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2014年4月30日

iTeachers/「分岐点」テーマに1周年記念カンファレンスを開催

iTeachersは27日、結成1周年を記念して「iTeachersカンファレンス2014 Spring~分岐点 Turning Point~」を、東京五反田の学研ホールで開催した。教育関係者や企業などから約200名が参加した。

iTeachersカンファレンス2014 Spring

プレゼンテーション前編の最初に登壇した、千葉県立袖ケ浦高校の永野直教諭は、iPad導入から3年間の経過を「第1期生卒業とこれから」と題して報告した。

導入1年目には「プレゼンテーション」や「音楽制作」で慣れさせ、2年目は「数学の問題作り」や「インタビュー撮影~プレゼン」、3年目には「ICTを使って課題を解決する」課題研究のグループワークにまで進化させた。

千葉県立袖ケ浦高校 永野直教諭

課題研究では「学校外と関わりをもとう」「生徒のためのSNSをつくろう」「ゲームで勉強しよう」「社会人のマナーを学ぼう」など、様々なテーマにICTを使って取り組んだという。

「ICTを活用して子どもたちに昔の遊びを教えよう」グループでは、「折り紙の作り方」という動画を作成し、それを見ながら子どもたちに実際に折り紙を体験させ技術を伝えることを試みた。

こうしたグループワークの一連の作業でiPadは多彩な使われ方をしたが、それはiPadを活用するために作業が行われたのでは無く、iPadを使うと便利だから使っているのだという。永野教諭は最後に、iPadの活用で学びがどんどんクリエイティブになっていくといいとまとめた。

新潟大学教育学部附属新潟小学校 片山敏郎教諭

新潟大学教育学部附属新潟小学校の片山敏郎教諭は、「小学校でのICT Revolution!~タブレット活用の成功要件~」と題して、子どもたちを取り巻く環境の分岐点について語った。

デジタルツールの発生や進化と共にデジタルネイティブも生まれてきたが、今やデジタルネイティブは2.0(第二世代)の時代。生まれながらにデジタル機器に囲まれ、使いこなしてきた。しかし、この世代はゲームという使い方しか知らない。だから、学びの中でツールとして活用する良さを教えていかなければならない。学校で「ICTを活用した良い学び」に出会えるかどうかが、デジタルネイティブ2.0の分岐点になるという。

そのためには、学びを支援する「端末」「ネットワーク」「教室」「人」「コンテンツ」の5つの環境整備を行わなければならない。そして、それを成し遂げる「志」を持てるかどうかが、成功の分岐点になると力説した。

俊英館/教育ICTコンサルタント 小池幸司氏

プレゼンテーション後編で登場した俊英館マーケティング部長で教育ICTコンサルタントの小池幸司氏は、「iPadを授業に使うたった1つのシンプルな目的」と題して、俊英館におけるiPad導入から利活用の事例を報告した。

小池氏は2011年、俊英館の教師用にiPadを導入すべく経営会議で幹部にプレゼン。その時iPadのメリットとして提示したのは「利便性」「携行性」と「コスト」。なかでも低コストで導入できることが評価されて導入決定となった。

教師だけがiPadを使う方法だったが、授業の様子は一変したという。教師はヒントを出すだけで、子どもたちが自分で考える授業。中学生の理科では、映像を使い「聞く」「書き写す」時間が減った分65分の授業が45分に短縮された。小学5年の国語では、みんなの答えをスクリーンに映し出し、子どもたちが互いに採点し合うという授業を行った。一人ひとりの考え方の違いや、教師の採点ポイントが共有されたという。

小池氏は最後に、こうしたiPadを活用した授業では、面白さから生まれる「ワクワク感」や誰でも使える「シンプルさ」、教師と子ども、子ども同士の「つながり」が大切であり、iPadを「教えないために使う道具」にすることがiPadを使う目的だとまとめた。

ディスカッションに参加したプレゼンター

登壇者全員が参加したトークセッションでは、ICT活用のデメリットとしてノウハウの継続性が話題となった。公立学校では定期的に教師の異動があり、せっかくそろえた機材や教材、ノウハウが引き継がれない事があるという。

これに対して参加者からは、今の段階で重要なのはICT授業を進めている教師は、仲間を増やしておくこと。二人でも三人でも、自分と同じレベルの教師を作り出しておくこと。iTeachersからiTeachersを生み出すこと。

最後に、会場からの「5年後のICT教育の理想像、現実像、最悪像は」との質問に大阪大学の岩居弘樹教授は「理想的なのは、ICTが当たり前になって『ICT教育』と呼ばれなくなること。現実的なのは、どのでも『WiFiが使えるようになる』こと。最悪なのは、『使い辛いデバイスを無理矢理使わせること』『ICT活用技術という入試科目ができること』。」と、ICT教育の現状の厳しさを感じさせた。

<プレゼンターとタイトル>
■ 永野 直(千葉県立袖ヶ浦高等学校)
「情報コミュニケーション科第1期生卒業とこれから」

■ 栗谷 幸助 (デジタルハリウッド大学)
「クリエイティブを『楽しく』伝えるということ」

■ 片山 敏郎(新潟大学教育学部附属新潟小学校)
「小学校でのICT Revolution!〜タブレット活用の成功要件〜」

■ 小酒井 正和 (玉川大学)
「デバイスは進歩した。先生は進歩しないといけないのか?」

■ 岩居 弘樹(大阪大学)
「とりあえずやってみる」

■ 小池 幸司(俊英館/教育ICTコンサルタント)
「iPadを授業で使うたった1つのシンプルな目的」

■ 金子 暁(広尾学園中学校・高等学校)
「2014広尾学園のICT」

■ 杉本 真樹(神戸大学/医師・医学博士)
「教育を動かすインセンティブプレゼンテーション」

□司会
・小池 幸司 (教育ICTコンサルタント)
・山本 恭輔(千葉県立千葉高等学校 2年)

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