2025年7月24日
ユーバーの「Scratchで小・中学校のプログラミング」Vol.16 <スクラッチで当番を決める>
ユーバープログラミングスクールの中村里香代表による、小学校のプログラミング授業で使ってほしいプログラミング言語Scratch(スクラッチ)の学習動画第16回。
今回は<中級者>向け、Scratchでリストを活用した当番決めのプログラムに挑戦します。
リストを活用した便利な当番決めツールを作る
Scratchで「リスト」に生徒を登録しておいて、ランダムに当番を決めます。
リストは、変数の一種で、複数の値をまとめて保存できる便利なしくみです。
今回は、同じ生徒が複数回当番にならないように工夫していきます。
◆CSV形式ファイルを読み込んでリスト「クラスの生徒」を作る
ブロックパレットの「変数」内にある「リストを作る」ボタンから空のリストを作成します。
リストに生徒名を登録するには以下の方法があります。
• ステージ上に表示したリストの「+」ボタンで直接追加
• 「(なにか)を(メニュー)に追加する」ブロックで追加
今回は、あらかじめExcelやGoogleスプレッドシートでデータを作成し、CSV形式ファイル(カンマ区切りのテキストファイル)に出力しておきました。
ステージに表示した空のリストの上で右クリックし「よみこみ」をクリック、CSV形式ファイルを選択してリストにデータを登録します。

※リストの上で右クリック→「書き出し」を選択すると、リストのデータをCSV形式ファイルとして出力することも可能です。
◆リスト「クラスの生徒」からランダムに当番を決めて表示する
あらかじめ、当番の生徒を代入する変数「きょうのとうばん」を用意してステージに表示しておきます。
リストの項目を取得するには「(クラスの生徒)の◯番目」ブロックを使います。「◯番目」の数字はリスト内の位置、何番目のデータかを示します。
変数「ばんごう」に1番目から「(クラスの生徒の長さ)番目」までの乱数を代入し、「(クラスの生徒)の(ばんごう)番目」を指定することで当番をランダムに決めます。決定した当番は変数「きょうのとうばん」に代入し、ステージに表示します。
※リストの最後の項目を指定するには「リストの長さ」ブロックが便利です。リストの値を削除した際など、項目数の変動に対応できます。
そして、決定の音と決定した当番をセリフで言う演出を加えます。
同じ生徒が複数回当番にならないように、当番に決まった生徒のデータを「(クラスの生徒)の(ばんごう)番目を削除する」ブロックでリストから削除します。
リストの長さは変わりますが、乱数の範囲を「(クラスの生徒の長さ)まで」と指定しているため、問題なく対応できます。

全員が当番を担当してリスト「クラスの生徒」が空になったら、再びCSVファイルからデータを登録して、クラスの当番を決定することができます。
今回は、リストを活用した簡単な当番決めのプログラムを紹介しました。
授業での活用
Scratchはゲームづくりだけでなく、子どもたちのアイデアを表現したり、調べたことを発表したりと、さまざまな教育活動に活用できるツールです。
今回紹介した「当番決めプログラム」は、クラスで実際に使える実用的な内容で、自分たちの生活を便利にできる喜びにつながります。
席決めや班分けなどへの応用もしやすく、アイデア次第で幅広く展開できます。
日常の課題を自分たちで解決する体験は、意欲の喚起や創造的な発想にもつながるのではないでしょうか。
授業や学校生活の中で、自由にアレンジしながら楽しく活用していただけたら嬉しいです。
◆変数とは
<筆者プロフィール>
ユーバー株式会社 代表 中村里香
2017年4月、すべての子どもが楽しく学べるプログラミング教育を目指し、ユーバー株式会社を設立。プログラミング教室運営、クラウド型学習サービス「うさプロオンライン」の提供、教材開発、講師育成支援、体験イベントの開催などを行う。環境に左右されない学びの機会を届けるため、教育現場や企業と連携し活動中。
ご質問・お問い合わせ info@yuber.jp 中村宛(ご質問は該当記事のURLを添えてください)
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