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2020年4月3日

iPadではじめる!先生のためのICT入門講座 【第23回】授業支援システム

1人1台環境の要!授業支援システムで一斉授業はどう変わる?
教育ICTコンサルタント 小池 幸司

「わが校でも来年度から1人1台のタブレット端末を導入します」突然の発表に驚いたのもつかの間、教員用ということで1台のiPadが配布されました。導入までの残された期間で、授業での使い方を考えておくようにとのこと。「急に言われても、いったい何からはじめていいのかさっぱり・・・」。本連載では、そんな困った状況におかれた先生たちのために、学校でタブレット端末を使うためのポイントを解説。ICTが得意でない先生が、タブレット端末を用いた新しい学びを始める際に知っておいてほしいこと、具体的な活用方法をわかりやすくお伝えしていきます。

「GIGAスクール構想」でいよいよ現実のものとなる1人1台環境

いつもの見慣れた教室風景。でも子供たちの机の上には「1人1台」のタブレットが置かれています。自分のタブレットを手にしたあなたは、手慣れた様子で操作。子供たちはキラキラした目でのめり込むように授業を受けています・・・

1人1台環境で大きな役割を担う授業支援システム

さて、イメージできたでしょうか。2019年12月に「GIGAスクール構想」が発表されました。2023年度までに全ての公立小中学校で1人1台端末と高速大容量のネットワークを整備されていきます。もちろん、私学でのICT導入もさらに加速することはまちがいありません。

そこで今回は、1人1台環境が実現した際に一斉授業がどのように変わっていくのか、その代表的な形を見ていきたいと思います。テーマは「授業支援システム」。ICT先進校ではすでにスタンダードになりつつある授業スタイルを一緒に覗いてみましょう。

双方向型の授業が可能になる「授業支援システム」とは?

一斉授業において、学習者の発表や回答を促す「指名」。その場で立って答えたり、前に出て黒板に書いたりすることで、指名された生徒の答えがクラス内で共有されます。しかし、従来の授業方法で答えをシェアできるのは1人か多くても数名が限界でした。

一斉授業で行われてきた「指名」による答えの共有

この弱点を解消できるのが「授業支援システム」です。先生の問いに対し、子供たちは自分のタブレットに答えを入力します。その答えは「授業支援システム」を介して先生用の端末に集約。プロジェクターや電子黒板で提示することで、クイズ番組のようにみんなの答えを一覧表示することができます。

これによるメリットは計り知れません。従来は机間巡視でしかチェックできなかった指名者以外の答えが一目でわかります。いわば、死角がなくなるわけです。子供たちにとってみれば、毎回指名されるのと同じですから、いい意味で緊張感をもって授業に臨むことになります。

このように1人1台端末のメリットを感じやすい授業支援システムですが、さまざまなサービスが出ており、導入にあたっては目的に合ったもの選ぶ必要があります。ここでは、1人1台のiPadを導入しているICT先進校において評価の高い授業支援システムをご紹介したいと思います。

iPad導入校で選ばれているテッパン授業支援システム3選

ブラウザ上で動く授業支援システム「schoolTakt」

最初にご紹介するのは、全国500以上の学校で導入されている授業支援システム「schoolTakt(スクールタクト)」。

ブラウザ上で動かすことができるため、インターネット環境があれば端末の種類を問わず使えるのが特徴です。児童・生徒の健康状態を一覧で確認する機能もあり、授業だけでなく「朝の会」でも利用されています。

・ブラウザだけでカンタン双方向授業 schoolTakt(スクールタクト)

質の高い手書きが可能な「MetaMoJi ClassRoom」

続いては、手書きアプリで定評のあるMetaMojiが開発した「MetaMoJi ClassRoom」。

最大2,500倍までの拡大・縮小が可能で、ペンの色や太さなどが細かく設定できるなど、手書き描画のクオリティーが高いのが特徴です。専用アプリで軽快に動かすことができ、iPad以外でも、Windows、Chromebookに対応しています。

