提示装置」は設置されていますか。

次に、「児童生徒用(学習者用)情報端末」について。設置の考え方では、授業展開に応じて必要な時に「1人1台環境」を可能とする環境の実現(全学校種)、故障・不具合に備えた複数の予備用学習者用コンピュータの配備(全学校種)となっています。

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もとめられる機能としては、「ワープロソフトや表計算ソフト,プレゼンテーションソフトその他の教科横断的に活用できる学習用ソフトウェアが安定して動作する機能を有すること」、「安定した高速接続が可能な無線LANが利用できる機能を有すること」、「コンテンツの見やすさ,文字の判別のしやすさを踏まえた画面サイズを有すること」、「キーボード“機能”を有することが必要」、「観察等の際に写真撮影ができるよう“カメラ機能”があることが望ましい」となっています。本来ならここは、アクティブラーニングに活用できるアプリやシステムが利用できることを条件に入れて欲しいところですが、まあ同様としましょう。

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学習者用情報端末については、1人1台の完全実施は困難としながらも、「1人1台環境を可能とする環境」を求めています。具体的には「3クラスに1クラス分程度」を設置して、授業では1人1台環境を実現するように求めています。現場の現状としては、タブレットPC、2in1PC、ノートPCなどが利用されていますが、どれにしろとは言っていません。ただ、今後の課題として、堅牢で高価な端末を求めて予算が確保できないなら、不具合が生じることが予想される廉価な端末でも予備を用意して対応するとか、アメリカの教育市場で普及している、220ドル程度の学習者用コンピュータ(Chromebook:クロームブック)を検討するとか、発想の転換が必要だとしています。

校長先生への質問(2)。
あなたの学校には、3クラスに1クラスが1人1台環境を実現できる台数の、学習者用情報端末がありますか。

次に、「指導者用(教師用)情報端末」について。設置の考え方では、授業における教員による教材の提示等を行うために,普通教室及び特別教室で活用することを想定して教師1人に1台の情報端末。機能としては、指導者用デジタル教科書等が安定して動作すること。セキュリティ対策を講じていること。その他の機能は、学習者用と同等としています。

校長先生への質問(3)。
あなたの学校は、授業で使用する教師用情報端末を1人1台設置していますか。

最後に「ネットワーク環境」について。設置の考え方は、普通教室及び特別教室における無線LAN(Wi-Fi)環境の整備(全学校種)と、PC教室における有線LAN環境の整備(全学校種)です。初期投資が莫大な割に、自治体担当者にとっても教師にとっても、ICT関連設備でもっとも分かりにくいのが無線LANです。導入後のトラブルも一番多いものです。無線LANはICT活用環境で最低限必要な設備ですが、最終まとめでは「調達時における学校のICT環境の整備状況によっては,LTE等の移動通信システムの活用が適当な場合も考えられる」とセルラー方式の検討も提示しています。

校長先生への質問(4)。
あなたの学校は、全教室で無線LANの利用が可能ですか。

さてこれで全4問ですが、現時点で全問イエスだと2020年度の公立学校のICT教育環境と同等となります。1問でもノーだと公立以下というレッテルを貼られることになります。

私立トップ校でもICT活用は必須に

ICTを活用した学校改革で、廃校寸前の私立学校が超人気校になったという話はあります。しかし、超一流校がICTを活用して「とんでもない成果を挙げた」と言う話は訊いたことがありません。偏差値70以上で東大合格者を競っているような私立高校にICTは不要です。今のままの大学入試で、今のままの学力テストが行われていればICTではさほど効果が上がらないかもしれません。記憶学習の効率が少し良くなる程度でしょうか。

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しかし、21世紀の日本を支える人材は、記憶力に頼った偏差値教育では生まれてこないでしょう。新しい学習指導要領に沿った教育、「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・. ラーニング)」が拡がれば「知識の量」では測れない、多種多彩な才能が開花するはずです。そうならなければ、日本の未来はありません。

「主体的・対話的で深い学び」で、21世紀を生き抜く能力を身につけた高校生が卒業するとき、「東大に行って時間を無駄にしたくない」と語る日が来るのがそう遠くないことを期待しています。もちろん、今のままの東大だったらですけれど。

最後に、この記事を書きながら情報検索していたら、「私立トップの開成中学校・高等学校で、国語の授業にロイロノート・スクールが使用されました。」と言う記事を発見しました。ロイロノート・スクールは、アクティブラーニングの授業実践をする上で欠かすことの出来ないツールで、「タブレットPCを導入したら必ずロイロは入れろ」と言われるほどの定番アプリです。この記事では、学校としてではなく個人の取組だと紹介されていますが、私立トップ校の教師がICTを導入した学びを始めているのです。「ICTなど導入しなくても、我が校にはどこにも負けない“伝統”と“実績”がある」などと旧態依然としたことを言っている校長の座る席は、早晩無くなるのではないでしょうか。(編集長:山口時雄)

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