2014年3月12日
早稲田大学/オープンエデュケーションテーマにシンポジウム開催
早稲田大学 国際オープン教育リソース研究所は8日、「子供達に広がる可能性、世界一楽しい授業の実現~オープンエデュケーションが変える学習支援」をテーマにしたシンポジウムを開催した。
無償で授業動画や教材を提供するオープンエデュケーションは、2013年に入って日本の有名大学が相次いでMOOCへの参加を表明したことなどにより注目を集めつつある。シンポジウムでは、オープンエデュケーションに取り組む登壇者たちが、新たな教育のあり方について熱弁を奮った。
早稲田大学国際オープン教育リソース研究所の筧捷彦所長は開会の挨拶の中で、米国の無料教材共有サイトを運営する「Curriki(カリキ)」に賛同して行っている、教材の日本語訳や日本から世界への教材発信といった研究所の活動を紹介した。
早稲田大学 村岡洋一名誉教授の基調講演は、「オープンエデュケーションの可能性」がテーマ。近年相次ぐ大学のMOOC参加について、人材確保やビジネスの種をまいていると説明。また、オープンエデュケーションについて、授業の活性化、広い視野を持った人材やグローバルな人材の育成、教育格差の解消の可能性があると語った。
米国Currikiのキム・ジョーンズ会長は、「世界の優れた教育にアクセスすることは、ぜいたくではない。基本的な人権です」という思いや活動内容などを紹介。Currikiでは、幼稚園から高等学校までの教師や生徒、保護者を対象に、無料で教材を作ったり、共有しており、現在では、5500種類の教材を194カ国の950万人が利用しているという。
manaveeの花房孟胤理事長は、manaveeを誰でも無料で受験勉強ができるWebサイトと紹介。オープンエデュケーションに対しては、日本ではまだ教育の枠組みを変えるような活動は生まれておらず、インターネットの暇つぶしに終わってしまう可能性があると指摘した上で、「教育格差という課題を解決し、枠組みそのものを壊さないと社会は変わらない」と述べた。
伊能社中の仙石裕明副理事長は、「学び方を楽しくしたい」という意気込みとともに、電子地図に画像や動画を組み合わせた新しい学習スタイルを提案する取り組みについて紹介。電子地図にインターネットで見つけた写真などのオープンな素材を組み合わせた教材「戦国武将マップ」を披露し、視覚的に見せることで生徒の受け方が変わってくると語った。
楽天の黒坂三重執行役員は、CSRの一環として実施している「楽天IT学校」を紹介。「楽天IT学校」は、学生がネットショッピング運営の実体験を通じて、電子商取引について理解を深めていくという取り組み。「自信を持って起業や行動する学生を育てたい」という狙いや、海外での展開など今後の期待について語った。
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