2015年1月5日
ISID/ICT教育関係者が熱く語り合う「イノラボエデュカッション」を開催
電通国際情報サービス(ISID)は12月26日、ICT教育に携わる教員や企業担当者などが今後の教育について語り合うイベント、「イノラボエデュカッションSpecial School for 2020」を開催した。
このイベントは、ISIDオープン・イノベーション研究所(イノラボ)、こども哲学・おとな哲学アーダコーダ(アーダコーダ)、フューチャーインスティテュートの共同開催によるもの。会場には、教育現場でICT化を先導する教員や、企業・行政関係者ら約40名が集まった。
イベント名のエデュカッションとは、イノラボが作った造語で、「エデュケーション」と「ディスカッション」を組み合わせたもの。同イベントは、教育機関や企業など、立場の異なる関係者らがフラットな関係でディスカッションを行うことを目的にしており、今回は、「2020年 学校教育に必要なもの」がテーマ。
イベント冒頭でイノラボの関島章江シニアコンサルタントは、「2020年の東京オリンピックに向けて、他の分野は大きく動き始めている。教育分野はICT化が進み始めたものの、その動きはまだまだ遅く、今後、さらに大きな変化を起こすためには、立場の異なる者同士が未来をどのように見ているか、具体的なイメージを語り合う場が必要だと考えている」とイベントの開催意義を語った。
ディスカッションは、前後半の2部構成で行われた。アーダコーダの川辺洋平代表理事の進行で、参加者らはグループに分かれ、前半は「5年後の日本の教育に必要なキーワード」をテーマにディスカッション。グループごとに未来の社会や来るべき時代をイメージしながら、教育に必要なキーワードを出し合い、それらを挙げた理由についても語り合う。後半は、出したキーワードをもとに、「5年後の教育のための2015年、何をするべきか」について意見を交わし合った。
進行役を務めた川辺氏は「学校関係者や教員は、日々のことや情報収集に注力しがちであり、企業はマネタイズの視点で教育を見てしまう傾向にある。今回のイベントでは、それぞれの立場に関係なく、未来の教育にとって何が必要か語り合い、互いに抱えている教育への想いを知ってほしい」と説明。
“こども哲学”と呼ばれる思考法をワークショップなどで実践している川辺氏のファシリテーションによって、会場は終始、活発な意見が飛び交った。
ディスカッション終了後は、それぞれのグループによる発表が行われた。あるグループでは、5年後の日本の教育に必要なキーワードとして「育つ」「繋げる力」「自立」「体験によるモノづくり」「評価」「ファシリテーション」が挙がった。
グループ内のディスカッションでは、未来の教育に必要なものを考えると同時に“教育の本質とは何か”という根本をメンバーらが考える場面もあり、発表者は、未来の社会をイメージし、そこから逆算して教育に必要なものを探す視点が大切ではないかと語った。
また別のグループでは、5年後の日本の教育に必要なキーワードとして「育てるではなく、育つ」「多種多様な機会の提供」「破壊」「家庭・地域と学校の繋がり」「学校のフレームの変化」「教育の柔軟性」「教育のオープン化」を挙げた。
これらのキーワードを実現させていくためには、学校と民間企業との関わりが欠かせないことや、ようやく芽生えてきたICT教育の取り組みを継続させる重要性を訴えた。具体的に出来ることのひとつとして、教員が学校外の人ともっと気軽に交流やコミュニケーションができるような環境を作ることを挙げ、メールで連絡をとることができない教員が多い状況などを改善していく必要があるのではないかと指摘した。
共同開催者のひとりでもあるフューチャーインスティテュートの為田裕行シニアコンサルタントはイベント終了後、「教育ICTの現場は、今後さらに立場の違う者同士の繋がりやコミュニケーションが重要になるだろう。エデュカッションのようなイベントを通して、教育ICTに携わる関係者がより多くの人と出会い、新しい視点や価値観を共有できるような場を今後も提供していきたい」と語った。(取材:神谷加代)
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