2019年6月24日
松田先生のICT実践アドバイス「小学生に絶対必要なタイピング力!」
~小学生にタイピングが必要な理由~
合同会社MAZDA Incredible Lab 代表 松田 孝
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新学習指導要領全面実施に向けた動向
2020年からの新学習指導要領の全面実施を目前に、学校現場ではその理念を実現しようと様々な取り組みが始まっています。中でもICT教育に関わっては、総則に「情報活用能力」が学習の基盤としての資質・能力として掲げられたことから、その育成を図るために、学校の設置者はICT環境整備のための予算確保とシステム構築・機器購入に動き出し、学校現場ではICT機器を積極的に活用した授業実践やプログラミング体験を取り入れた授業づくりが盛んに行われるようになってきました。
ICT機器利活用の前提としてのタイピング力
しかしこれ等の取り組みと比べて、総則第3(2)アで述べられている内容にそれほどの注目が集まっていないことに大きな危惧を感じています。
そこには「児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動」をプログラミングの体験活動と同様に「各教科等の特質に応じて(省略)、計画的に実施すること」と記述されているのです。
ICT機器を利活用して、学習の個別化を図り、そこでの気付きを共有することで多様性を尊重し、様々なジョイントで協働(アクティブラーニング)を生起するためには、子どもたち一人ひとりが学習に対する思いや考えをしっかりと表出するスキルを身に付けておくことが大前提となります。ICT機器を単なる教材提示や内容理解のための思考ツールから、子どもたち相互の啓発を促すためのコミニュケーション・メディアとするには、絶対にタイピング力が必要となります。そしてタイピング力が身に付いていれば、どんな教科・領域等の授業であっても、その単位時間の最後に、子どもたちに学習の振り返りを行わせることができ、それ等をポートフォリオ(学習単元のまとめ)としてメタ認知させることができるのです。
タイピング力の現状 – 情報活用能力調査の結果
では現在の子どもたちのタイピング力はどれほどのものなのでしょうか。もう6年ほど前の調査になりますが、文科省がコンピュータを活用した情報活用能力調査を全国の小・中学生(それぞれ約3000人)を対象に行いました。その調査の最後に、子どもたちのタイピング力を測る調査が行われています。全角換算で72文字の以下の文章を、小学生5分間、中学生3分間で文字入力させたのです。
「わたしたち3はんは、自動車工場へ見学に行きました。働く人にインタビューをし、デジタルカメラを使って、写真をとりました。写真はCD-Rに保存しました。」
はたして、小学生が1分間あたり平均5.9文字、中学生は17.4文字。この結果がどれほど悲惨な結果であるか。小学生は平均して10秒に1文字しか入力できず、しかも半数以上の子どもたちは5文字も入力できなかった結果も示されています。
文字入力をめぐる文科省の方針
新学習指導要領総則の解説には、「学習活動を円滑に進めるために必要な程度の速さでのキーボードなどによる文字の入力〜」との記述がありますが、その具体は明記されていません。文科省は「情報教育の手引き」(H22.10)でも文字入力に言及しています。そこでも「ローマ字表記を学習する頃から、ローマ字による文字入力や、必要に応じて漢字変換などを、キーボード上の正しい位置に指を置きながら行えるようにし、時間当たりに入力できる文字数の目標を設定することも考えられる。なお、目標とする文字数については、中学校との接続も考慮して、学校や学年で適切に設定することが望まれる。」とあくまでも具体を示していません。しかしこの報告書作成の第3回検討委員会の資料には具体的数値が示されており、その根拠も述べられているのです!
