2013年9月11日
デジタルアーツ/LINEいじめが増加 未成年のスマホアプリ利用調査
デジタルアーツは10日、未成年へのスマートフォンの普及が進む中で生じている諸問題についての調査結果を発表する「スマホアプリ利用とネットのコミュニケーション実態調査発表会」を開催した。
会場に集まった報道関係者ら約50名を前に、調査結果やプレゼンテーションのほか、「ネット上での情報発信に必要なモラルとは」と題したトークセッションを行った。
未成年のインターネットへの接触率が高まる一方、家庭や学校での情報モラル教育が追いついていないという現状がある。
最近では法に抵触するような書き込みなどをネット上で配信してしまい、いわゆる“炎上”状態になる事件があとを絶たず、また、学校現場で問題になっている“いじめ”は、スマホの普及でネットやSNS上でも起き始めている。
こうした現状を踏まえて、トークセッションでは、ネット教育アナリストの尾花紀子氏とデジタルアーツ経営企画部コンシューマ課工藤陽介氏が、情報モラル教育の必要性について語った。
情報モラル教育の講演活動を全国で行っている尾花氏は、会場で受ける質問の傾向が年ごとに変わり、「今年はLINEについて聞かれることが多い」と語る。
これまで取り上げられることの多かった“学校裏サイト”と違い、仲間同士の閉じられた空間でやり取りされるLINE上でのいじめなどトラブルにどう関わればよいか、対応に悩む声が増えていると言う。
“ネットいじめ”といっても実際にはさまざまであり、一口には語れないと尾花氏。
代表的なものは、テキストによる悪口・いじめだが、最近は「既読無視(シカト)」や「省く(グループから外す)」行為などがある。後者の2つはLINEなどSNSアプリの利用により広がりをみせており、こうしたことからもスマホ利用者増の影響が読み取れる。
デジタルアーツの調査では、現在(2013年8月)スマホを使用している未成年(10歳~18歳)の割合は50.0%で、2011年11月の14.4%と比べて約3.5倍に増加している。
特に女子高生では、74.8%がスマホを使用しており、この世代で急速に普及していることが分かる。
リアルな友達との連絡方法では、女子高生の68.9%がLINEを、42.7%がTwitterを活用していると回答、スマホ利用者とSNSの相関関係を裏付ける結果となった。
また、問題投稿による“炎上”事件について、工藤氏はデバイスの発達で誰でも簡単に写真を投稿できるようになった点を指摘した。
LINEのような“閉ざされた”コミュニケーション手段と、Twitterなど“開かれた”手段とを併用しているため、仲間内での内輪ネタを、考えることなくつい拡散してしまうと分析。
先の調査でも、ネット上で情報発信する時の注意有無と内容を尋ねたところ、何も気をつけていないとの回答が未成年全体の45.1%と、情報モラル教育の必要性が問われる結果となっている。
情報モラル教育支援のひとつとして、工藤氏はデジタルアーツが8月21日から無料公開を始めた「スマホにひそむ危険 疑似体験アプリ」を紹介。
これは、「出会い系被害」「個人情報漏えい」「高額請求」「ネットいじめ」の4つのトラブルが疑似体験できる情報モラル教育用の無料アプリで、被害がどのような仕組みで起きどのような結果になるのかを現実的に理解できるもので、10日現在、約1万ダウンロードを数えるという。
こうしたツールを上手に活用しつつ、学校や家庭でのアナログな会話を大切にしながら指導していく必要があると尾花氏は結んだ。
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