MetaMoJi ClassRoom – リアルタイム授業支援アプリケーション

シンプルな操作性に定評のある「ロイロノート・スクール」

そして最後は「ロイロノート・スクール」。導入実績は1,000校を超える大本命の授業支援システムです。

プレゼンアプリ「ロイロノート」のクラウド版で、子供でも簡単に使えるシンプルな使い勝手が特徴。プレゼンや資料の配布・回収に加えて、思考ツールとしての機能も兼ね備えています。

「schoolTakt」「MetaMoJi ClassRoom」では、先生が生徒の画面をモニタリングする方式なのに対し、「ロイロノート・スクール」では子供たちが先生に答えを提出する形をとっています。現在、iOS、Windows、Android、Chromebookに対応していますが、2020年の春にはブラウザ版がリリースされる予定です。

・【ロイロノート・スクール】1人1台GIGAスクールに最適なクラウド型授業支援アプリ

【本日のワーク】「AC Answer」で授業支援システムを体験しよう!

無料で使える「AC Answer」で授業支援システムを体験

まずは先生用のiPadと生徒用のiPad2台をご用意ください。アプリは無料で使える「AC Answer」を使用します。「AC Answer」は同じWi-Fi内にあるiPadをつなげて、資料の配布や回収、解答の提示ができる授業支援アプリ。生徒数最大9名という縛りがありますが、特別支援学校や少人数のゼミなどであれば十分に実用可能なアプリです。

・「AC Answer」:App Store

最初に先生用のiPadを設定します。アプリをダウンロードしたら「設定」を開いて左下に表示されるアプリの一覧から「AC Answer」を選択。教師モードを「ON」にして、自分(先生)の名前を入力します。アプリモードは「小学生」「中高生」「社会人」からお好みのものを選択してください。

「AC Answer」を起動すると先生用の画面が表示されますので「講義を開始」をタップしてみましょう。授業名はそのままで構いません。今回は、パスワード設定なしで、座席数は「3×2」を選びたいと思います。「開始」をタップすると授業が開始され、教室画面に切り替わります。

続いて生徒用のiPadで「AC Answer」を開きましょう。「授業に参加」をタップして先ほど先生が作成した授業を選択します。すると先生側とは上下逆になった教室画面が表示されます。空いている席をタップすると着席できます。もう1台のiPadでも同様の手順で授業に参加、着席してください。

それでは資料を配布してみたいと思います。先生用のiPadで自分の机をタップ。机の上の何もないところを押すとメニューが表示されますので「新しいノート」→「白紙」を選択してください。机の上に白い紙が用意されます。この紙をドラッグして机の先端の方にもっていってから離します。済マークがつけば配布完了です。

続いて、生徒から解答を提出してみましょう。配布された白紙をタップして編集モードにします。下に並んでいるツールを使って解答を書き込んでください。同時に先生側では、提出物の用意をしておきます。机の上の何もないところをタップして「新しい提出箱」を選択。表示された提出箱を先ほどと同じ操作で生徒に配布します。

提出された生徒の解答が一覧で表示される

生徒側の解答が完了したら左上のドアをタップして机の上に戻ります。先生から配布された提出箱に解答をドラッグして提出してください。提出箱をタップすると提出した解答が表示されるので再編集も可能です。もう1台のiPadからも同じように解答を提出しましょう。

先生側のiPadで提出箱をタップすると提出されたすべての解答が一覧で表示されます。1つまたは複数の解答にチェックを入れ「並べて表示」をタップすると、選んだ解答だけを拡大表示することが可能です。また解答をタップして「解答添削」を選ぶと、生徒の解答の上に先生が書き込みを加えることもできます。

1人1台環境の授業で求められる先生の能力とは?

みんなの答えがシェアされることで、「正解」はもちろん「まちがい」からも学ぶ機会が生まれます。これまでにない「学び合い」が実現するわけです。一方で、どの答えにフォーカスし、気づきを与えられるかが重要となってきます。先生には、クイズ番組の司会者のような力が求められることになるでしょう。いまからファシリテーション力を磨いておけば、1人1台が実現するその日をワクワクした気持ちで迎えられるはずです。

【筆者プロフィール】
koike_Profile小池 幸司 (教育ICTコンサルタント)
2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。NPO法人 iTeachers Academy 事務局長。オンラインショップ「先生のためのICT活用塾」を運営。

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