「文字入力に関しては、学習指導要領解説の国語に4年から3年生にローマ字の指導が変更になった理由として『コンピュータを使う機会が増え』と書かれていることにより、3年生からローマ字入力によるタッチタイプの指導を行うものとする。規準リストで10分間に200字程度としたのは、45分の授業で600字程度の作文を入力し、推敲を経て印刷・保存することを想定している。」
前原小の実態と実践
私が3月まで校長を務めた小金井市立前原小学校では、全校約540人の児童に1人1台の情報端末を配布し、積極的に授業実践してきました。低学年はタブレット端末、4年生以上はChrmebookを使用していたこともあって、昨年度には文科省調査と同じ文字入力の調査を3回実施しました。
結果、第1回目の調査では、4年生11.9文字、5年生14.2文字、6年生17.9文字(全て1分間あたり)。6年生は文科省調査の3倍の結果を残しましたが、3月に行った調査では、学年約90人中15人程度が5分間に300文字以上の入力ができるようになり、そのタイピング力は目を見張るものがありました。(文科省の提示文は72文字ですが、それに加えて本校独自に提示文を作り調査しました。)
前原小では、ICT機器をど真ん中においた授業実践の推進とタイピング力の向上は相互補完の関係にありました。タイピング力向上に向けては次のような方針を示し、3年生以上の学年で年間を通じて取り組ませてきました。
①練習場面:朝学習及び英語活動の最初の5分間
②練習コンテンツ:WEB上の各種タイピングコンテンツ
(ホームポジションの徹底→ブラインドタッチへ)
③活用場面(その1):朝の会での健康観察(朝ノートの実践)
④活用場面(その2):各授業での振り返り&導入時における疑問や興味の記入
大学入試が変わるー大学入学共通テスト(新テスト)
2020年、大学入試が新テストとなります。そして2024年度には、高等学校の新学習指導要領にあわせた出題科目の再編とCBT(Computer Based Testing)の導入が検討されています。CBTの導入は記述式問題の採用と表裏一体の関係にあります。これまでの選択・択一問題をラジオボタン等にすることが目的ではなく、記述式問題の採点にこそコンピュータの活用が望まれているのです。ですから記述式問題への対応を求められる受験生にとっては、CBTに対応できるタイピング力は自身のキャリア選択及びその後のキャリア形成に大きな影響を及ぼすほどの必須リテラシーなのです。
しかし今、ICT機器導入はタブレット端末が主流となっているような気がしてなりません。子どもたちのタイピング力の育成を前提とするならば、その機器導入は当然キーボード付きのノートPCであるべきであり、購入費用を勘案すれば自ずと機種が選定されると考えています。しかし既にタブレット端末を導入してしまっていたら、外付けのキーボードで対応するのが次善の策だと考えます。
学校は子どもたちの未来に責任をもつ教育を展開する場。学校の設置者が確かな時代認識をもち、子どもたちのタイピング力の育成・向上を保障する情報端末の導入を選択することを祈るばかりです。
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【編集部より】
タイピングの必要性は理解しているが、既にタブレットを導入してしまった。スマホを授業に取り入れている。そんな学校・塾・教室にお薦めの外付けキーボードが、スリーイーホールディングスの折りたたみ式キーボード「NEO」です。
重さはわずか185gの軽量ボディ、コンパクトな三つ折りでポケットにも入る大きさです。タブレットやスマホとの接続は、消費電力の少ないBluetooth 3.0を採用して長時間の連続使用ができるほか、電波の状況を気にすることもありません。繰り返し使える内蔵バッテリーは、2時間の充電で84時間連続使用することが出来ます。
折りたたみ式キーボードといえば、多くは「Delete」「Backspace」のいずれかが省略されていたり、キーのタッチ感もノートパソコンのようにはいかないものです。三つ折りの「NEO」は、開くとつなぎ目が目立たずまるでノートパソコンのキーボードのように滑らかなタッチで、「Delete」「Backspace」キーも搭載しています。
また、高級レザータイプの保護ケースがセットされており、スマホやタブレットを立てるスタンドとしても便利に使用することが出来ます。
そして便利なことに「NEO」は、使用中に簡単に端末を切り替えられるマルチペアリング機能を搭載、最大3台までBluetooth接続が可能です。学校のタブレット、家庭のスマホやタブレットと使い分けてどこでも利用することが出来ます。
タブレットやスマホをどこにいてもノートパソコンのようなライティングツールにすることが出来る、折りたたみ式キーボード「NEO」。価格は英字配列64キーの3E-BKY8が5980円(税抜)、テンキー付きの英字配列79キーの3E-BKY7が7680円(税抜)となっている。
キャンペーンのお知らせ
スリーイーホールディングスでは、タブレットまたはスマートフォンで気軽にキーボード入力体験ができるBluetooth キーボードの無料モニターキャンペーンを実施します。今なら1カ月間、Bluetooth キーボードを無料で試すことが出来ます。
応募期間:2019年6月24日(月)~2019年7月31日(水)
対象:学校法人、学習塾・教室、他
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