2015年8月21日
CompTIA/IT人材育成どうする!「CompTIA Academic Summit 2015」を開催
CompTIAは19日、教育機関向けにIT人材の育成に関する最新動向や事例を紹介する「CompTIA Academic Summit 2015」を、19日に東京のユビキタス協創広場 CANVASで開催した。
CompTIAは、ワールドワイドなIT業界団体。ソフト面からネットワーク、セキュリティなど、幅広いIT系資格の認定を行い、IT人材育成に寄与している。
イベントでは、CompTIAの知見などをもとに、IT人材育成に関する講演や事例紹介、パネルディスカッションなどを実施。特にラウンドテーブルは、企業側の考え方を知ることができる機会とあって、活発に議論が行われた。
イベントは、CompTIA Asia Pacific Vice PresidentのDennis Kwok氏による開会の挨拶とともに幕を開けた。
基調講演には、CompTIA CEOのTodd Thibodeaux氏と、CompTIA Senior Vice PresidentのJohn McGlinchey氏が登壇。
Todd Thibodeaux氏は、「ワールドワイドのITトレンドとこれらを支える人材を支援するCompTIAの方向性」をテーマに講演に行った。
ハッキングされた車のブレーキが外部から勝手に止められてしまった事例などを紹介し、セキュリティの重要性がますます高まっていることに言及。
そうした変化を受け、CompTIA は、2016年の前半に「サイバーセキュリティ」という基礎講座を設けるほか、認定プログラムなどの面でも、セキュリティ関連の強化を図っていくと展望を明かした。
John McGlinchey氏も、「ワールドワイドでのITの課題とチャレンジ:ITスキルギャップへの取り組みと学校機関での取り組み」をテーマにした講演の中で、セキュリティの重要性を強調。
2012年のロンドン五輪では、ロンドン五輪公式ホームページに約20万のサイバー攻撃があったという。日本も、東京五輪を成功させるためにセキュリティのスキルを持つ人材を確保することが重要だとした。
そうした中、ベンダーニュートラルで、必要なスキルを組み合わせてネットワーク全体の視点が得られる、CompTIAの「A+」や「Security+」は、セキュリティの教育をする上で、重要な役割を果たすと話を締めくくった。
パネルディスカッションは、「将来のIT社会で活躍を志す学生を増やすには ~高校、専門学校、大学、企業そして業界との連携事例~」と題し、4人の登壇者が意見を交換した。
教育業界とIT業界が考えるコストにギャップがあることが話題に挙がった。シスコシステムズの長部謙司Cisco Networking Academyプログラムマネージャも、「英語で作られているプログラムをどれだけコストかけて日本向けのものを作るのか」という自身の取り組みでの課題について触れた。
コストという課題を解決するために、帝塚山大学の日置慎治経営学部長は、企業に営利ではなく「CSRとして来てもらうことが望ましい」と述べた。
一方、日本IBMの平山敏弘ICPコンサルティングITスペシャリストは、自身の取り組みについて「協会や団体を経由しており、営利目的ではないのでコストをかけずにできる」と紹介。
また、KBC学園 国際電子ビジネス専門学校の淵上真一副校長も、「産官学を包み込むようなコミュニティの存在が重要なのではないか」と企業と教育機関を橋渡しする存在の必要性を語った。
事例紹介では、桜の聖母短期大学の加藤竜哉リメディアル教育センター長が登壇。
桜の聖母短期大学では、2009年に、全学年を対象にCompTIAのビジネス・コミュニケーション・スキル診断(BCSA)を導入した。
導入初年度は、コミュニケーション・スキルの活用度を示すBCSA診断は75.23%だった。しかし、授業を生徒一人ひとりに合わせたコンシェルジュ方式へ転換したり、学科・専攻・コースごとに特徴を抽出してPDCA サイクルを回すなどの取り組みによって、2012年の履修者のBCSA診断は81.10%まで向上したという。
さらに、BCSA診断の結果から学生の「共感性」を伸ばすことが難しいことが分かり、改善のために、その土台となる日本語能力の向上を図るとともに、アクティブラーニングなど実践的課題解決能力を伸ばす授業を今後展開していくと語った。
ラウンドテーブルでは、「企業は学生に何を求めているのか」をテーマに取り上げた。
ホストを務める、CompTIA認定資格の日本語試験の開発に従事するCompTIA SMEコミュニティのメンバーが、「資格とスキル」「就職」について企業側の視点を共有しながら、イベント参加者たちと意見を交わした。
「専門スキルとコミュニケーションのどちらを採用の軸にするべきか企業がブレているのではないか」といった指摘や、「学生の地力を示すものとして資格がある」といった意見が挙がった。
企業事例では、内田洋行 営業本部の竹下敦司部長が登壇。文系出身の社員が3分の2を締め、入社後の育成期間を重要視する同社がどのようにCompTIAを活用しているのか紹介した。
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