2014年11月25日
デジタルハリウッド/未近未来教育フォーラムで「データサイエンティスト」「EdTech」を語る
デジタルハリウッドは20日、教育の未来について語り合うイベント「近未来教育フォーラム2014 Life In DATA」を東京・千代田区のデジタルハリウッド大学で開催した。
基調講演は、デジタルハリウッド大学の教授を務めるデータセクションの橋本大也会長の「データ・クリエイティブの時代~これから活躍する新たな人材像~」。
橋本会長はデータセクションを2000年に起業。現在、ソーシャルメディアの情報などビッグデータの分析や、分析ツールの販売などを手掛けている。
アメリカでの事例として、求人情報サイト「indeed」でビッグデータを分析した調査結果を紹介。それによると、上昇トレンドとして上がってきた検索キーワードは、“スマートフォン”“ソーシャルメディア”“Hadoop”“データサイエンティスト”“グロースハッカー”などで、逆に“ウェブデザイナー”などは下降気味だという。
そして、「今ある職業のうち47%はコンピュータの活用によって消滅していく」という言葉を引用し、新しい職業の一つとして「データサイエンティスト」を紹介した。
データサイエンティストとはデータを科学的に分析する専門家。ビッグデータからビジネスに活かす生きる知見を引き出す役割を果たす存在で、「統計とITの能力」「ビジネスの問題を発見・解決する能力」「創造的な提案を行う能力」の3つの能力が必要だという。
この職業に求められるのは、「データサイエンス(分析)とクリエイティビティ(創造)」だと橋本会長。対極にあると思われている2つ資質の融合が求められると語った。
その後、デジタルハリウッド大学の杉山知之学長も壇上に立ち、2人のトークセッションを行った。
杉山学長は、教育環境において、なにもかもデジタル化が進むことを善しとする訳ではないという。デジタルの世界は現実のメタファとして作られているものが多く、そうした点からも五感を使って学ぶことが必要だとしたうえで、論理的思考を鍛えるプログラミングは別だとして、幼稚園からを教えるべきと語った。
また、アメリカの科学者でパーソナルコンピューティングの父とも呼ばれる、アラン・ケイが1970年代に描いた絵をパネルに示し、タブレット端末のような機械を手にした子ども2人が同じ映像(ゲーム)を見ながら互いに学びを進めているという説明を加え、このような“デジタルの原体験”が必要だと述べた。
また、デジタルハリウッド大学大学院の佐藤昌宏教授が、「デジタルテクノロジーは教育に何をもたらしたのか? EdTech2.0 に求められる最も大切なものとは?」と題したセッションを行った。
佐藤教授は大学院で教鞭をとる傍ら、EdTech(教育分野のスタートアップ)を支援する取り組みなどを精力的に行っている。
インフラ、デバイス、SNS、データベース、IoT(モノのインターネット)など、インターネットを中心としたテクノロジーが劇的な進化によって生じたのは、“失敗のコストが下がった”ことだと佐藤教授。これまで大きな資本がないと難しかった挑戦が、スタートアップでも可能になったことが大きいという。
また、「テクノロジーの進化に伴い、これまでの制度や仕組みは機能しなくなりつつある」と述べた。このことは、教育現場においても例外ではないという。
EdTechが活況を呈し、インキュベーターなどそれを支える層もしっかりと機能しているのは本場アメリカだが、レアジョブやベストティーチャー(英会話)、ドットインストール(プログラミング)、スクー、ストリートアカデミー(学びのマッチング)などの例がみられるように、日本でもEdTechが活発化してきている。
しかし教育現場では、まだまだデジタル化が広く浸透しているとはいえない。
教育現場においてインターネットへの移行期である今、アナログとデジタルの間にある溝を超えるための“橋”となる何かが必要だと佐藤教授は述べ、そうしたツール・サービスを提供するスタートアップが、教育現場から生まれてきてほしいと語った。
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